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45/64

45:復活のクロウ

今日から投稿していきます!


 ――ドラゴンとの戦いからどれだけの時間が経っただろうか。


 俺の意識は暗闇の中で目を覚ました。

 一寸先すら何も見えない。さらには踏みしめる地面すらなく、まるで魂だけでその場に浮かんでいるようだ。

 明らかに異様な場所だ。病院内などでは断じてないだろう。


『……もしかして、ここが死後の世界ってやつなのかな。あれから俺は死んじゃったのか……?』


 ……無理もない話か。片腕の欠損を抜きにしても、俺は致命傷を受けまくっていた。

 それに覚えてる限り、最後は何やら仮面の武装集団に襲われてたしな。

 ティアナさんが駆けつけたあたりで意識を失ってしまったが、果たして彼女はどうなったのか……。


『無事だといいけどなぁティアナさん。童貞のまま死んじゃった俺なんかとは違って、生きて青春してほしいってばよ……』


 はぁぁ……今更ながらにへこんできた。

 まさかこんなに早く死ぬことになるなんて思わなかったよ。可愛い嫁さんゲットして平和に暮らす夢がパーだぜチクショウ。


『まぁ、死んでから後悔しても遅いかぁ。来世に期待してもう寝よ』


 そうして俺は瞳を閉じた。

 といってもどうせ暗闇の中なんだから意味はないけど、気分だ気分。


『うぅー……寝て起きたらきっと天国に昇ってるんだ……! そこで魂を休めたあとは来世に転生タイムだな。クソザコ根暗野郎な今とは違って、実はめちゃくちゃ強い系のクールなイケメンに生まれるんだ……』


 ――……クチャ……――


『新生クロウくんは村のみんなから慕われるカリスマ持ちなんだ。フカシくんとかいう噓つきのアホしか話す相手がいなかった前世とは違うんだ。それであるとき村にテロリスト黒魔導士が襲ってくるんだけど、偶然にも剣を手に入れた新生クロウくんがやっつけちゃうんだ。そこから始まる英雄譚……今の俺ならバトルなんて嫌だけど、新生クロウくんには自分でも知らないような莫大な戦いの才能があるから無双しちゃうんだ。その過程で巨乳女騎士たちに無自覚にモテまくってチヤホヤされまくるんだ……!』


 ――……クチャクチャ……!――


『それでなんやかんやで偉業を成して、美少女な王族とかにも気に入られたり、実は騎士団の団長が父親だったりで就職コネ無双して国の重要ポストに就いちゃって……!』


 ――クチャクチャクチャクチャッ! クチャクチャクチャクチャッッッ!――


『っっって、さっきからクチャクチャうるさいんですけどォォォオ!?』


 なんなんだよもうッ、クロウくんが真剣に人生設計してるときによぉ!

 一体誰が変な音を鳴らしてるのか、俺はプンスカしながら目を開けた。すると、



 ――美味ウメッ! 美味ウメッ!――



『うわぁ……』



 ……いつの間にそこにいたのやら。

 死んでようやく離れられたと思っていたクソソード『黒妖殲刃ムラマサ』が、半透明のクソデカドラゴンの魂をギュボボボボボボと吸い込んでいた。


 ――味、量、両方満足……! 龍魂最高……!――


 頬袋でもあるのか柄のあたりが膨らむと、ムラマサはご満悦な様子でクチャクチャと音を鳴らし始めた。

 ってその不快な音、お前の咀嚼音だったのかよ。

 

『殺しは100点なのにマナーは0点とか害悪の極みじゃん……。あとムラマサくん、なんでお前も死後の世界にいるわけ?』


 まさか死んでもついてくる気なのかコイツ?

 まぁ挑戦してみてもいいけど、天国行きからの転生無双な俺と違ってムラマサくんはクズだから地獄行きだと思うよ? だから諦めたほうがいいんじゃないかな?

 そう忠告する俺に、ムラマサくんは刀身を横に振った。なんじゃい。


 ――ソモソモ ココ 死後ノ世界、違ウ。器ノ 精神世界――


『えっ、そーなの!?』


 もしかして俺、死んでないの!?


