30:死ね!!!!!!!!!!!!!!!!!!クロウくん!!!!!
今回から2巻収録分になるので初投稿です!
――何処とも知れぬ大広間にて。
魔導組織『黒芒嚮団ヴァンプルギス』が嚮主・ヴォーティガンは、ワイングラスを高らかに掲げた。
「さぁお前たちッ、宴だぁー-------!」
『うぉおおおおおおー---ッ!』
彼の音頭に合わせ、数百人もの黒服たちが一斉に騒ぎ出す。
酒を飲み、仲間と笑い合い、大広間に並んだ料理に舌鼓を打つ。
「めでたいなぁ!」
「万歳ばんざーい!」
明るい空気がそこにはあった。誰も彼もが笑顔だった。
何も知らない者から見れば、思わず混ざりたくなってしまうような雰囲気だ。
だがしかし。
「さぁさぁお前たち、どんどん飲め。今日は『テロ作戦成功記念パーティー』なんだからな!」
……彼らは今、国の損壊を宴に笑い合っていた。
内地を守護する四都市を破られ、魔物たちの脅威に晒されることになったレムリア帝国の内地を思い、飯を喰らう。
「内地の連中、今ごろ苦しんでるかなぁ!」
「いやぁ、いっぱい叫んでいっぱい泣くのはこれからだろ」
「まだ貴族どもは余裕ぶってるかもな。まっ、『第二作戦』で苦しめまくってやろうや!」
肩を組みながら「これからも頑張ろう!」と励まし合う黒服たち。
彼らには一切の躊躇も罪悪感もなかった。
なぜなら『ヴァンプルギス』の構成員たちは、全員がレムリア帝国の外地に置かれ、日々魔物どもの脅威に怯えてきた者たちだからだ。
全員が『内地の連中にも同じ恐怖をくれてやろう』と決意していた。
「死んだ同志たちの分まで、楽しめよお前ら……」
そんな構成員たちを見つめるヴォーティガンの目は、まるで子供を見守る父親のようであった。
――あるいは、民を慈しむ国王か。その愛情と温かさに溢れた瞳は、とても苛烈なるテロリストのモノには思えなかった。
「さて、と」
彼は広間の片隅に寄りかかると、懐から一枚の書類を出す。
それは、頼れる七大幹部が二名『極炎のカレン』『千変のナイア』から聴取した、セイラムでの戦いを纏めた資料だ。
今回の『四方都市壊滅作戦』において、唯一落とせなかった都市での事である。
「てっきり、最強クラスの女剣士『白刃のアイリス』にボコられたのかと思ったが……」
ヴォーティガンは目を細めながら書類を読み返す。
意外なことに、アイリスの名が出てきたのは終盤のみだ。
カレンも、ナイアも、他のほとんどの構成員たちも、まったく知らない男によって斬滅されていた。
その名は、
「――クロウ、か」
よくもやってくれたなと、ヴォーティガンは呟く。
「お前がいなければ、内地はさらなる地獄へと化していたものの」
破格の偉業を為し、テロ作戦の完全達成を阻んだ男。
いわば『英雄』とも呼べる存在の登場に、嚮主は堅く決意する。
「必ずお前を、ブチ殺してやろう……!」
敵組織「殺す」
自国の貴族「死ね(ドラゴン狩ってきて!)」
自分の武器「魂!」
クロウ「……」
・モテモテなのに全方位に味方がいない主人公がいるそうです――!
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