58:決意する英雄――!
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「兄貴は殺した――次はお前だッ、クロウ・タイタス!」
「っ!」
拳を振り上げるヴォーティガンに、クロウはわずかに行動が遅れる。
彼の腕の中には、衣服に隠れるほど小さくなった帝王の肉塊があったからだ。
皮肉なことに、それが窮地へと繋がってしまう。
「死ねぇええええー-ッ!」
そして、振り下ろされた凶悪な拳は――白き刃に、止められた。
「クッ、テメェは……!」
「『白刃のアイリス』、ここに推参した――!」
戦乙女が如く舞い降りた金髪の女騎士・アイリスにより、嚮主の攻撃は防がれた。
彼は「面倒なやつが来たな」と吐き捨てながら大きく距離を取る。
七大幹部が三人もヴォーティガンの下に集い、全力でアイリスを警戒した。
「……すまない、クロウくん。不審な輩が近づかないよう、帝都郊外を警備していたために参戦が遅れた。まさか、敵は既に内側に潜んでいたとは」
「いや……仕方ないさ、アイリス。敵は王弟、こちらの内情を知り尽くした相手なんだからな……」
「クロウ、くん……っ」
王の亡骸を抱えながら俯くクロウ。
そんな彼の初めて見る様に、アイリスの胸がずきりと痛む。
……アイリスが郊外の警備を担当していた理由。
それは、師・エルディアと愛するクロウの仲のいい姿を見たくなかったからだ。
自分は身を引こうと決心したはずなのに……それでもやはり、そんな光景は見たくなくて。
それにより危うく、クロウを失うところだった。
「駆けつける時、遠目に見えたよ。クソだと思っていた帝王が、敵からキミを庇う姿を」
「ああ……!(帝王、いい人だったなぁ……!)」
「脳みその終わった完全老害だと思っていたが。人は、変わることが出来るのだな」
「ああ……!(そうだよッ、帝王すごいんだよ! あの年でクソヘイト野郎から真人間になれるなんてやばいよッ!)」
――なお実際はヘイト街道一直線のまま脳も人生も終わったのだが、そこは誰も知らないところである。
ともかくアイリスは決心した。
自分も、あの男のように堂々と変わろうと。
一人胸の内で想いを改めるのではなく――愛する男の前で、宣誓してみせようと。
「クロウくんッ! かつて私に、女性として好きだと言ってくれてありがとう!
だけどもう大丈夫だ。キミが国を安定させるためにエルディア様と婚約したように、私もこの人生を騎士として費やそう――!」
「ああ……!(って、あ、えあ、え、あぁ!?!?!?!?!?!?!?!?!)」
そして――クロウ側の勘違いが解ける瞬間が訪れる。
「ぁ、ぁぁぁ……!?(えっ、好きって言ったって――え、それって前の街で、師匠として好きって言った時の話!? えッ!?)」
思わず帝王の亡骸をぞんざいに置いてしまうクロウ。
――その時「ぐぇっ!?」と可愛い声がした気がするが、それにまったく気付けないほどクロウは困惑していた。
「ぁぐぅぅぅ……!?(ま、まさかアイリスさん今まで、男女としての告白だと思ってらっしゃったのぉおおおおおおおおおおー------ッ!?!? え、それでアイリスさんも俺に好きって返してくれてたの!!?
っていやいやいやいやいやいやいやいや!?!? たしかにアイリスさんめちゃくちゃ美人で付き合えたら幸せだなぁとは思ってたけどッ、マジでぇえええええええええええ!?)」
もう恥ずかしいのと嬉しいのと訳が分からないので、クロウの顔面は真っ赤になった。
さらに呻き声を漏らしながら全身がプルプルと震えた姿に、敵対しているヴォーティガンらは警戒を極めた。
――心優しき英雄が、完全に激怒していると勘違いして……!
