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38/64

38:災禍暴虐

新陳代謝したので初投稿です


「オォォォォォオオオオッ!」

『ガァァアアアアー---ッ!?』


 黒龍の背中に飛び乗り、ひたすら滅多刺しにしていく!

 ドラゴンの鱗は凄まじく固い。されど切っ先をブチ込みまくることで、ついに鮮血が噴き出し始めた。


『グゥウウウッ!』


 俺のことを振り落とさんと錐揉み回転するドラゴン。

 だが無駄だ。それに先んじて、左袖から鎖の兵装『黒拷縛鎖こくごうばくさアイトーン』が飛び出した。

 無限に伸びる黒き鎖錠はドラゴンの首に絡みつき、騎乗兵の如く俺をその場に留まらせる。

 さらに上着から短刀の兵装『黒血染刃ダインスレイブ』が飛び出し、ムラマサが付けた傷口に潜り込んだ。

 黒き刃に吸い込まれていく龍の鮮血。それと同時に、俺の身体の奥底から力が湧き出る。


『グゥウゥゥウウゥッ……!』


 龍の唸り声の質が変わる。

 どうやら認識を改めたようだ。今までの俺は害虫扱いだったが、いよいよ『自分を殺し得る敵』と認定したらしい。本気の殺意が背中越しに吹き荒れた。

 

(あのぉドラゴンさん! ちなみに俺自身は、実は何もしてないからね!? 動きは全部ムラマサが操作してるし、鎖も短刀も武器が勝手に飛び出しただけだからね!?)


 だからあんまり俺のことは怒らないでください! 子供のやったことだと思って大人しく死んでくれると嬉しいですッッッ!

 ――という願いが叶うわけもなく、ギョロっと瞳を背中に向けて俺を睨むドラゴンさん。

 ちょ、超こええよぉおおおー----!


(ムラマサッ、早く仕留めてくれ! こんなやつといつまでも戦ってられないだろ!?)


 ――是! 即刻抹殺!――


 今の一方的な戦況は奇跡だ。上手く目潰しが決まったことで、爪の届かないポジションを取れたからこそ攻め続けられている。

 されどこんな状況がいつまでも続くわけがない。そう理解したムラマサは、ホルスターから大口径の銃型兵装『黒業死銃こくごうしじゅうアーラシュ』を引き抜いた。

 反動はでかいし俺を自殺に追い込もうとする劇物だが、威力だけは最強だ。

 ソレを龍の背中に突き付け、引き金を引こうとした――その時。


『ガァアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーッ!』


 咆哮と共に、黒龍が大きく飛翔した――!

 一度の羽ばたきで数百メートル以上翔け、二度目の羽ばたきで雲の近くまで浮き上がる。

 その圧倒的な加速度により、俺の身体は空気の壁に叩きつけられた……!


「ぐッ、がァあぁ!?」


 全身の骨が罅割れる。肉がひしゃげ、毛細血管が千切れ、皮膚の奥底で内臓が一気にずれていく。

 両目の下から鮮血が噴き、俺の視界は真っ赤に染まった……。


(なっ、え……?)


 まさに、一瞬の出来事だった。

 ドラゴンがただ『全力で羽ばたいた』というだけで、鎖によって組み付いていた俺は肉塊になった。

 それほどまでに生物としての性能が違いすぎる。絶対に敵わない存在に挑んでしまったことを、身をもって理解させられた……。


 ――器!?――


 魂に響くムラマサの叫び。

 あぁ、こんなに心配そうな声は初めて聴いたなぁ。普段から俺のことを大事にしてくれたらいいのに。

 ぼんやりと、そんなことを考えながら――俺の地獄が始まった。


『グガァァアアアアァァァァァッァーーーーーーーーーーーーッ!』


 歯向かった俺を天の王者は許さない。

 黒龍は鼻を鳴らすと、出鱈目な軌道での超高速飛行を開始した――!


「ぐぉおおおォォォオオ!?」


 再び空気が激突し、矢面となった顔面の骨が砕け散った。

 いよいよ内臓が限界を迎え、腹の中から水風船が弾けたような音が響く。

 その壮絶なる痛みに意識が飛ぶも、別の臓器が爆ぜた痛みで意識を無理やり起こされる。

 さらに黒龍が無理やり軌道を変えるたび、鎖と龍を繋いでいる左肩から激痛が走った。文字通り、肉と関節を滅茶苦茶に引き延ばされているのだ。

 そして、


『ガァァァアアアアッ!』


 どこかに向かって龍が急降下を始めた瞬間、細い何かがプツプツと切れていく音が響き……、


(ぁ――)


 左肩の痛みが完全に消えるのと同時に、俺の視界は真っ暗になった。



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― 新着の感想 ―
[一言] そのまま王都上空まで飛んでいくとなお良し!
[良い点] 過去一の激戦、窮地ですね!楽しみです [一言] どんなに切っても突いても刃こぼれなし‼︎皆さんもそんな刀欲しくありませんか?一剣士に一刀そんな時代へ (´∀`)ウヘヘ、安全保障は致しません…
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