表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
職業『罠士』の大罪人 ~不人気職の検証勢、最前線を突き進む~  作者: aaa168(スリーエー)
『落とし穴には、無限の可能性が広がっている』
24/97

二つの可能性

今日の夕方頃にもう一話を投稿します。




 偉大な兄弟はこう言った。

『飛びたいという欲望は、空という無限を自由に飛翔する鳥たちを、羨ましがった先祖たちによって受け継がれてきたもの』。


飛行機にヘリ、空飛ぶ車なんかも現れ始めている今……それでも自由に空を飛ぶことに人類は憧れている。


して、あらゆる方法で空への挑戦は為されてきたが――この『罠』で空を飛ぼうと考えた者はまだ居ないはず。


だからこそ楽しくて仕方無いんだ。

大げさに言えば人類初の挑戦だからな!


あ、いたらごめんなさい。


《まもなく一日のプレイ上限時間に到達します》


《ログアウトして下さい》


準備をしていたらそのアナウンスが流れた。

しかし無視。今の俺は誰にも止められない。

……まあ、途中で終わったらその時で。



「やるか」



値段二倍ポーションを購入、早速使用しHPを回復して、いざ実践。

闇市は本当に人が居なくて良い、好きに検証し放題だ。


「『罠設置』……」


現れる地雷に足先タッチ。


《地雷を設置しました》

《地雷が発動しました》


「ッ!!」


この爆発の衝撃に合わせてジャンプ!


「ぐがッ」


結果、横向きに飛んで地面とキス。

思っていたより難しい。

というより、爆発の衝撃で方向なんて定まらないんだ。


……いや、待てよ。方向?

検証記録表を開く。



『検証ナンバー24』

落とし穴が発動し、穴の中に落ちたモンスターは、一秒後解除され地面に戻る。

その際、瞬間移動というわけではなく、対象は『上昇』している。これまでの検証記録でも示していた通りこの上昇力は結構馬鹿にならない。

試しに落とし穴の中でジャンプすると、上手くタイミングを合わせればジャンプ距離が増えた。

以下、これを『穴ジャンプ』とする。


リンカさん勝手に覗きながらセンス無いって言わないで。普通に辛いから。


↓横のクソガキによる計測記録↓


普通にジャンプ……1mぐらい。

穴ジャンプ……1m50㎝ぐらい。リンカの背を飛び越えた!


よって、穴ジャンプは上手く使えばどこかに登る時とかに使える。

後は回避、残念ながら空を飛ぶとまでは行かない。



「……これだな」


思えばこのノートも大量に書き込んだ。

無限に書けるから凄いよこれ。

VRのたまものだ、しかし分厚さが生まれないのは悲しいね……。あの厚みが良いのに。

あっキーボード入力実装早くして下さいお願いします。



「……落とし穴は真っ直ぐ上に上昇する、これを活かさない手はない」

「後は地雷をどうやって設置しよう」

「落とし穴の中で爆発させれば、その分爆風が『穴』の中で留まるからもっと威力が増すはず」

「加えて落とし穴の上昇力」

「……これ、とんでもない事になるんじゃ」

「前提として落とし穴と地雷、ほぼ同時に設置しなきゃいけない」

「……そういえば、何かスキル取得してたよな」



いつもの様に一人でぶつぶつと呟きながら、思考をぐるぐる回していく。

黙って考えるよりこっちのが効率良い。

人が居ないから気にしなくてOK。




《スキル説明:同時罠設置》


MP10を消費して発動。

右手と左手で一つずつ、同時に罠を設置出来る。



看守を倒した後スキルレベルが上がって取得したそのスキル。中々に優秀ではあるものの、高速罠設置の方が瞬時に発動する分には早いんだよな。



「……上手くいくと良いが」


まあやってみよう――


「『同時罠設置』」


右手で落とし穴を。

左手で地雷を。

二つを俺の足下に設置する。

位置は重ねるのでなく数㎝離して。


重ねてしまうと、落とし穴にハマる時に同時に地雷踏んじゃうからね。




「……ふう」



深呼吸。

カウント、3.2.1。


0。


《落とし穴を設置しました》

《地雷を設置しました》

《落とし穴が発動しました》


「ッ――!」


足元、落とし穴が発動。

して狙い通り、近くにあった地雷も穴へ一緒に落ちた。


黒い円柱状のそれを、身体をくねらせ必死に避ける。


落下の衝撃で地雷が爆発……なんて事はなく、そのまま穴の中に収まった。

地雷は『プレイヤー』、『モンスター』が触れる事が発動条件と書かれていたからだ。ちょっと怖かったけどね。


「あっぶな――」


なんとか脚を動かして地雷に触れない様に。

そして一秒経過。

足下が『上昇』していく。


「ここだ――」


そして地表に到達する0.5秒前(大体)に。

俺は軽く跳んで――地雷を両足のつま先で踏む!


これは、俺が信じてきた『落とし穴』と新鋭の『地雷』の融合だ。

頼む。成功してくれ――



《地雷が発動しました》



「うおおおおッ!?」



馬鹿デカい衝撃が両足の足裏を襲う。

不安定な何かに立っている、そんな感覚。

必死だった。


穴の中、狭い空間の中で爆風が暴れる。

見えない力が俺の脚を押す。

地表に出てもそれは同じ。


耐えるんだ。

バランスを崩さない様両手で整える。




――そして。


ふと、『下』を見れば。




今――俺が見ている光景は。





「……と、飛べた……!」





地面から大体リンカ×5ぐらい……つまり5mは楽勝で超えている。


マンション三階ぐらいまでの高さに俺は居て。心地よい風。

何ともいえぬ浮遊感と共に――



《プレイ上限時間に到達しました》


《ログアウトします》



そのまま初日の『FL』を終えた。


続きを読みたいと思って頂けたら、下の評価ボタンを押してもらえると作者が飛ぶほど喜びます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者ツイッター
↓過去のVRMMOモノです。コミカライズもしてるので良ければどうぞ。↓
やがて最強のPKキラー(職業:商人)
― 新着の感想 ―
[良い点] 思いっきりマイペースで楽しんでますねえ(笑) オレにもプレイさせろ! [気になる点] 次にログインしたら空中に現れるのか?
[一言] 話としては面白いですが、ク○運営にギスギスオンライン、プレイするのはノーサンキューですねえ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