60:不穏なる知らせ
初投稿はおしまい!
――騒動より一週間が過ぎた頃。
すでに復興作業は片付けの段階を終え、住居の修復・建設作業に移っていた。
ヴォーティガンの凶拳によって起きた衝撃は凄まじく、地震となって数百軒もの家屋を倒壊させたのだが……。
その被害規模を考えれば、驚異的な復興スピードである。
それは、住民たちが老害アイドル×2に励まされながら努力したのもあるが……、
「――現れろ、トロールにゴブリンたちよ。トロールは資材運びは任せたぞ、ゴブリンは細かな作業を頼む(がんばれ~)」
『グゴォオオーーーーッ!』
英雄・クロウが刃を振るうと、闇色の輝きと共に何体もの魔物が現れた。
魔物たちはクロウに従い、率先して人々の作業を手伝っていく。
「お~出た! クロウ様の魔物召喚!」
「俺たちのこと襲ってこないし、どんな仕事もホイホイやってくれるんだよな~」
「龍殺しの英雄の前には魔物も屈するってわけか!?」
当初は戸惑った民衆たちだが、一週間もすれば慣れるというものだ。
魔物召喚の原理は知らないが、尊敬すべきクロウ・タイタスの従僕たちなら問題はない。
そう信じ、今では魔物を撫でてみたり、弁当のおかずを一品あげてみる程度には慣れ親しんでいた(※なお、魔物たちは人間たちから犬猫のような扱いをされて困惑している模様)。
「ふぅ、消費魔力の調整にも慣れてきたな……(俺にとっては死活問題だからなぁ)」
そうして人と魔物が協力し合う光景を見ながら、クロウは一息ついた。
あの魔物たちもそうだが、今のクロウの左腕や臓器を実体化させているのは、魔導兵装『黒妖繊刃ムラマサ』を用いた“霊魂実体化魔術”によるものである。
兵装内の魔力が尽きればクロウは死んでしまう身だ。
それゆえ復興の手伝いも兼ね、出来るだけ魔力を浪費させることなく術を使用する感覚を掴もうとしていた。
……あと。
「(……なぁ、ムラマサくん。この『魂を実体化』させる術って、俺の左腕や臓器みたいに、一部分だけを実体化もできるんだよな? じゃあ、色んな魔物の部分を、組み合わせて召喚することも可能か?)」
――ム……!?――
クロウが言いたいのはつまり、『様々な魔物の部位からなる合成獣は作れるか』……ということである。
この発想にはムラマサも唸った。
流石は我が器。黒龍を討伐した時のように、戦闘に関わるセンスと発想力は凄まじいモノを秘めている……と、内心感心する。
――霊魂実体化魔術 極メレバ 可能ッ!――
「(そうかぁ……!)」
その回答にクロウは喜ぶ。
だって、それなら。
「(色んな魔物の女の子っぽい部分集めて合成させたらッ、エロいことの練習台に出来るな――ッ!!!!!!!)」
――……………エェェ……………?????――
……ある意味戦慄するムラマサ。
コイツは強力な術を使ってナニを考えているんだと、色々とぶっ飛んだ器の思考についていけなくなるのを感じた。
「(うぉぉぉぉぉ頑張るぞぉぉぉぉぉぉ……!)」
ちなみにクロウは真剣である。
小心者で実はヘタレなコイツだが、外面だけはカッコよく見せたいという将来的老害ランキング有力株な人間性をしているのだ。
そんなクロウは今、様々な勘違いから女騎士・アイリスと女王・エルディアと恋仲の関係になってしまっていた。
「(いつか訪れる逢瀬の時ッ、“ヘタだなぁクロウくん”“ヘタクソですねぇクロウさん”――なんて言われるわけにはいかねぇええッ! 実は童貞なことがバレないようにッ、頑張るぞォォォオオーーーッ!)」
……アホな方向にやる気を滾らせるクロウ。
もうお前、実はお前の貞操を奪ってる頭ピンクの親子に相手してもらえ、あと他に相手してくれそうなオンナ山ほどいるだろ気付けお前とムラマサは思うが、もうくだらなすぎるので放置することにしたのだった。
「おぉ……クロウ様のやる気がすごいぞ! オーラが出てやがる!」
