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テグ戦記  作者: さいとう みさき
第七章
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第七章7-2立ち上がる者たち

どこもかしこも腐っていやがる!

だが俺は生き延びる。

生き延びてやるんだ!!


奴隷戦士アインの生き延びるための戦い。

はたして彼は生き延びることが出来るだろうか?

7-2立ち上がる者たち



 「私も付いて行くぞ!」



 「鋼鉄の鎧騎士」に乗り込み起動をするとすぐにザシャがその肩に飛び乗って来る。

 正直彼女がついてくるとは思わなかった。

 だがこれでもし精霊魔法使いがいた場合対応が出来る。


 

 『助かる、精霊魔法使いが出たらそちらを!』


 「分かっている!」



 手短に用件だけ言い俺は急いで正門に向かって「鋼鉄の鎧騎士」を走らせる。


 そして程無く同じ傭兵の「「鋼鉄の鎧騎士」部隊の連中に追い付く。

 一番近くにいる「鋼鉄の鎧騎士」は左肩のアーマーが取れている、ガイジのようだ。

 そしてその奥には更に二体の「鋼鉄の鎧騎士」が歩いていた。



 『おい、ガイジ、ロマネスク、イグニバル!!』



 『なんだ? アインか?? 西のヒドラは始末終わったのか?』


 一番最後を歩いていたガイジの「鋼鉄の鎧騎士」が振り向く。

 俺はそこまで走って行って重要な事を伝える。



 『ヒドラは囮だ! ガレントの連中が俺たち傭兵【鋼鉄の鎧騎士】部隊をおびき出し始末する為の囮なんだ!!』



 『なんだと? ガレントだと??』


 驚くのは無理もない。

 イージム大陸にガレントの「鋼鉄の鎧騎士」が潜んでいて俺たちを始末しようというのだ。

 普通では考えられない話だ。

 しかし事実俺たち西を担当した小隊はそれで壊滅しかけた。



 『おい、バビル小隊長はどうした?』


 異変に気付いたイグニバルが戻って来て俺に聞く。


 『ガレントの待ち伏せしていた【鋼鉄の鎧騎士】にやられて戦死した。小隊長のお陰でガレントの【鋼鉄の鎧騎士】は倒したが、そちらのヒドラもきっと囮だ!』


 それを聞いたイグニバルたちは顔を見合わせる。


 

 『ガレントとは本当か?』


 『ああ、間違いない!』


 俺がそう言うとザシャが口をはさんでくる。



 「いいからお前らは正門へ向かえ! 行けば分かる!!」



 ダークエルフのザシャにそう言われ俺たちは顔を見合わせてから正門に行く事を決める。



 『どう言う事か移動しながら説明しろアイン!』


 『分かっている』



 俺は移動しながら要点だけをかいつまみ説明をするのだった。



 * * *



 「来たか! おーい、こっちだ!! ヒドラの奴また森に向かって移動し始めたぞ!!」


 北の正門から東寄りにも森がある。

 どうやらヒドラはそちらの方に移動したらしいが、森の中ともなればまさしく西の森と同じく「鋼鉄の鎧騎士」を潜伏させるには都合がいい。



 『ザシャ、頼めるか!?』


 「任せておけ、精霊たちよ!!」



 ザシャは俺の「鋼鉄の鎧騎士」の肩に乗ったまま精霊魔法を発動させる。

 すると黒い靄の様なフードをかぶったぼろ服の何かが宙に現れ森の中に入っていく。


 『なんだあれは?』


 「闇の精霊だ。今森の中を調べさせている。‥‥‥いたぞ、ヒドラだ! アインの言う通り三体他のモノもいる! これは‥‥‥ 間違いない『鋼鉄の鎧騎士』だ!!」


 ザシャは目をつぶり闇の精霊を操っていたのだろう。

 見つけ出したヒドラのすぐ近くにガレントの「鋼鉄の鎧騎士」が潜んでいる様だ。


 『ちっ、本当にいやがるのか?』


 『ガレントで間違いないな?』


 イグニバルやガイジが聞いてくる。


 『間違いないだろう、やはり俺たち傭兵部隊の【鋼鉄の鎧騎士】をつぶすつもりだ!』


 それを聞いてイグニバルは手に持つ槍を地面に叩き付け言う。



 『バビル小隊長の弔い合戦だ! ガレントの【鋼鉄の鎧騎士】を返り討ちにしてやる!!』


 『おう、付き合うぜ!』


 『俺もやるぞ!』



 イグニバルのそれにガイジもロマネスクも賛同して槍を同じく地面にたたきつける。



 『俺も行くぞ! ガレントに、神に抗う為に!!』



 俺も同じく大剣を抜く。


 「決まったか? ならばあちらだ、ヒドラは追うなあれはどうやら飼いならされたヒドラのようだ」




 俺たちは仲間の傭兵にその事を伝えてからザシャに指示される方向へと向かうのだった。

 

次回:「レッドゲイル」

俺は神を信じない。 


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