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ハヤトの事情
「ハヤト…様?」
「呼び捨てで構わない。少し話をしていいか?」
ちょこんと隣に座ったレイアを横目でみて、ハヤトは目を瞑った。
「私は14の時に召喚された」
淡々と話す姿にレイアも口は出さない。
「中学で学ランだった私は、その黒づくめな格好が仇となり、すぐに覡として奉られた」
ハヤトは言った。少し震える声で、私には未来視の能力がある…と
「君を狙ったのは自分のため。君が他の男と寄り添うと私は帰れない運命だったからだ」
ハヤトは言った。帰りたい…と
「幼馴染みの子がいるんだ。私がいないと何も出来なくて、放っておけない子が」
「好き…な子?」
レイアはハヤトを向いて問いかける。ハヤトは気恥ずかしそうにそっぽを向いて答えた。
「あぁ。」




