暖かさ
「驚いたか?」
悪戯がバレたような顔をして、私の頬を撫でてくれるのは見間違えるはずが無い、アイザック兄様だった。
「…どうして、王城に?」
もう家族に会えないと思っていたのでアイザック兄様に会えた喜びから頬を緩ませながら聞く。
「この俺があっさりとド変た…ごほ、陛下に渡すとでも?」
アイザック兄様、風邪気味かしら…と見当違いの解釈をしながら、アイザック兄様に会えたのが嬉しくて満面の笑みで口を開いた。
「思いません…」
レイアのはにかんだような笑みにアイザックも笑顔になり、レイアを強く抱き締める。
「此処に居ても、俺たちに会おうと思えば会えるから。こっそり泣くなよ」
いつも通りの優しいアイザック兄様に、はいっと返事をしてぎゅっと抱きしめ返す。
「アイザック兄様、私、王妃になる…わけですけど、基本的に何をすれば良いのでしょう?」
陛下に連れてこられるままに王城に来たが、肝心に何をすれば良いのか分からない。
「大丈夫。王妃になるにはある期間中、王城で暮らさなくてはならないし、家族の承諾も必要だ。
それに、陛下はまだ式を挙げないよ。期間中、ゆっくりとこの城になれると良い。たまに顔を見に来るしな。」
「はい。待ってますね。兄様…大好きです」
「あぁ、俺もだ。」
そう言いアイザックはレイアの額にキスを落とした。




