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43:舞い降りる白刃

はじめまして、馬路まんじです!




 そして、ティアナは戦い続けた。

 十数人もの暗殺集団『マスカレイド』を相手に、下級騎士の身で抗い続けた。


「アァアアアアアアアア――ッ!」


 血を吐きながら拳を振るう。肉を散らしながら蹴撃を放つ。

 今やティアナは、命を燃やしながら闘っていた。

 彼女の魔導兵装『桃源雷甲グレイプル』の異能は“己が体内電流の操作”。

 それを極限まで引き出すことで、神経を暴走させて何十倍もの身体能力を発揮していた。


「死ねェえぇェッッッ!」


 兇器となった四肢が暴れる。

 あらゆる攻撃を必殺と変え、格上であるはずの仮面の敵たちと互角以上に渡り合う。

 そして、


「ァぐ……ッ!?」


 ――限界の時が、訪れた。

 心臓から激烈な衝撃が奔る。脈拍が殺人的に加速し、やがて急激に弱っていく。

 痛む胸を押さえたところで、手首から先が砕けて潰れて肉塊になっていることに気づいた。

 不意に立てなくなったと思えば、膝が千切れて皮と神経だけで繫がっている状態になっていた。


「ク、ソッ、がァ……!」


 全力以上の力を発揮し続けた代償である。

 加えて敵の攻撃も幾度となく食らったのだろう、身体中には血を吹き散らす穴が空いていた。

 それすら自覚できないほどに全身の神経が死に絶えていた。

 

『障害の無力化を確認。これより抹殺対象の排除に移る』

 

 彼女が動きを止めたところで、容赦なくクロウを狙う暗殺集団。

 昏倒した彼へと敵の一人が駆け寄るが、


「ァ、アタシのクロウにッ、触んなァッ!」


 ティアナは身体を無理やり跳ね上げ、近付く敵を引きずり倒した――!

 さらにげかけの足を振るって他の暗殺者を蹴り飛ばし、血を吐きながら咆哮する。


「クロウはッ、龍を倒した英雄だッ! この帝国の希望になる存在なんだッ! そんな彼に、手を出すなァアア!」


 必死の形相で叫ぶ彼女に、仮面の者らが僅かにたじろぐ。

 それは死を覚悟した者への恐怖からか。あるいはまったく別の理由か……。

 いずれにせよ、暗殺者たちの逡巡は一瞬だった。

 

『……双方ともに、排除する』


 かくしてティアナの奮闘は終わった。

 一斉に襲いかかるマスカレイドたち。彼らを迎撃できるような体力は、もはや少女には残っていなかった。


「ゃ、ッ……」


 既に感覚は死んでいた。攻撃を受けるまでもなく、ティアナは既に終わっていた。

 ――だとしても。


「や、ら……ッ!」


 たとえ身体が朽ちていても。

 たとえ命が果てていようと。

 だとしても、


「――やらせるかッ! クロウのことは、アタシが守るッ!」

 

 それでもティアナは立ち上がる。

 兵装の力によって死んだ身体を無理矢理に動かし、暗殺集団を前に構える。


『ッ、せめて苦しまずに逝くがいい!』


 そして迎えた終わりの時。

 仮面の死神たちが、凶刃を一斉に振りかざした――その瞬間。

 

 

「よくぞ彼を守ってくれた。後は私に任せてくれ」

 

 

 白き剣閃が、全ての敵を斬り飛ばした――!


「え……!?」


 大きく目を開くティアナ。

 失血により薄れる意識の中、純白のつるぎを手にした女性が微笑む。

 ああ、彼女こそ最強の女騎士。現代における聖剣の担い手……!


「ァ……アイリス・ゼヒレーテ様……!」


 ――最上級帝国魔導騎士『白刃のアイリス』。

 終わりの結末を覆す切り札が、少女の下に舞い降りた。


 この日、下級騎士・ティアナの稼いだ僅かな時間は、帝国の運命を大きく変えていくのだった――。

 


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[良い点] 今回も面白…あれ?初めましてなのにデジャヴ
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