四話
少しの沈黙の後、
「俺の中では、
君とやり直す事はもう考えてないよ。
確かに裏切られた思いはあったけど、
俺が悪かったと思うところもたくさんある。
最初からちゃんと話し合っていれば
こんな事にはならなかった。
タラレバを言っても仕方ないね。
だからお互いしっかり前を向いて
次の恋に進んで行こう。」
と、彼は伝えた。
それでも彼女は
「恋人じゃなくてもいい!
セフレでも都合の良い女でもいいから!
もう一度そばにいさせて下さい。」
彼は困った顔をして
「そんなことしても意味はないよ。
もしもその提案を俺が受け入れたとして
君は本当に幸せなの?
自分が思い描いていた未来になるの?
きっとお互い幸せにはなれないし
いつか終わりがくる。」
「だから君の気持ちには答えられない。
俺たちはきっと合わなかっただけだよ。
それに君には同期の彼の方が
お似合いだと思ったし
釣り合いもすごくとれてるよ
美人とイケメンで
俺とじゃ美人とフツメンだから!」
と、最後は笑顔で伝えた。
彼女は
「もうこの人は、
わたしと一緒に歩む未来を想像していない。
別々に歩む未来を選んだんだ。」
涙が自然と流れた。
「これ以上は迷惑をかけられない。
でももう少しだけ…少しだけでも良いから
一緒に居たい。」
別れを受け入れて、
彼のアパートから帰らなければならない
と思っていても、
彼の優しさに甘え
最後の我儘を伝える事にした。




