つい…。
気持ちの良い朝日が差し込み重たい瞼を開ける。
「レイア、おはよう」
良いタイミングでアイザック兄様が部屋に入ってきた。
「おはようございます。アイザック兄様、どうしました?」
「いや、レイアにまたこの手紙が来ててな…。」
アイザック兄様の手には一昨日きたと同様に質の良い手紙…
私は落選の通知かと思い無心に開けて見る。
『昨日の件、第2予選を明日王城で行います。第1予選を通過した者は、レイア・フルバスタ様を含めて僅か19人でした。
では、明日必ずお越しください。』
「え、ええええええぇぇぇぇぇぇ!!!」
レイアの急な叫びにアイザック兄様が慌てる。
「どうした!?」
「そ、それが…第1予選を通過したので明日、必ず来い、って…」
レイアは怒った時みたいに震え上がっている。
「ヤダヤダヤダ。嫌です~!!!!」
やっとの事で絞り出したような声で誰かに向かって叫ぶ。
だが、そんなレイアの声が王城に届く筈も無く、当日が来たーーーーー。
*****
「お越し頂き誠にありがとう御座います。今日は王城内で第2予選を行います。此方へどうぞ」
執事さんに続いて合格者が王城に入る。
ルート公爵家の令嬢も居るみたいだ、どうも私の印象に残る方だ。
王城の長い廊下を歩き進むうちに一室の扉の前につく。
「此方で御座います。どうぞ中へ…」
扉の中に入ると机が19個置いてあり、机の上にはペンが置いてあった。
「机にお座りください。今からこの問題を解いて貰います。」
執事さんが渡した紙には問題が10問あり、制限時間内に解けとのこと。
なんだか受験みたいだな…と、心の中で微笑む。渡された紙には私が小さい頃にレオン兄様から教えていただいた問題が記されていた。
(これは簡単…)
レイアはスラスラと問題を解きその紙を執事さんに渡す。
今日は問題を解いてそのまま帰された。
屋敷の門に着くと、家族全員揃っていて帰ってきて早々にみんなに抱き締められた。
「今日は何をしたんだ?」
ぎゅーとされる中、レオン兄様が聞いてきた。
「はい、幼い頃にレオン兄様から教えていただいた問題が記された答案を解くだけでした……ん?」
レイアが今日したことを話している途中で首を傾げる。そして顔から血が引いて青くなるのが分かる。
「も、もしかして…解いてはいけなかった?」
レオン兄様との思い出に浸っている所為で肝心の側室候補から外れるという目標を忘れていた。
「ま、さか…解いた?」
レオン兄様達がゴクリと喉をならしながら尋ねる。レイアは今日初めての涙を瞳に溜める。
「解いてしまいましたーーーーーー!」
レイアは今にも泣きそうに鼻水を啜る。
「レイア、最終予選は何としてでも負けるんだ。分かったな?」
レオン兄様に肩を掴まれコクコクと頷く。