そして、さらに。
「ぅぅ……!?(てかアイリスさん、続けてなんつった!? 国を安定させるために、俺がエルディア様と、婚約したってえええええええええ!?)」
ハッと左手の指輪を見るクロウ(※敵からしたら腰に差した剣を見たように見える)。
送られた指輪の意味に、そして『父親代わりに帝王を叱って欲しい』というだけなのにあまりにもベタベタしてきたエルディアの言動に、クロウは五周遅れで気付いてしまう。
「ぁぁぁ……!(まさかエルディア様ッ、国民から見たら英雄の俺を王族入りさせて、みんなを安心させようと!? 帝王の父親代わりって、マジでその立場になれってことだったのぉおおおおおおおおおー---------!?!?!?!?!?!?)」
そんなクロウに答え合わせするように、ひしっとエルディアが抱き着いてきた。
「冷静になってくださいっ、アナタ! ヴォーティガンは……『わたくしたちの息子』は強敵ですっ、狂乱しては倒せませんッ!」
「ぇぇぇぇ……!?(って嘘だろぉおおおおおおおおおー---------ッ!?)」
……もう完全に混乱の極みである。
そんなクロウの内情も知らず、ヴォーティガンは「どうした、かかってこい……!」と挑発するが。
「――今は、黙っていろ」
「ッッッ!?」
一喝。
あまりにも凄まじい迫力と共に、クロウは嚮主を黙らせた――!
……なお別に怒っているからではなく、もう敵の存在など考えている場合じゃないくらいに頭がいっぱいいっぱいだからなのだが。
ともかく、今更ながらにこの男は、自分がどれほど複雑な立場に置かれているのか知るのだった。
「すまないエルディア……もう大丈夫だ……! それにアイリスも、助けに来てくれてありがとう……!(うわぁああああああああああああああどうしようどうしようどうしようどうしようッ!!! こんな事態になってるのに、今さら二人に『俺、なんも知りませんでした!』とか言えないんですけどぉ!? 俺ってばアイリスさんと想いを交わしながらも、国のためにエルディアさんと結婚することにした立場だったとかなんだそれえええええええ!?)」
キリッッッとした顔のまま、どうしようどうしようと内心頭を抱えるクロウ。
彼は凄まじく察しが悪いが、地頭が悪いわけではない。
情報的材料が揃えばそこからどうなるかくらいの予想は出来る。
「(お、俺このままだと、王様にされちゃう予定なんじゃないの!? だって帝王様死んじゃったし、俺エルディア様の婚約者みたいだし! そ――そんなのやだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!! クロウくんプレッシャーで死んじゃうよぉおおおおおおおおおおおおおー---------!!!!! それにアイリスさんもこのままじゃ救われないよぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!)」
全力でクロウは頭を捻る。
そして数秒。考えて、考えて考えて考えて考えて考えて。
もうとにかく頭を使いすぎて湯気が立ち、それがヴォーティガンたちからしたら闘気に見えるくらい考えて――そして。
「――すまない、エルディア。玉座はしばらく、キミが守っていて欲しい」
「えっ……?」
クロウは、剣を抜いて敵に構えた……!
そして困惑するエルディアへと、前を向いたまま告げる。
「なぁエルディア。たしかに俺が王に成らねば、国家は安定しない状況かもしれない。――だが、どうか今の国民たちを見てくれ。彼らは今にも駄目になりそうな顔をしているか?」
クロウに促され、エルディアは民衆たちを振り向く。
すると、彼らの瞳には。
「……帝王陛下、アンタの勇気は目に焼き付けたぜ……!」
「俺たちも、光の道に生きてやる……ッ!」
「おい王弟。アンタの辛さはわかるが、あまりにもやりすぎだ。もう許せねえよ……ッ!」
そこには、確かな意志の炎が宿っていた。
愚かしき自分を恥じ、そして最後は勇敢なる王として散ったジルソニアの魂。
それが、民衆たちに受け継がれていた……!
