49:赤ちゃんできたよ、クロウくん!!!!!!
初投稿です
「他に帝王からの刺客がいないか、私は周囲を警戒してくる。どうか師匠は、あの男のことをクロウくんに教えてやってくれ」
剣を片手に部屋を出るアイリスさん。
金髪のたなびく背中が本当に頼もしい。あの人には出会った時から頼りになりっぱなしだってばよ……! すき。
「――ではクロウさん。アナタの命を狙っている、帝王のことについて話しましょう」
そして二人っきりになったところで、エルディア様が口を開いた。
「なぜジルソニアが……私の息子が、アナタのことを殺そうとしたか。それは、『優秀な庶民』という存在を憎んでるからです」
長い睫毛を悲しげに伏せ、エルディア様は語り出した。
……ちなみにクロウくんってば全然優秀じゃないんですけどぉ?
「私の子であるジルソニア。あの子は昔から才覚に優れ、周囲から期待されている存在でした。それに幸か不幸か、他の子どもには恵まれませんでしたからね。あの子が十歳になるまでは、誰もがジルソニアこそ次の帝王になるだろうと信じていた」
「十歳になる、までは?」
彼女の言葉に首を捻った。
他に兄弟もいなくて優秀だったら、考えるまでもなく王になるんじゃないのか?
そんな疑問に彼女は答える。
「それがですね……ちょうどその頃に、我が夫であった王の不貞が判明しまして。メイドの一人に、子供を産ませていたのですよ」
「あぁ、それは……」
面倒そうな問題が起きたなぁ……と思う。
庶民の俺には全く縁がない世界の話だが、当時の関係者たちがてんやわんやになる姿だけは想像できた。
「お察しの通り、王宮はもうパニックですよ。中には『混乱の火種にならぬよう、その子供を殺そう』と言い出す臣下もいまして。あの時は大変でした……」
ふぅ、と溜め息を吐くエルディア様。
見た目は七歳だが語ってる内容はドロドロだ。
政略結婚で無理やり嫁ぐことになったとも言ってたし、こんな見た目でかなりハードな人生を歩んでいるのだろう。
「それで結局、メイドの子供は第二王子として王宮で育てることになりました。もちろん反対はありましたが、渦中の存在であるジルソニア自身が『彼を弟として認めたい』と言ってくれましたからね。引き取ってからはよく遊んであげてましたよ」
「ほう……(はえぇ)」
帝王ジルソニア、いいやつじゃんか。ライバルになりそうな子を受け入れるなんて。
王の子供だとわかった以上は、もうその子は庶民として生きてもトラブルまみれになりそうだしな。だったら王宮に引き取られたほうが安全だ。それにイイお兄ちゃんしてたそうだし。
となると、
「エルディア様」
「エルディアでいいです。あと敬語も結構ですから」
ってまだ言うんかい! もうわかったよッ!
