陛下への攻撃…材料探し
攻撃は…まだです!
材料探しの旅に出てます!
あの2人を決して忘れ…てたわけじゃありませんからね!?
「お母様のこれ、本当に便利ね」
レイアの姉、ユリアが指す『これ』とは、母が魔法で用意した風の移動魔法のことだ。
「今回行くところは遠いからこの方が早いでしょ?はい。着いたわ」
母とユリアが行った場所とは、ユリアの夫ダイアンのいる城だった。
ふわりと固い床に足を落とす。
ダイアンは執務をしている最中のようで左手には羽ペンを握っていた。
「ダイアン」
「ユリア、久しぶりだな。どうした?」
ユリアにダイアンと呼ばれた男は25歳の若さでこの国の王。長い金髪を後ろで一括りにし、透き通った青い瞳が魅力的な整った顔でユリアを見ている。
「私の国の陛下の…秘密って無いかしら?」
ユリアに聞きたい内容を聞くと悪い笑みを見せ、何か嫌なことでもあったのか?とユリアに尋ねる。
「私の大事な妹が陛下に気に入られてしまって、しかも、私の妹を深く傷付けておいて惚れてしまったみたいなの。私達はそんな陛下に大事な妹を渡したくないの。ダメかしら?ダイアン」
愛しい妻にここまで言われて断わる理由も無い。ダイアンはジークにすまんと心の中で念じて陛下の知られざる秘密を話し、数枚の写真を渡した。
「とても興味深い話でしたわ。ダイアン、またこっちに来てね。」
ユリアはダイアンに濃厚なキスをし、母が作り上げた移動魔法で戻っていった。
「相変わらず貴方はダイアンと馬が合うみたいね。特に陛下に関してのことで」
フフッとした笑みを見せ母が言う。
ダイアンとジークは世間で言う幼馴染というやつだ。ジークの国とダイアンの国は元々仲が良く、小さい頃から遊んでいたらしい。
そのダイアンに陛下の弱みを握ろうと、夫に持ったユリアが聞きに行ったのだ。
「それにしても、幼稚な秘密ね。」
母は自然に溜息が口から零れてしまう。
「まぁ、男にしては恥ずかしい秘密なのでしょうけど…」
「そーだ!良いこと思いついたわ!」
ユリアが突如満面の笑みをして両手を叩いた。
この時のユリアの考えは至って『良いこと』なんかでは無い。
だが、そんなユリアの考えも今はとても『良いこと』だろう。
「レイアにあーしてこーして貰ったらどうかしら?」
ユリアの考えに母は思わず笑んで
「いいわね。それ」
と、乗り気になった。
「決まりね!早速レイアに届けてみましょう!陛下…どんな反応をするかしらね…………ふふふふふ」
ユリアは可愛らしい笑みとは裏腹に不気味な声が形のいい唇から聞こえた。
**一方陛下は**
そんな怪しい会話をレイアの姉と母がしているとは考えもしていない陛下は大きなくしゃみをしていた。
「ぶぇっくしゅん!!…風邪か?」
「陛下ーーーこれも追加ですって!」
ウィリーがドサッと自分の体の半分くらいの紙切れを机の端に置く。
何十枚もの紙切れを見て溜息を漏らす。
「これ、今日中に終わるのか…?」
陛下の言葉にウィリーもおろか、誰も答えてはくれなかった。
後には陛下の深い深い溜息だけが執務室に残った。
なんの写真なのでしょうか…




