59:新たなる時代へ
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「おーし、今日も復興作業頑張るか~!」
「騎士の皆さんも手伝ってくれてるんだから、俺たちも頑張らないとな!」
「おし、まずはあそこの瓦礫を片付けるぞー!」
――『レムリア帝国・異変の時』より数日。
王弟・ヴォーティガンの異常な力によって中心部の崩壊した帝都だが、民衆たちは混乱することなく、熱心に復興作業を進めていた。
それは、英雄・クロウや最強の女騎士・アイリスが皆を鼓舞し、率先して作業を手伝ってくれているのもあるが、
「――皆の衆ッ、どうか怪我だけには注意するんじゃぞっ! 儂にとっては、皆こそが宝なのだからッ!」
……幼い少女の声に、人々は『オーッ!』と掛け声を返す。
そう。復興を指揮する『彼女』こそ、民衆たちを盛り立てる偶像的存在。クロウやアイリスにも引けを取らない、新たな帝都のアイドルだった。
――なお!
「みんなァ、このジルソニアがついておるぞッ! 力を合わせて頑張るのじゃッ!(くそがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!! なんで儂が汗水垂らしてクソ民衆に尽くさにゃアカンのじゃあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!)」
……麗しき幼女の正体は、死んだと思われていた老害帝王・ジルソニアだった――!
そうして内心(クソがどうしてこうなったみんな死ね死ね死ねッ!)と老害電波を発する彼女(?)に、これまた見目麗しき少女が声をかける。
「おぉおぉ、流石は元帝王陛下っ! 今日も頑張っておいでですな~?♡」
「あっ!(げっ!?)」
妙にねちっこい喋り方をするその少女。
もしも年配の男であれば嫌味満載に聞こえたかもしれないが、少女の声で発すれば蠱惑的にも聞こえる。
だが、この女の正体も……、
「この元宰相スペルビオスッ、汗にきらめく陛下の姿に惚れ直す思いでございますっ!♡(ざぁまあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!♡♡♡♡♡♡♡♡♡ 可愛く無様で笑えますねぇゴミ上司ッ!!!!!!!♡♡♡♡♡♡♡♡♡ 粉塵吸い込んでそのまま死になさい!!!!!!!!!♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡)」
――老害帝王に従っていた老害宰相、スペルビオスだった!
「こっ、これはスペルビオス! おぬしも手伝いに来てくれたのか!(テメェッ! 儂の働く姿あんま見るな死ねッ!!!!!!!!)」
「はいぃ♡ 私も心を入れ替え、国民のみなさまのために汗を流しますよっ!♡(オメェーの苦労する姿を近くで見るためにねェッギャハハハハッ!!!!!!!!!)」
仲睦まじげに微笑み合う少女二人。
その光景は人々の心を癒す清涼なモノだったが、実際はドロドロのグチャグチャである。
帝王と宰相は二十年以上仕事を共にしてきたツーカーの関係。
そんな長年育んだ連携力を無駄に使い、アイコンタクトだけでお互いを罵り合っていた。
「共に光の道に生きると決めた者同士、手を取り合って頑張ろうぞッ!(死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!!!!!!!!!!!)」
「はいっ! 偶然にも掴んだ第二の人生ッ、人々のために尽くしましょうっ!(お前が死ねお前が死ねお前が死ねお前が死ねお前が死ねお前が死ねお前が死ねお前が死ねお前が死ねお前が死ねお前が死ねお前が死ねお前が死ねお前が死ね!!!!!!!!!!!!!)」
……端的に言ってクソである。
かくして脳内でボコボコと殴り合う老害コンビ。
なぜ彼女たち(???)がこんな姿になったのかというと、それは二人の死因となった『黄金の杖』が原因だった。
「さぁ、協力して働くぞ~!(クソォ、まさかスペの野郎まで蘇るとは……あの杖め)」
ジルソニアが“人を溶かす杖”と認識していた、かの魔導兵装。
その正式名称は『金星天杖テイレシアス』という。
テイレシアスとはギリシャ神話の登場人物であり、非常に奇妙な過去を持った男だった。
その過去とは、『セックスしてる蛇を面白がって杖で叩いたら女になった』――というものである。
……もう訳が分からない。
理解不能な上にあまりにも幼稚すぎだろう、テイレシアス。
ともかく王家に引き継がれてきた杖はそのゴミエピソードが能力化しており、『この杖で殺された人物は性転換して生まれ変わる』という頭のおかしい力を持っていた。
つまり帝王や宰相の肉体が溶けたのは、身体が作り変わるための一工程に過ぎなかったわけである。
「よしっ、二人であの瓦礫を運ぶぞ!(キビキビ働けクソスペ~!)」
