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【書籍化】顔だけ聖女なのに、死に戻ったら冷酷だった公爵様の本音が甘すぎます!  作者: 一分咲
二章

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エピローグ【二章最終話】

 それから一ヶ月ほど後のこと。


 王都の外れ、白いレンガが目を惹く、エステルのかわいいカフェ。


 エステルはかき氷を作っていた。ルシアンがしっかり凍らせてくれたミルク氷を、かき氷機に入れてガリガリと削っていく。その出来上がりをクロードが待っている。


「今年の夏はここでたくさんかき氷を作ってもらって食べるはずだったのに、フリード国から帰ってきたら夏が終わってたにゃ。かき氷は年中おいしいからいつでもいいけどにゃ」

「フリード国で起きたことの報告書の作成で秋まで終わってしまいそうな気配もあるな。だが、来年のかき氷は新しい場所で、か。楽しみだな」

「はい」


 ルシアンの言葉に、エステルは微笑んだ。実は今、カフェの店頭にはとある張り紙がしてある。それは、『カフェ 移転のお知らせ』。


 エステルのカフェは半年後に王城の敷地内に移転することになった。もちろん、それはエステルとルシアンの結婚準備に伴ってのものである。


 オリオール王国の王城には王室御用達のお店が立ち並ぶエリアがあり、エステルのカフェはなんとそこに入れてもらえることになったのだった。


(もちろん、ルシアン様が取り計らってくださったおかげなのだけれどね)


 カフェの移転が叶えば、エステルは王城の敷地内に住みながらお店をやっていくことができるし、いつでもルシアンと会える。そして生活が落ち着いたら、少しずつ結婚式の準備もしていくことになっている。


 早ければ、一年後には結婚式を挙げる予定だ。案の定、ルシアンは結婚式が楽しみすぎるらしい。今も移転の話から一気に飛躍して、本音がだだ漏れている。


「……エステルのウエディングドレス姿か。それも楽しみだな……絶対かわいいだろう? 肌の露出も多いし……俺以外に見せたくなさすぎて、今から死ぬほど楽しみで憂鬱だ」

「王子様、言ってることが矛盾しまくりだにゃ。本当に闇聖女のことになると馬鹿になるな。その頭で王城戻ってから報告書書けんのか」


「黙れ。消されたいのか」

「ひゃんっ。ごめんごめんごめんごめんごめ」


(…………)


 ルシアンの本音とクロードのわけがわからない会話が聞こえてきたので、エステルはガリガリと無心で氷を削り続ける。


 カランカラン。


 入口の鐘の音がして振り向くと、風に揺れる扉があった。どうやら、今日は風が強すぎて勝手に開いてしまったようだ。それを眺めながら、スレヴィが顔を覗かせた日のことをつい思い出してしまう。


「――スレヴィとリーナ、元気にしているかしら」

「あの二人のことだ。きっと、仲良く喧嘩しているんじゃないか?」

「ふふ。そうね」


 エステルのカフェには、かき氷とミルクティーが並び、キッチンカウンターにはリーナにもらったレシピ本が立てられている。


 フリード国のかわいい二人との思い出に、彩られながら。


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