ボスフィールド

――「れ、レベル20！？」「何だったんだよアイツ」「あの赤文字、どんだけヤッたんだ？」――

戦闘フィールドに出てから、看守達は追ってこなくなった。

一安心一安心。

代わりに、奇怪の目線をプレイヤーから感じるが気にしない。レベル差があるようで襲われないから安心……というわけにも行かないのでコソコソと行く。

「『罠設置』……」

《落とし穴を設置しました》

《落とし穴が発動しました》

まずは身を地面に隠し。

「ふぅ」

心身共に草原となろう。

俺は草。

草は俺だ。

――「罠士だったよな？　もういないけど」「どうなってんだ」「実は強いのか？」――

――「離職率99％とか聞いたぞ」「じゃあさっきのアイツなんなの？」――

我ながら慣れてきた匍匐前進で、もそもそしながら周りに耳を傾ける。

ウチのブラック会社よりもブラックだな、罠士。聞こえてくるその声で思う。

ここまで至るまで、俺の罠達がすごく頑張ったんだよ。落とし穴に毒罠、地雷は本当によくやってくれている。大好き。

もちろん麻痺罠の事も愛しています。いつか必ず活躍させるぞ。お前は最終兵器だ。

不遇な罠なんて絶対に作らせない、そんなことあってはならない。

どんな手を使ってでも輝かせてみせる。

……でもさっきから地雷の快進撃が止まらないんだよな。未だに本来の活躍させてないけど。

《隠密スキルのレベルが上がりました！》

あ、存在忘れてたわコレ。

罠に盲目なもんで。

☆

《アーマーウルフ　LEVEL15》

「強そう」

闇雲に、結構進んだ所で呟く。

目の前の銀色の狼はかなり防御が高そうだ。

またお相手しよう。

「誰も居ないな……」

そして、見ればプレイヤーがほとんど居ない。

居るのは大体モンスター。

サービス開始3日目だしこんなもんか？

リンカもそんな感じの事言ってたし、あの看守どんだけ経験値持ってたんだ。

《スライム　LEVEL18》

『ピギ……』

「お前、強くなったな」

最初のレベル1のアイツとは大違いだ。

サイズもオーラも全く違う。

辺りの風景も、草原から森に近いモノになってきている。

何かが変わっていっている――そんな気配を感じた。

《ここより先に進みますと、ボスフィールドに移動します》

《よろしいですか？》

「……ま、そんな気はしてた」

この風景がどんどん別のモノになっていく感じ、明らか次のマップだもんな。

それを待ち構えるのがこのボスというわけだ。

……牢獄に行くつもりだったんだが、えらいとこまで来てしまったな。

「攻略情報も無し、と」

そのボスの情報は一切無い。

この先に待つフィールドの情報も無い。

もしかして、本当に俺が初めてなのか……？

「もうちょっと検証してから行くか」

落とし穴がボスに効くとは限らない。

看守みたいな小さい人型なら良いが、ドラゴンとかデッカい亀とかなら無理かもしれない。

マイフェイバリット・トラップといえど、流石に信じすぎも良くないから。

「と、すれば。コイツだな」

スキル欄。

その、『地雷』を俺は見つめて呟いた。

落とし穴が不動のエースだとすれば、コイツは新鋭のルーキーだ。

さあ、お楽しみといこう。

闇市に戻って検証開始！

□

【職業説明：戦士】

スキルによりSTR、AGI、VITに追加ステータスが掛かる。

近接武器をほぼ全て装備可能。

攻撃防御バランスの取れた、FLにおいて使用率1位の人気職。

上位職の種類も豊富（AI談）。

【職業説明：軽戦士】

スキルによりAGIに大幅な追加ステータスが掛かる。

比較的軽い近接武器（ナイフ、片手剣）を装備可能。

防御が薄い代わりに、回避力が高く手数で攻めるタイプ。

PS(プレイヤースキル)に大きく左右される職業だが、爽快感があり人気が高い。

若いプレイヤーに使用率が偏っている。

【職業説明：盾士】

スキルによりSTR、VITに追加ステータスが掛かる。

近接武器と片手盾をセットで装備可能。

防御が高く、モンスターの目を自身に向けるスキルもありパーティの盾となれる。

パーティ需要は高いが、攻撃力が低い為ソロ性能は低い。

【職業説明：魔法士】

スキルによりINT、MIDに追加ステータスが掛かる。

片手杖、両手杖を装備可能。

MPを消費し高威力の遠距離攻撃を行う。

高いダメージ効率を誇り、パーティには必須級の後衛。

反面防御力、回避力が低くソロでやっていくには厳しい。

【職業説明：弓士】

スキルによりDEX、AGIに追加ステータスが掛かる。

弓を装備可能。

遠距離攻撃で戦うが、魔法士と違い高威力の攻撃ではなく手数で攻めるタイプ。

防御は低いが回避力は高いためソロでもやっていける。

ただ狙う場所によりダメージが変動、また単純に弓の扱いが難しいのでかなり上級者向けといえる。PSが高い者が扱えば、魔法士よりもダメージ効率が高いとか。

【職業説明：冒険者】

攻略サイトでは『特殊職』にカテゴライズされる変わった職業。

スキルによりDEXに追加ステータスが掛かる。

片手剣を装備可能。

周囲を照らす『フラッシュ』スキルや、マップを強化しモンスター位置や詳しい地形を表示する『冒険の知恵』スキル、歩けば歩くほど経験値を取得するといった変わった特性もある。

癖の強いスキルが多く、戦闘は他の近接職より不得意。

ソロでもパーティでも微妙な立ち位置。

【職業説明：神官】

回復職。ヒーラー。

スキルによりINT、MNDに追加ステータスが掛かる。

両手杖、片手杖を装備可能。

味方を回復する『ヒール』などで味方を癒やす。

攻撃スキルを持っているが、やはり魔法士などには敵わない。

【職業説明：生産職達】

スキルによりDEXに追加ステータスが掛かる。

戦闘を行わず武器や防具、ポーションなどを製作したり、

それらの強化、あるいはアイテムの鑑定などを行い経験値を取得出来る。

それでも対応した武器は装備出来、戦闘に関係するスキルも取得出来るため生産と戦闘を両立することができる。癖の強いスキルが多くて、純粋な戦闘職には敵わないが……。

【鍛冶士】や【薬士】、【裁縫士】や【鑑定士】、【栽培士】など。