1:~無駄に伝説へ~
書籍版、
『やめてくれ、強いのは俺じゃなくて剣なんだ』
アニメイト・ゲーマーズ・書泉には声優様のスペシャルボイスがついてきます!
声優の赤羽根健治(@kenji__akabane)様に主人公を❗\プロデューサー!/
逢田梨香子(@Rikako_Aida)様にヒロインを演じていただきました❗\リコチャーン!/
ぜひご予約とご購入をおねがいします~!
なろうに初投稿します、よろしくお願いします!
――疲れた。マジでもう疲れた。
今回の依頼も地獄だった。
人類への脅威SSSランクの魔物『絶滅海獣クラーケン』を狩りに行かされた。
もう足の筋肉がビキビキだ。まさか海の上を走らされることになるなんて思わなかった。
ていうか音速の超絶剣技で腕もボロボロだ。
全ては腰に下げられた漆黒の魔剣『ムラマサ』のせいだ。もう少し俺に優しくしてくれ……。
「はぁ。俺、身体は一般人なのになぁ……」
そうボヤきながら帝都に帰還した瞬間――大歓声が響き渡った。
「うぉおおおおっ! お帰りなさいませ、『断罪者』様!」
「オォッ、アレが最強の魔剣士、『黒刀』のクロウ殿……!」
「アナタのおかげで故郷が救われましたっ! ありがとうございます!」
街中に響く賞賛の声。
道端には何万人もの民衆たちが詰めかけ、尊敬のまなざしで俺を見ていた。
その中を歩きながら、心から思う。
(やッ、やめてくれっ! これ以上、俺への評価を上げないでくれっ!)
みんながそうやって褒め称えるから、討伐ギルドも教会もそこらの領主たちも、俺に無理難題を与えてくるんだよっ!
それに、こうやって人だかりの中を歩くと……、
「――うぎゃあああああっ!?」
(あぁ、やっちゃった……)
気づけば俺は刃を抜き、フードを被った民衆の一人をぶった斬っていた。
青空のもとに飛び散る鮮血。賞賛の嵐から一転、人々の口から悲鳴が上がる。
……だが、
「クロウさん、何をっ……って、そいつぁ指名手配中の黒魔導士じゃねえか!?」
「おい見ろッ! こいつ、懐に元素爆弾を抱えてやがるぞ!?」
「街中で爆破テロをやらかすつもりだったのかよ!」
大勢の人間が集まる場所には、一人くらいとんでもない悪人が紛れているものだ。
民衆たちは混乱からさらに一転。斬られた者が危険人物だったと知るや、ざわめきながらも安堵した。
そして、
「さっ……流石はクロウさんだぁ! 一瞬で犯罪者を見抜くなんてぇー--っ!」
次の瞬間、耳が痛くなるほどの大喝采が巻き起こった。
狂ったように騒ぐ民衆たち。もうなんか怖いくらいだ。
まーた伝説を作っちゃったよ……。
(うぅ、でもごめんなぁみんな。俺、さっきのやつが犯罪者だと見抜いて斬ったわけじゃないんだよ)
そう。全ては右手に握られた刃、刀剣型魔導兵装『ムラマサ』が勝手に行ったことだ。
ぶっちゃけコイツは呪いの装備だ。斬り殺した相手の魂を吸うクソヤバソードだ。
んで、欲望まみれの犯罪者や魔物の魂は特に肥えてて美味しいらしく、そういうやつを勝手に探知して襲いかかるんだよ。
相手がどんなに強かろうが、俺の身体を使ってな! ばーか!
(はぁ~。どう考えても危険だよなぁ、コレ。腹が減ったら普通の人まで斬りかねないし……)
忌々しげに血を払う。柄の部分からゆったりとした振動が伝わってくるあたり、満腹になって寝てしまったようだ。自己中すぎだろ。
あーあ、こんな装備に身体を支配されてると知ったら、俺は一気に危険人物扱いだよ。
よくて監禁、最悪死刑にされかねない。
そんな未来を回避するために、俺は魔剣に支配されてるんじゃなく、自分から危険な相手に挑みまくるキャラを演じているわけだ。
というわけで一発やっとくかー。
俺はクールぶった顔付きを二割増しでキリッとさせると……、
「――悪よ滅びろ。この俺がいる限り、誰の命も奪わせん……ッ!」
『おぉぉぉおおっ!』
俺の(テキトーに考えた)カッコいいセリフに、民衆たちが大興奮する。
それからもうお祭り騒ぎだ。『レムリア帝国の勇者、クロウ殿に乾杯!』とか言いながら、勝手に酒盛りし始めた(※俺は下戸なので飲めない)。
「うーん、とんでもないことになっちまったなぁ……」
喧噪の中で小さく呟く。
チヤホヤされるのは嬉しいが、これで更なる無理難題を押し付けられるのは確定だ。
俺、元々はただの村人なんだぞ? もう本当に荷が重いっつの……!
(おいムラマサ。お前のおかげでいつも全身筋肉痛の傷まみれだよ。頼むから、俺のことを解放してくれっての……!)
切実に祈りながら柄を撫でる。今はおとなしくしているが、一晩明けたらまた魂を食らわせろと唸り始めるだろう。もう一年の付き合いになるからわかるっつの。
(あの日こいつを、拾わなければ……!)
歓声の中、後悔と共に思い出す。
一年前、こいつを拾った時のことを。
俺が『悪を赦さぬ断罪者』をやることになった、あれからの日々を……!
頑張って毎日投稿します!主人公泣かせます!
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