レオン視点
さて、あのドスケベ陛下をどうしてやろうか…
「陛下…我が妹に何をしてくれちゃってんですか?考え次第ではその首、胴体から離れることになりますよ?」
俺は自然に黒い笑みを陛下に向ける。
愛しいレイアの事が心配で部屋を覗いてみたら、陛下がレイアに抱擁をしているのだ。
俺が心配してたのは、馬鹿陛下が俺の可愛い可愛い可愛い妹に、何か良からぬことを言わないかどうか不安だったからだ。
それがどうしたことか、あんの馬鹿陛下は俺の可愛い可愛い可愛い妹に抱擁をしていたのだから。
確かにレイアは可愛いから仕方が無いが、だからって…
右手に持っていた資料の紙がぐしゃりと鈍い音がした。
レイアは陛下の抱擁に驚いたのか馬鹿陛下を突き飛ばし逃げ出した。
さすが俺の妹。
だが、俺が立っているのを分からないほど混乱していたのだろう。
俺は気付いたら陛下の前に仁王立ちしていて先程の言葉をかけていた。
馬鹿陛下は俺の急な登場に驚きを隠せないでいる。
「…アレは、お前の妹だったのか…」
俺を見上げる陛下の目が大きく開かれる。
「そうですよ」
さらりと言ってのけた俺に馬鹿陛下の脳はまだ解決してないようだ。
「あの髪色…本当にお前の妹なのか?」
やはり…昔からあの髪色のせいで血がつながっていないと思われ続けていた。
「正真正銘、私の大切な妹です。」
一人称が俺、から私、になったのは本当の事だと陛下に分からせるため…
例え外見が違っても俺の大切な妹…
「で、俺の大切な妹に何をしてんですか?陛下?」
俺は先程ぐしゃりと握った資料を床に落とし、剣に手を添える。
スーッと剣を抜き、陛下の首元へと向けた。
不敬罪?陛下が殺されるほどの事をした…という事ですよ。
「待て!早まるな!」
陛下が両手を俺に向けて言う。
「何故抱きしめたりしたのです?」
一つ一つの言葉に感情などこもってはいない、ただ無表情で、何も映さぬ瞳で陛下を見下ろす。
「っ…あの令嬢が…愛しく思えてきて…つい、」
「つい?」
俺の片眉がピクリと動く。
「へぇ…
どうやら胴体とサヨナラしたいみたいですね…
と、言いたい所ですが、レイアを早く慰めたいのでこれで失礼させて頂きます。
先程の事は父上に報告させて頂きますので…では。」
早く帰らなければ。馬鹿陛下を言葉で痛ぶるのは何時でもできる事、今は何よりレイアを安心させることが先決。…そして、消毒も。
俺の頭の中はレイアでいっぱいだった。名残惜しいが剣はしまい、馬を速く飛ばし、レイアよりも早く屋敷に着く事が出来た。
「父上、レイアが陛下に気に入られてしまいました。それと今日、レイアとば…こほん。陛下が面会して、心配で中を覗いて見た所、陛下がレイに抱擁をしておりました所を目撃しました。
レイアは咄嗟に陛下を突き飛ばし、その場を逃げましたが、色々な不安を抱えていることでしょう。
それに、レイアの髪も露わになっていました。
陛下が無理にとったのでしょう。」
俺は父上がいる執務室に行き、状況報告をした。
何時もは穏やかな父上が、キレた。バキッと言う効果音と共に四方八方と飛び散るペン。手に持っていたペンは最早原形を失っており、
俺はペンの破片を避けて父上の様子を伺う。
「あの小童が…良い度胸をしてるな…」
父上がゆらりと立ち上がり紫の瞳を鋭くさせる。
俺でも体が強張った。
父上の後ろには我が娘に…と、怒りの炎が渦巻いているように見えた。