「地味な復興作業にここまでやる気になってくれるたぁ、本当に民衆思いな人なんだなッ!」
「流石、本来なら帝王になってもおかしくはない立場のお人だよ……っ! 俺たちも頑張るぞ!」
ともかく、無駄にやる気があるおかげで魔術の練度を伸ばすクロウと、彼がアホな理由で頑張ってるとも知らず感化されて励む民衆たち。
そんなアホの熱伝導システムによって復興は鬼のようなスピードで進んでいくのだった。ゴミである。
と、その時だ。
「――クンクンクンクンクンクンッ! あ、いた! クロウさ~~~~~んっ!」
犬のごとく鼻を鳴らしながら、一人の少女がクロウの下へと駆け寄ってきた。
「ん……あぁ、ヴィータか」
「どうもですクロウさんっ! お久しぶりですぅ~~!!!」
現れたのは、かつてクロウから闇より引き上げられた――と勘違いしてる少女、ヴィータ・フォン・カームブルだった。
銀色の髪の年若い彼女。それだけなら白髪幼女のエルディアと似通ったところがあるが、圧倒的に違うのは胸だろう。
アイリスへの偏執的な思いから女性ホルモンをビュルビュルして育った彼女の身体付きは、クロウを内心(むむ!)と反応させるほどだった。
「久しぶりだな、ヴィータ。怪我はもう治ったようだな……(ふぅ~落ち着け落ち着け。エルディア様と違って、ガチロリなこの子に反応したらアウトだってばよ……!)」
なお、一応は常識人なクロウは手を出さない。
表向きはキリッッッとした顔で対応する。
「えへへぇ、この通りヴィータは元気いっぱいですよぉ~!(あぁクロウさんクロウさんクロウさんクロウさんクロウさんクロウさんクロウさんクロウさんクロウさんクロウさんクロウさんクロウさんクロウさんクロウさんクロウさん♡♡♡ 相変わらず澄ました顔をしてらっしゃぃますぅッ! きっと私のことなど一切欲目で見ず、民衆の安寧を考えてらっしゃるのですね!? そこがいい~~~~~!!!!!!!♡)」
流石は光の救世主様ぁと信奉するヴィータ。
実際はかなり理性が危ないことになってるのだが、彼女は全く気付かない。
「それで一体どうしたんだ? わざわざ帝都までやってきて」
「えぇ。実は相談すべきことがありまして……」
「相談ッ……!?」
クロウは思わずビクッとする。
つい先日、若き宰相・アリトライから『美少女になった父に反応しちゃったんですけどォッ!?』という異次元の人生相談を受けたばかりである。
答えに窮し、とりあえず『想いから逃げるのはラクだが、進んでみるのも選択肢だと思うぞ!』とテキトーに良いことを言って逃げたのだが……。
「今考えると、進む選択なんてしたら色々アウトだよなぁ……。まぁアリトくんは賢いから大丈夫だと思うが……」
「ん、どうしたんですクロウさん?」
「い、いや何でもない。それで相談とはなんだ? ……まさか恋愛相談なのか……!?(もう嫌だぞアブノーマルなのは!)」
「って違いますよぉ!(クロウさんが冗談言った~!)」
割と本気でクロウが嫌がってるのも知らず、内心キャッキャとするヴィータ。
彼女は咳払いを一つすると、クロウの耳元でこそこそと囁いた。
「実は、我が実家――武家貴族、カームブル家が怪しい動きをしています」
「なにっ?」
「今回はその件について、クロウさんと……」
ヴィータはちらりと郊外を見る。
そこには一つの古めかしい城塞――『帝国魔導騎士団・大本部』が。
「我ら魔導騎士がトップ。騎士団長、クロード・フォン・ブラックモア様にご意見を伺おうかと……!」
ここまでありがとうございました!
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・ ≪ユグドラシル・オンライン≫ ~『死に戻り』で逝くデスゲーム攻略記~
というデスゲーム内で頑張るだいたいソードアートオンラインみたいなTS主人公作品を別サイトで書いてます。
次回、出産して母乳出ます。えぇ。




