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職業『罠士』の大罪人 ~不人気職の検証勢、最前線を突き進む~  作者: aaa168(スリーエー)
『落とし穴には、無限の可能性が広がっている』
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閑話:リンカが狂鬼に至るまで②


醜い者達は動きすらも醜かった。

何も考えずに振られるその剣が可哀想だった。

猿の様に通じない攻撃を何度も繰り返し。


あたしを、能無しのモンスターと勘違いしているのだろうか?


「おらっ――『スウィング』!」

「ッ」


片手剣、横薙ぎのその武技。

あたしは地面に這う様に体を倒し、避けて。


「ひいっ……!」


接近。

手に持つ矢を、その晒した首元に突き刺す。

怯える様に倒れるゴミ一匹。


「っ、らあああああ!」

「……『コンセントショット』」


そして突っ込んでくる斧持ち。

振りかぶるがこちらが早い。

その顔面の、(ひたい)にゼロ距離射撃を。

『コンセントショット』……敵が近くに居れば居るほど威力が上がる矢を放つ。

隙も少なく、あたしにはぴったりのスキル。

最初から持っていた訳じゃなく、狩りをしてたら手に入っていた。


「ぐっ、あ……」

「ッ」


後ろ。気配。

倒れる斧持ちの頭を踏みつけ跳び、背後から迫っていたもう一人の攻撃も避ける。



「『パワーショット』」

「がぐっ!!」



上空からの一撃。

『パワーショット』。こっちは初期の弓武技。名前通りの威力が高いそれを、ソイツの首元に到達させた。



「もう終わりか?」



吹っ切れたおかげで迷いは無い。

コイツら三人程度なら――ゼロダメージで終了だ。





「つ、強すぎだろ――ッ」


《『アリ』様をキルしました》

《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》

《報酬を獲得しますか?》


「こっちは三人――ッ!!」


《『ユウヤ』様をキルしました》

《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》

《報酬を獲得しますか?》

《報酬(2)を獲得しますか?》

《キル報酬を獲得しますか?》



「くそ、このビッ――」


《『セイ』様をキルしました》

《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》

《PKペナルティ第二段階》

《キル報酬を獲得しますか?》

《キル報酬を獲得しますか?》


《報酬を獲得しますか?》

《報酬(2)を獲得しますか?》

《報酬(3)を獲得しますか?》

《キル報酬を獲得しますか?》

《キル報酬を獲得しますか?》

《キル報酬を獲得しますか?》






「――『獲得する』」






《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》

《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》

《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》

《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》

《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》

《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》

《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》

《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》

《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》

《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》


《体術スキルを獲得しました!》

《弓スキルのレベルが上がりました!》

《弓スキルのレベルが上がりました!》

《弓スキルのレベルが上がりました!》

《弓スキルのレベルが上がりました!》

《弓スキルのレベルが上がりました!》

《弓スキルのレベルが上がりました!》


《接射スキルのレベルが上がりました!》

《接射スキルのレベルが上がりました!》

《接射スキルのレベルが上がりました!》

《接射スキルのレベルが上がりました!》

《接射スキルのレベルが上がりました!》

《接射スキルのレベルが上がりました!》


《体術スキルを獲得しました!》

《称号『罪を背負いし者』を取得しました》

《称号『初めてのプレイヤーキル』を取得しました》


《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》

《PKペナルティ第四段階》



その報酬は、今までの自分を消し去るかの様に莫大なモノで。


――「おい、アレ」「レッドネームだ」「倒そうぜ」「しかもあの真っ赤の名前……倒したら凄い事になるんじゃね?」――


この朱に染まった名前を見て、餌に集う虫の様に寄ってくる者達。

なんとなく、彼らの前で倒れたらこの報酬も消えると悟った。


だが関係ない。

死ぬ事など。

こんな有象無象に負ける事など――この自分には無い。


……ああ。

ふっきれたおかげだろうか。

本来のあたしに戻ったからだろうか。



――氷の様に頭が冴え。

――風の様に体が軽い。



「全員相手してやるよ」



この時決めた。

憧れのお姫様は捨て去って。

『リンカちゃん』は――テメーらゴミ共を踏み台に。

突っ掛かってきた雑魚共を全てひれ伏させ。

このゲームの、トップに立ってやる。





《『ハいる』様をキルしました》

《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》


《『あや』様をキルしました》

《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》


《『さんかっけー』様をキルしました》

《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》

《PKペナルティ第五段階》



辺りで見ていた者共が襲い掛かる、返り討ち。

そのループ。


迫り来る者達はいつの間にか消えていた。



――「お、おい止めようぜ」「逃げるぞ!」「アイツ強すぎ」――



「……」


《罪ポイント【91】》


やがてあたしは、その周囲の恐怖の目線と、大量に積み重なった罪ポイントで悟る。

キャラ再作成でもしない限り――『あたしはずっと一人なのだと』。




「……あはッ」


歩いて行く道は、自然と誰も居なくなる。

心地良い。


《セイ様をフレンドから消去しました》

《セイ様をブロックしました》


例のゴミ野郎を忘れずに登録して。



《PKペナルティが第四段階に低下》



「……これ、下がるんだ」



あたしはこのPKペナルティが解除されるのを待つために、狩り場を歩いた。

後は……『同志』が見つかれば良いな、とそんな淡い期待を込めて。


勿論仲良くなんてする気は無い。

ただの暇潰し。ただの情報交換。ただ、利用するだけ。

あたしは一人で良い。

もう、フレンドなんていらない。本当だ。

絶対にキャラ再作成なんてしてやるもんか。

そんなの負けを認めたようなもの。あのゴミ共が嘲笑うのが見えて嫌。


……そして。

そのあたしの『一抹の望み』は、どうやら叶った様で。



「――――ありがとう、人生で一番楽しかったよ」



遙か遠く。

その、闘う罠士の男に出会ったのだ。





【職業説明:弓士】

スキルによりDEX、AGIに追加ステータスが掛かる。

弓を装備可能。

遠距離攻撃で戦うが、魔法士と違い高威力の攻撃ではなく手数で攻めるタイプ。

防御は低いが回避力は高いためソロでもやっていける。


ただ狙う場所によりダメージが変動、また単純に弓の扱いが難しいのでかなり上級者向けといえる。

PSが高い者が扱えば、魔法士よりもダメージ効率が高いとか。


【キャラ再作成】

メニューに存在。

使用すると、現在使用されているキャラが消去され、再度始まりからやり直せる。

何度でも使用できるが、サーバー負荷対策の為か一ヵ月に一度のみ可能。




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↓過去のVRMMOモノです。コミカライズもしてるので良ければどうぞ。↓
やがて最強のPKキラー(職業:商人)
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