 ――あとオマエもクズだから地獄行き――


『ってなんだとてめぇ!?』


 俺のどこがクズなんじゃい!? しかもなんでこんなときに限ってクソ流暢に喋るんだよ!

 

 ――器、女ヲ 何人モ タラシ込む、クズ……!――


『は? 非モテの俺になに言ってんだお前?』


 ――……――


『ってなんだよ!?』


 言いたいことがあるなら言えよ!

 剣のくせにもの言いたげな雰囲気醸し出すなよ!


 ――クチャクチャクチャクチャ……!――


 あと人と話しながら最低な咀嚼音出すのやめろ馬鹿!


 ――クチャクチャ……ゴクンッ! 必要量、摂取完了。残リ、非常食トシテ 放置。お弁当にする――


 魂を食べるのをやめるムラマサくん。

 いや、人の精神世界に食いかけのドラゴン放置するなよ……。それ腐ったりしない?


 ――知らん。ソレヨリ モ! 我、進化スル!――


『え、進化!?』


 あー、そういえばなんかそんなこと言ってたな! あのドラゴンを食べればするかもとか。

 うーん。とても嬉しそうなところ悪いんですけど、俺的にはちょっと困るなー……!


『よくわからんけど強くなるってことだろ? そしたら俺の身体の支配力も上がって、今度こそ完全に手放せなくなるかもなんだろ……!? えー、嫌だよそんなの! 俺もう平和な生活に戻りたいんですけどっ!?』


 ――デモ 我進化シナイと 器死ぬ――


『ぬん!?』


 って、死ぬってどゆこと!? 俺ってば無事だったんじゃないの!?


 ――器、臓器潰れマクリ。多臓器不全デ、衰弱死確定――


 あぁー……なるほどね。黒龍に振り回された時、加速度の負荷で全身グチャグチャにされたもんね。そっから地面にダイブすることになったし、そりゃ内臓の五つや六つは壊れてるか。


『騎士団のポーションとかでも、臓器の復元は難しいらしいからなぁ。……なのにお前が進化すれば助かるって?』


 ――是――


 ムラマサはこくりと頷いた。


 ……こいつは腹を満たすためなら俺の身体をボロ雑巾にする鬼畜ソードだが、これまで嘘を吐いたことはない。俺をぬか喜びさせるメリットもないし、マジの話なんだろう。


『……おしわかった! それなら進化しちゃってくれ!』


 そういうことなら仕方ないと納得する。

 俺だって死にたくないからな。俺の身体を滅茶苦茶にするのが趣味のコイツの束縛が強くなるのはすげー嫌だが、背に腹は代えられない。

 というわけで俺が頷くと、ムラマサはパァ~っと嬉しそうな気配を出した。

 そんなに俺を操り人形にして食道楽したいのか?


 ――我、器ト魂一体化シテル! ソレ故、進化ニハ器の『強イ意志』ガ必要!――


『強い意志だと? 俺ほどヘボヘボな男はいないが? ふふん』


 ――自慢スルナ。強イ意志……ソレ ハ 願望、希望、渇望等ノコト。ソレラ ヲ 強ク 心カラ サケベ!――


 ほー--、願望に希望に渇望か! それなら溢れまくってるぜッ!

 そいつを叫べばいいんだな? よし、やってやろうじゃないかッ!


 ――器ヨ。貴様ノ願望ハナンダ?――


 質問と同時に、ムラマサの刀身から闇色の魔力が噴き出した。

 己が精神世界が黒く染まる中(※あとで掃除してほしい)、ヤツの問いかけに俺は答える。


『俺の願望――それはぶっちゃけ、チヤホヤされながらぐーたら生きることだッ!』


 ――ウ、ワァ……――


 ムラマサから微妙な気配を感じるが、これが俺の素直な思いだ。


『“みんなのために悪を裁く断罪者”なんてキャラになっちゃったけど、もう卒業したいですハイ! ありとあらゆる苦しみも責任も全て背負うことなく、俺は平和に生きたいってばよッッッ!』


 俺はもう苦しみたくないんだよ。ここ最近の間にクロウくんってば一生分がんばったからな。もう余生は好きに過ごさせてくださいッ!


