『落とし穴には、無限の可能性が広がっている』
短めです。
「ッ――!!」
飛び起きる。
現実帰還、あのログアウトのタイミングは、狙われていたかと思うほどに綺麗で。
「濃い一日だったな」
頭を覆う、フルフェイスヘルメットのような機械……『ギアセット』を脱いで置き、冷蔵庫へ向かう。
牛乳を取得! コップに入れてレンジでチン!
「ふう」
暖かいソレを口に入れ、現実を認識する。
……思えば色んな事があった。
これが全て本当に自分の身に起こった事なのだとは、未だに整理が付かない。
ログイン。
アギトとの対人戦。
リンカ、アオイとの出会い。
脱獄。
そして飛行。
思い出すだけでも濃い時間だった。
ふわふわとしていて真実味がないが、やった事はしっかり頭に刻み込まれている。
時刻を見れば朝の4時。
出勤まではあと3時間ある――さぁまとめよう。
あの検証記録表はスクショを取って、パソコン、スマホやらで見られる様にしておいた。
掲示板が見れるんだから、その辺の機能もしっかりシステムに付いている。
何ならSNSにそのまま動画を上げられる、配信もすぐに出来るらしい。凄いね。
やる気ないけど。トゥイッターなんて5年ぐらいまともに動かしてないわ。
「……明日は何をしようか」
現実。
退屈な仕事が待つこの世界……睡眠時間なんて、2時間で十分だ。
今はこれまでの『FL』をもう一度見つめ直したい。
もっと――もっと、知りたい。
もっと色々な発見があるはず。
そうだ。
俺は今日確信した。
ホットミルク片手に――手元のメモへと記しておく。
『落とし穴には、無限の可能性が広がっている』。
……ということで第一章本編完結!
お付き合い頂いて本当にありがとうございます。
次回は明日朝10時頃に投稿します。




