それぞれの夜
大変長らく申し訳ございませんでした。
確認したところ、一年以上の放置で吃驚です。
夜も更けてきた頃、レイアの部屋の扉がノックされた。
「レイア…」
入ってきたのはアイザックである。
レイアはアイザックの姿を確認すると、ベッドに座っていた体を起こし、立ち上がった。
「アイザック兄様!」
小走りで駆け寄ってくるレイアに可愛い!と心をときめかすアイザックだが、真剣な表情になって「どうしたんだ?」と さり気なくレイアの腰を持つ。
「あ!すみません、私ったら。どうぞ、こちらに腰掛けて下さい」
アイザックはレイアに言われるまま、一人用のソファーに腰掛け、対面するようにレイアも腰掛けた。
「私、陛下のことを、真面目にキチンと考えて見たいと思っています」
レイアの顔は至って真剣で、アイザックは一瞬驚きレイアの考えを聞いた。
「陛下に…嫌なことをされたのは最初に会った時だけです。それからは、とても良くして貰って、優しく民を支える良き王だと実感しました。もし、陛下が私を必要としてくれているのなら、私は陛下の支えになれたらいいと思って…」
両手を膝に付けているレイアの必死さに、この考えは結構前から思っていたことなんだろうと察するアイザック。
「陛下のこと好いてきたのか?」
アイザックの質問に、レイアは吃驚して首を横に振る。
「陛下は、とても尊敬できる方です」
好きではない。と遠回しに言っていることにアイザックはにんまりと微笑んで、レイアの頭を軽く撫でた。
この話を聞いたのが俺でなくて、レオンだったらレオンは発狂して城の1部でも半壊してしまうだろうな。と苦笑を漏らすアイザック。
そして、優しく
「…そうか」
と笑った。付け足しで、この事はまだ誰にも言わない方がいい。陛下のこと好きになったら、公にしよう。と
「分かりました。聞いて下さり有難うございます」
「また、相談に乗ろう」
そう言い残して、アイザックはもう遅いレイアの部屋を後にした。
アイザックが帰って行ってから、ベッドの上に座り枕を抱いてぼうっとするレイア。
レイアは密かに、陛下への今日行った無礼の詫びをどうしようか。アイザックに聞くのを忘れたことに顔を青くして、何をしようかうねり悩むのであった。
「…さっそく、アイザック兄様に相談に乗ってほしい。」
はぁ…と、溜息を落として、明日謝りに行こう。と覚悟を決めたレイアであった。
ーーー同時刻
「陛下、ラーディン国のダイアン王から便りが来ております」
レオンは先ほど届いた便りを陛下に渡す。
「ダイアンから?」
ダイアンというと、レイアの姉のユリアの夫だ。何だろうかと陛下は便りの内容を黙読して、一息ついた。
「明日、こっちに来るらしい」
はぁ?と言った顔をしたのはレオンである。急すぎるからだ。
「侍女らを叩き起こして参ります」
それだけを言って、残業になるな。と頭を抱え侍女長の部屋へと赴いた。
「チッ。どこにもまともな王はいないのか」
毒舌を途中に吐き捨てて……
一方陛下の方は、今日の食事の根源を持ち出したのはあいつだろうと、どう言って仕返しをしようか企む。
レイアへの怒りは全くないのは、当たり前と言っては当たり前だが、レイアは悩み損である。
明日はレイアが謝りに来るだけで、冷徹な陛下は嬉しく頬を緩めるのだろうな。と、知る由もなく眠ったレイアだった。
明日は、陛下にとってどたばたの1日になるだろう。
夜は更けてくる。
明日はどたばたとしています。
ダイアンの訪問。レイアから陛下に会いに。
さて、一波乱はあるのかどうか。
ダイアンの急な訪問は、側近のレオンを始め侍女らに睨まれるであろう。
叩き起こされて来客の準備に明け暮れるのだから




