恐怖の手紙
「レイア、お前宛に手紙が来てるぞ。これ、王城の印じゃないか?」
アイザック兄様が右手に質の良い手紙を二本の指で持っている。なんとも様になっています。
「珍しいですね…何でしょう…」
レイアが質の良い手紙を開けて読もうとすると、ドタバタと貴族ではあるまじき速度で部屋の扉を開けたレオン兄様が、珍しく額に汗をかいて叫んだ。
「その手紙を読んではダメだ!」
だが、その声は一拍遅く、レイアの顔が青くなっている。
「よ、読んでしまいました…」
余程ショックなのか、レイアは手紙を床に落とし、澄んだ瞳でレオン兄様を見る。
『レイア・フルバスタ。明日、王城にて側室候補7人を決める。必ず、出席するように。』
手紙にはこう書いてあった。
レオン兄様は苦虫を噛み潰したような顔をし、クソッとその辺に置いてあった椅子を蹴る。
「どうして…私にまで…」
変な髪色をしているのに、とレイアは震えが止まらないでいた。
王城なら必ずいつかは髪を隠してくれるフードを、取らなければならなくなる。
「兄様達、姉様達…どうしよう…」
うるっと零れそうなくらいの涙を溜めるレイアだが零れはしない。
レイアは何時も涙を流さないのだ。
意地っ張りと言うか…弱気を見せないと言うか…でも、『可愛いから許す』レイアの兄様達と姉様達は同時にそう思い首を縦に振る。
「今日、大臣達が言ってた側室候補の中にレイアの名があって慌てて帰ってきたんだ。」
兄様達と姉様達が縦に首を振っている途中で、レオン兄様が首をブンブンと横に振り、真剣な目つきで言ってきた。
「俺もレイアの名があるのには驚いた。きっと貴族欄から若い女性を集めようとしたんだろう…レイア、大丈夫か?
すまない…こればっかりは陛下の了承もあり、断れないんだ…」
「い、いえ…大丈夫で、す。
レオン兄様、フードは…」
レイアが必死に目で訴えてくる。フードを被って行くのは良いのでしょうか…と。
「あぁ、被って行くぐらい良いだろう。」
レイアはレオン兄様の言葉を聞き、安堵の息を吐く。
「では、か、覚悟を決めて、戦場に私…行き、ます。」
真剣な瞳とは裏腹にレイアの手の方に目を向けると、ぎゅっと服の裾を掴んでいる。
この場にいる全員が和んだ。いや、和んでいる場合では無いんだけどね。
「では、早速レイアのドレスを考えないとね」
ライア姉様がレイアの前にドレスの山を並べる。
「あら、ライア、ヒールとネックレスと髪飾りもよ?」
「そうね!」
ライア姉様とユリア姉様には何時何時でもレイアを綺麗に気飾ろうとする。
前世に姉がいたらこんな感じだったのかなぁと心がほっこりした。
「これなんてレイアにぴったりではない?」
ライア姉様がレイアに見せたのは裾がふわ~と広がっている白のドレスに薄い桃色が散らばったような落ち着いた感じのドレスだった。
「まぁ素敵ね!では、そのドレスに合うのはこの靴とこのネックレスとこの髪飾りで決まりでしょう!」
そう言いユリア姉様がレイアに見せたのは白のハイヒールに薄い桃色をした小さな宝石をはめ込んでいるネックレス、髪飾りにと白のレースがふんだんにあしられている今世のシュシュみたいな髪飾りだった。
「まぁ、これなら髪型はアップね!」
「ええ、そして化粧は清楚にナチュラルに纏めましょう!」
次々とドレスやらなんやらが決められ、双子の姉様達にもみくちゃにされた。
兄様達は蚊帳の外だ。
お風呂も穂のかに鈴蘭の香りのするお湯に浸かり、ローションも塗られた。
そして、あっという間に当日になった。
今日はフードと言うわけにはいかないので大きな帽子を被って黒髪を隠す。
「では、兄様達、姉様達、行ってまいります」
いざ敵城へ出陣!!!
兄様達26歳
姉様達24歳です。
姉様達の旦那様も後々出そうかと思います。
そして、書く途中で考えた姓名。
フルバスタ家で御座います。
双子が多いとかは突っ込んじゃダメダメ(^ー^)ノ