「……それで、エルディア。そんな帝王ジルソニアが、なぜ庶民を憎むように?」
「ええ……単純な話、その庶民の血を引く第二王子が、あまりにも優秀過ぎたんですよ……!」
絞るように彼女は語る。
曰く、ジルソニアより一回り年下の第二王子だったが、引き取られてから一年ほどで勉学の知識が兄に追いついてしまったと。
曰く、武勇の才能にも優れ、こちらはわずか三か月ほどで兄を打ち負かすようになってしまったと。
そのうえ容姿も整っており、幼い頃は天使のようだと可愛がられ、成長してからは金髪の美丈夫となって上流階級のマダムたちを魅了したとか。
……なんだその弟。そんな完璧超人が弟になったら、めちゃくちゃしんどくなりそうなんだが……。
「あとはもう簡単ですよ。周囲の期待は弟のほうに注がれていき、兄ジルソニアはすっかり日陰者になってしまいました。
あの子も決して凡才じゃありませんが、あまりにも相手が悪かった。そして、次第に性格が歪んでいき……」
「弟のような、『庶民の血を引く優秀な者』を恨むようになったわけか」
俺の言葉に彼女は頷く。「今や醜い老害になってしまいました」と、息子の末路を酷く嘆いた。
……なるほどなぁ。要するに帝王が俺をブッ殺そうとしたのは、その弟への八つ当たりみたいなものか。
死にかけた身としては迷惑な話だ。やっぱり許せない野郎だなぁと思うが……でも、王の気持ちも一応汲めるところはある。
「理解した。決して許す気はないが、まだ哀れむ部分もある悪党だと判断しよう」
「っ、すみません、ありがとうございます……!」
俺の返答に、彼女の表情が少しだけ救われたようになる。
ったく、帝王のやつめ。こんな綺麗でちっちゃなお母さんを悲しませるなっつの。
「王の人格を矯正するのは、難しそうか?」
「それは……本当に、申し訳ありません。わたくしも、ジルソニアの企みが発覚した時点で潰し、何度もこんなことはやめろと忠告してきたのですが……収まらず……」
「苦労するな。……ちなみにエルディア。先王はもう生きていないのか? 先王からヤツを諫める言葉が下ったとなれば、政治的にも動きづらくなると思うんだが」
要するにパパに怒ってもらえってことだな。
だがエルディアは細い首を横に振った。
「残念ながら、先王はすでに先立たれました。……わたくしも思う時がありますよ。ジルソニアは父に懐いていましたので、もしあの人が生きてて叱ってくれたらって」
ふーむ、死んでるならダメかー。
ていうかエルディアさん、また暗い顔になっちゃってるな。見た目は七歳くらいの女の子だから、泣きそうな顔されるのはキツいっての。
よし、気遣いの達人であるクロウくんは女の子に優しくがモットーだぜ。
ここはジョークで笑わせてあげますか!
「それならエルディア、こんなのはどうだ?」
俺は懐から指輪を取り出した。さっきエルディアが王族ジョークで渡してきた、国家の紋章が入った指輪だ。
俺はそれを、自分の左手の薬指にはめ込んだ。
「なっ、クロウさんっ!?」
おぉ、この指輪ってばするりと入っちゃったな。小さな女の子がしてたヤツだからキツいと思ったのに。まぁいっか。
そして俺は、指輪の嵌った手をエルディアに突き付け、フッと笑みを浮かべて……、
「俺が父親代わりとなって帝王を叱ってやろう。そうすれば、イイ子に戻ってくれるかもだろう?」
「ッッッッッ!?!?!?」
ふははははは、どうだエルディアさん!
俺みたいな若造が親父面して『バカモーン!』とか言って来たら、帝王様ってば泡吹いて怒っちゃうだろうな!
それを考えたら笑えちゃうだろう?
――そんな反応を期待して、エルディアさんを見つめると……、
「ク、クっ、クロウさん! それはつまり、そういうことですよねッ!?」
「え?」
「あの子の父親代わりに叱るということは、つまりそういう意味ですよねッ!?」
な、なぜかにじり寄ってくるエルディアさん……!
心労で張り詰めて顔に、一筋の涙がこぼれる……ッ!
え、なにその反応!?
「お、お願いします、クロウさんッ! わたくし一人じゃ、もう限界だったんです……!」
まるで、地獄に垂れた糸を掴むように。
エルディアさんは小さな手で、指輪の嵌められた俺の手をギュッと抱き寄せた。
「どうかわたくしと一緒に、あのバカ息子を叱ってくださいッ!」
「あ、あぁ……(って、え!? マジで!?)」
――こうして俺は数日後、会ったこともない(※エルディアさんの)息子を叱ることになったのだった……!
って、えええええええええええ!?
エルディア「ママこの人と結婚するから…♡」
殺そうとしてた男が王家の指輪をはめて母親と腕を組みながら目の前に現れることになるジルソニアくん「はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
ここまでありがとうございました!
『面白い』『更新早くしろ』『止まるんじゃねぇぞ』『死んでもエタるな』『こんな展開が見たい!!!』『これなんやねん!』『こんなキャラ出せ!』『更新止めるな!』『もっとジルソニアくんの脳破壊しろ!!!!!』
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