「はいっ、承知いたしましたーっ!♡(指図すんなクソジル~!)」
こうしてクソから綺麗なクソへと生まれ変わった二人。
ちなみに周囲には『死んだ瞬間、神が現れて“反省したお前に慈悲をやろう”と生まれ変わらせてくれたのじゃ~!』と帝王は咄嗟に嘘を吐き、さらに帝王が善人になるフリをこっそり見ていた宰相がシレッと現れ『心を入れ替えた私にも、“同じく生まれ変わり善行に生きよ!”とおっしゃられました~!』と追従。
かくして、反省なんて一切してないし心も入れ替えてない二人は、『心からの贖罪を望んだことで、神より奇跡を受けた元罪人』という、無駄に神秘的な存在に成り上がったのである。
なおこの雌老害共がそんな嘘を吐いたせいで間接的に治安がアップ。
帝都が混乱する中にあっても刑務所で暴動が起きることはなく、囚人たちはみな『俺たちも反省するから美少女にしてくれ――ッ!』と真摯にお勤めすることになったとか。カオスである。
「(クソォォォ! 儂は民衆共に土下座までしたのに、貴様はシレッと善人ぶりおって~!?)」
「(おやぁ陛下ッ、あまり反抗的な目をすると言いますよ!? 私を殺そうとしたこと、言いますよぉ!?♡)」
「(ぐぬぬぬぬぬっ!?)」
ともかく、なんだかんだで命拾いした老害共だが、帝王ジルソニアのほうは非常に不満だった。
憎きクロウに高齢老母寝取りパレードを食らわされ、それでも我慢してクロウや民衆に媚びて善人ポジションを手に入れたのだ。
それに比べて、宰相スペルビオスは何も失ってなさすぎるだろう。
コイツだって、クロウに黒龍単独討伐依頼をイヤミったらしく出しに行った罪状があるのに。
いい具合に世渡りしやがってこの野郎と怒りが止まらない。
「(きぃぃぃぃクソスペムカつくぅぅぅううッ! しかも、童女になったせいで背丈や歩幅が足りなかったりと苦労してる儂と比べてッ、キサマ十代半ばくらいの容姿ではないか!?)」
「(フハハ! 性別と一緒に、『老い』と『若き』も逆転した結果でしょう。私のほうがアナタより少し年下でしたので、そのぶん若くなり過ぎなかったようだ)」
イラつく元帝王に比べ、元宰相は柔らかく微笑む。
彼女(?)は今、『本当に生きててよかった』と思っていた。
(アナタに殺される間際、叫んだとおりですよ。
私は息子のアリトライを愛しています。帝王に媚びを売って世渡りし続けてきたのも、全ては息子に多くの遺産と高い地位を渡すため。その夢も、叶いましたからね)
帝王が罪を暴露したことで、宰相スペルビオスの罪も次々と世に出回ることになった。
その責任を負い、当然スペルビオスも宰相を辞任。
――そして現在は、優秀な事務官であった息子・アリトライが暫定的にその地位を引き継いでいた。
「(息子には一切汚職をさせてきませんでしたからねぇ。新体制的にもありがたい人材でしょう)」
「(チッ、気に食わんのぉ! おぬしだけ全部上手くいきおって!)」
……こうして雌老害二人がキャッキャしつつも、レムリア帝国は順調に光の道へと向かっていた。
現在はエルディアを女王とした新体制発足の準備が進んでおり、テロ組織『黒亡嚮団・ヴァンプルギス』への対策も考案中である。
「(きっと息子は大いに働いてくれることでしょう。フフフ……あとは、美人な花嫁を捕まえてくるのを待つばかりですねぇ。アレは昔から奥手ですので、そろそろ恋の一つでもして欲しいのですが)」
「(知るかボケェ!)」
帝王とは違い、特に罰を受けることもなく済んだと思っている元宰相。
だが、しかし。
「――クロウさん、女性経験豊富そうなアナタに相談があります。実はボク……反応しちゃいまして……」
「ん、なにがどう反応したと?(あと全然豊富じゃないんですけど!?)」
同時刻、クロウは美麗な若者から相談を受けていた。
彼の名はアリトライ・フォン・ティース。元宰相・スペルビオスの愛息子である。
一見少女にも見える美青年だが、優秀な頭脳を持つ秀才だった。
そんな彼は、涙を流しながら言い放つ――!
「実はボクッ、十代半ばの美少女になった父に『アレ』が反応しちゃいましてぇぇええええええええ!!!!」
「ぶっ!?!?!?!?」
「どうすればいいんでしょうクロウさんんんんんんんっ!」
「(って知らねえよッ!?!?!?)」
――こうして宰相の知らないところで、彼の息子はとんでもない方向に人生を捻じ曲げていたのだった
……!
ある意味因果応報である。
・新体制を発表するぜ!!!!!
女王、寝取られ老母エルディア!
宰相、父の若い乳に反応アリトくん!
あと民衆ウケに雌老害×2とクロウ(カス)と貴族代表に夜這い系未亡人フィアナ!(※最近生理こない)
以上だ!!!!!!!(※ 滅 国 )
ここまでありがとうございました!
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