「みなさま……っ!」
「これが答えだ、エルディア。帝王のおかげで人々は強くなり、そして目の前には討つべき黒幕がいる。だったら、俺が王になるのは今じゃない」
一歩前へ歩み出るクロウ。
そこは、アイリスの隣だった。
「クロウくん……!」
「アイリス。今しばらくは、俺も騎士として生きるさ。
――それと、人生を騎士として費やすなんて言わないでくれ。告白した者として……アイリスのこともいつか、幸せにしてやりたいんだから……」
「っっっ!? そ、それって……っ!」
照れるように微笑むクロウに、アイリスの両目から涙が溢れる。
幸せにしてやりたい――それはつまり、そういうことで。
「あ、ありがとう……クロウくん……! その時はどうか、私のことを愛してくれ……!」
「あぁ、大切にするさ……」
――かくして、混沌としていた状況をどうにか落ち着けたクロウ。
なお。
「さぁッ、いくぞヴォーティガン!(よぉおおおおおおおおおおおしッ! イイ感じの悪の組織がいたおかげで、どうにか王様になる問題先送りじゃぁあああああああッ!!!!!!
それにアイリスさんとの関係も、今しばらくは戦友のままキープできるなッ! だって俺童貞だしッ、いざそういう関係になった時に手間取って鼻で笑われたらショックだしッッッ!!!!!!)」
頭を回した結果、クロウが辿り着いたのは時間稼ぎである――!
敵組織がいるのをいいことに、結婚問題も恋人問題も全部遅延させるクロウ。完全にドクズの所業である……!
「(ふぅ~なんとかなりそうだ。今のうちに俺より王様に相応しいヤツ見つけたり、あと女性に慣れる訓練とかしておくかなぁ……!)」
……とかなんとか思ってホッとするこの男だが、実はまだピンク親子の夜這い問題が残っているのはこの時一切知らなかった。
しかも、そのうち片方がお腹をポッコリさせながら目の前に現れるのだが――とにかく。
「ヴォーティガン、お前を斬る……!(出来れば頑張って生き延びてくれよ!!! 俺が女性問題から逃げるために!!!!!!!!)」
……こうしてクロウは、『仕事に逃げてる間は女性トラブルもどうにか後回しに出来る』というテクを覚えたのだった。
端的に言ってカスである。龍殺しの英雄がこんなショッッッボい理由で悪の組織と戦ってると知ったら、全国民一億石投げ不可避だろう。
頼むから国から出て行って欲しい。
「――チィ。忌まわしき英雄よ、お前を殺してやりたいが……流石に状況が悪いな」
周囲を見るヴォーティガン。
目の前にはクロウとアイリスという最上級の敵二人が構え、さらに警備の騎士も続々と集まって来ていたうえ、戦意を滾らせる何十万もの国民がいる。
流石のヴォーティガンも、これにはお手上げだ。
「悔しいがクロウ、今回は退かせてもらうぜッ!」
「なんだと!?(やったー---------!)」
ヴォーティガンは地面を全力で殴り叩いた。
その瞬間、大爆発でも起きたように周囲一帯の大地が吹き飛ぶ――!
砕け散る瓦礫と粉塵の中、ヴォーティガンたちは姿を消していった。
「いつか絶対に殺すからなァ、クロウ・タイタスッ!」
「待て、ヴォーティガン!(バイバーーーーーーーーイ!!!)」
――かくして、今日。
英雄と帝王が民衆たちの心を塗り替え、そして復讐の王弟が正体を現したこの日は、『レムリア帝国・異変の時』と呼ばれるようになるのだった。
その歴史の真っただ中で、主役たるクロウは決意する。
「ヴォーティガン、いつか必ず貴様を討つ……!(その日までにエロ本とか拾ってテクニック勉強しよ!!!!!!!!!!!!!!!)」
キリッッッとした顔で、内心ゴミのようなことを考えるクロウ……!
こんな男が英雄扱いされることは、まさに運命の皮肉だった……!
・ ゴ ミ 。
ここまでありがとうございました!
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