 ――器ヨ。貴様ノ希望ハナンダ?――


『俺の希望――それは、めちゃくちゃ世話してくれてお金もくれる巨乳な嫁さんを手に入れることだッ! そのためになら何でもするぞッ! あ、戦うこと以外で!』


 ――ウワ、ウワァ……!――


 ものすごく何か言いたそうなムラマサを無視する。

 そう、もうクロウくんは欲望に正直になるよッ! これまではほどほどの美人な嫁さんがゲットできたらいいかなぁ~くらいの思いだったが、ドラゴンとの戦いで死にかけてよく分かった!

 いつ終わるかわからない一度限りの人生なら、出来るだけ希望は高望みすべきだッッッ!

 というわけで俺を養ってくれる美人さんお待ちしてますッ!


 ――最後ニ、器ヨ。貴様ノ渇望ハナンダ?――


 渇望? そんなの決まってんだろッ!


『宣言しよう。俺は、クロウ・タイタスは、いつか邪悪なるお前との縁を全て絶ち、自由と平和を取り戻すッ!』


 それがッ、


『それが俺の渇望だぁああー--ッ!』


 咆哮と共に、ムラマサから溢れる闇が精神世界の総てを染め上げた!(※汚さないでほしい!)


 そして取り戻されていく肉体の感覚。

 全身に力が漲り、五感が冴えわたっていく。


 ああ、わかるぞ。俺は今、目覚めようとしている。

 このムラマサのせいで汚くなった精神世界(しかも龍の食いかけ放置)から意識が浮かび、現実の身体へと帰ろうとしている。


 そんな俺へと、最後にムラマサが問いかける。


 ――我のコト、ソンナニ 嫌イ……?――


 は? なにいきなり変なこと聞いてきてんだよ?


『そりゃ嫌いに決まってるだろ。腹減ったらヒトの身体めちゃくちゃに使って暴れるしよ。お前のせいで人生おかしくなっちまったんだが?』


 本当に、コイツのせいでとんでもないことになっちまったよ。

 ただの村人として満足に生きてたのに、今じゃ悪と戦わなきゃいけない騎士の身だ。

 平和主義なクロウくんにはきつい生き方だよマジで。


 ……でも、うーん……。


『……お前のおかげで、アイリスさんとかと知り合えたからな。それにお前もドラゴン戦じゃ頑張ってくれたし』


 だから、まぁ。


『縁は切りたいって思うけど、この世からなくなって欲しいとまでは思ってないかな……』


 ――ッッッッ!!!!!!!――


 俺の答えにバイブレーションするクソソード。

 どういう感情表現だよ、お前――と苦笑しつつ、俺の意識は覚めていくのだった。



 ◆ ◇ ◆



 そして。


「し、死ねぇッ、クロウ・タイタス!」


(はええええええ??????)


 なぜか俺は、囚人っぽい恰好の男たちに取り囲まれていた。


 ってなんなのこの状況ッ!?




ここまでありがとうございました!

『面白い』『更新早くしろ』『止まるんじゃねぇぞ』『死んでもエタるな』『こんな展開が見たい!!!』『これなんやねん!』『こんなキャラ出せ!』『更新止めるな!』

と思って頂けた方は、感想欄に希望やら疑問やらを投げつけたり最後に『ブックマーク登録!!!!!!』をして、このページの下にある評価欄から『評価ポイント!!!!!!!!』を入れて頂けると、「出版社から声が上がる確率」が上がります! 特に、まだ評価ポイントを入れていない方は、よろしくお願い致します!!!



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[良い点] ムラマサさんの貴重なデレシーン やはりメインヒロインだったか
[一言] え? 今度は「今日から投稿していきます!」?
[良い点] エタったと思ってたワ
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