六話
翌日、あのまま寝てしまった彼女は
起きてすぐシャワーを浴びていた。
「今日は仕事に行かなきゃ。」
さすがに今日まで迷惑はかけられないと、
身支度を整えた。
昨日よりはスッキリした気持ちはあるが、
そんなにすぐには変われない。
早くに目が覚めたので身支度が終わっても
時間に余裕があった。
携帯を見ると同期の彼から
メッセージが入っていた。
「寝てたら悪いから玄関に
飲み物とゼリーかけといたよ。」
と書いてあった。
玄関を開けると、
ドアノブの所に袋が掛かっていて
その中に飲み物とゼリーが二つ入っていた。
同期の彼の優しさに感謝しつつも
複雑な気持ちだった。
同期の彼との関係がバレたので
今の状況になってしまったから
素直に喜べなかった。
それでも彼女は、
自業自得だと無理やり納得して
最低限のメッセージだけ返信した。
今日は早めに出勤をして
心を落ち着かせようと
いつもより早くアパートを出た。
昨日よりは冷静になって
考えられているが
まだ涙が溢れてしまいそうになる。
会社では泣けないので
しっかりと気持ちを落ち着かせながら歩いた。
一番に出社して
一人昨日休んだ分の仕事に集中する事にした。
仕事に集中していれば考えずに済むからだ。
会社の方々が徐々に出社し、
「体調大丈夫か?」
など声をかけてくれた。
「お陰様で良くなりました。
ご迷惑をおかけしてすいませんでした。」
と皆さんに伝えていった。
同期の彼も出社してきて
「大丈夫か、心配したんだぞ。
無理してないか?」
など優しい言葉をかけてきた。
今のわたしは、どう接していいかわからず
「大丈夫、ありがとう」
とだけ伝えて、仕事に集中した。
その日はなんとか乗り越え、
無事仕事を定時で終えた。
同期の彼が何か伝えようとしていたが、
避けるようにしてすぐに帰宅する事にした。
疲れはしたが、なんとか頑張れた。
このまま当分は仕事に集中して
考えないようにしていこうと思った。
それからしばらくは仕事を無理やり詰め込み、
考える時間がないような日々を送った。
同期の彼は、声を掛けてくるが
なるべく避けるように意識していた。
そんな日々が何日も続くとさすがに、
同期の彼も
「彼氏と何かあったのか?」
とメッセージを送って来た。
無視するわけにもいかず
「別れた。」
とだけ伝えた。




