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指名手配を解除しよう

 ギルドに辿りついた俺たちは、魔物を引き連れた俺たちを見て戸惑う冒険者たちに見られながら、龍華を筆頭に歩を進める。

 こういう時龍華は頼りになるな。どんな場所でも堂々と歩くし、邪魔が入れば即座に斬り捨てるし。


 ギルドは木造の施設だった。

 床板は長方形に削った板を張り合わせ、ニスを塗った床で、カウンターには巨大な板を使っているようだ。

 天井からぶら下がっている案内用のプレートは、紐で吊ってあるため結構ぶらぶら揺れている。

 動いているせいかちょっと見づらい。

 そのプレートを確認しながら、龍華は総合案内窓口と書かれたプレートの下にあるカウンターへと向かう。


 さすがに彼女が気になるのだろう。

 呆気に取られた顔で冒険者たちが視線で龍華を追って行く。

 龍華は視線を気にすることなくカウンターに辿りつくと、少し怯え気味の女性職員と対峙した。


「い、いらっしゃいませ。な、何かご用でしょうか?」


「一つ目小娘の手配に関して話がある。責任者に通して欲しい。無理ならギルド長でも構わん」


「し、少々お待ち下さいっ」


 淡々と告げる龍華にお辞儀をして、職員は奥へと走っていく。

 さて、どうなるやら。

 多分、会う事は出来ないと思う。

 だって、龍華の言い方はどう見てもクレーマーとか迷惑客の部類に入る言い方なのだ。

 おそらく、店長は不在ですとか言ってくるに決まってる。ああ、店長じゃなくてギルド長か。


「も、申し訳ございません。生憎ただいま留守にしておりまして……」


 と、やはり形式通りな対応が返ってきた。

 これは困った。とつめの手配が解かれないとなるとここでゆっくりするのも難しいな。

 それにここからフルテガントに向う間、とつめやヌェルに対する暗殺者が襲撃を仕掛けてこないともかぎらない。せめてとつめの分だけでも手配を解いておきたいのだが……


「ふむ。連絡は付かんのか?」


「は、はい。どこに行かれたかは……」


「それは困ったな。店の主が連絡先も告げずに蒸発か。もしも突発的な事故でも起こったらどうする気だ」


「え? そ、それは……」


「うむ。ではその対応できる職員で構わん。呼んで来い」


「えっと、その……あの……」


 明らかに狼狽する職員。迷惑客の対応にマニュアル通り対応しようとしたようだが、龍華は全く引きさがる気がなかった。


「そうか、無理か。ならば。今ここで大立ち回りをしても誰も止めに来ないということだな。では遠慮なく一つ目小娘に暴れて貰おう。どうせ賞金首らしいしな。今さら金額が増えた所で構うまい?」


 ニヤリと微笑む龍華。物騒な言葉に職員は慌てて少々お待ち下さいと奥へ駆け込んでいった。

 しばらくして、血相変えたご老人が一緒に駆け付けてくる。


「お、お待たせしました。ぎる……副ギルド長のクロワッサンと申します」


 息を切らせてやってきたクロワッサン。口調から察するに、この人ギルド長だ。

 ステータスを強制開示してやろうかと思ったが、龍華が話し始めたので止めておいた。


「で、では、ご用件をお伺いしますのでこちらに……」


「なに、別にここでも構わん。手短に言えばここで掛けられたとつめの指名手配を解いて貰いたいだけだ。モンスターテイムとやらに成功してな。今は仲間として行動している。他の冒険者に狙われるのは面倒でな。殺せば殺したで我々まで手配されるのだろう? まぁ、嫌だというなら徹底抗戦するしかないがな」


「な、なんと、テイム能力に目覚めた方がいらっしゃると!? 伝説の中に一度出現したと書かれていただけのあの能力に!?」


 どうやら本当にモンスターテイムは珍しい能力らしい。

 俺が持ってると知られたらいろいろ問題になりそうだし、誤魔化そう。

 まぁ、俺の側を離れないからすぐわかるかもしれないけど。


「で、では、その、テイムされた証拠をみせてはいただけますかな? テイムモンスターだと証明できますならば手配は解かせて頂きましょう」


 どうやら、龍華の話がクレームの類ではないと知って、明らかに安堵しているクロワッサン。

 龍華の小柄な少女にしては異様な立ち振る舞いと手に持つ獲物の凶悪さにその場の全員が警戒していたようだ。まぁ、とつめを連れていたことも理由にあるだろうけど。

 俺は龍華に促され、とつめのステータスを強制表示させる。


 名前:一つ目小娘

 固有名称:とつめ

 種族:一つ目族

 ドロップアイテム:水風船・林檎飴・着物・巨大な眼玉

 HP 15700

 MP  1500

 TP  1300

 AT  1800

 DF  1200

 MA 23000

 MD  7500

 SPD  360

 LC   630

 特技: 

     水風船補充:0

     ぐるぐるぱんち:10

     大泣き:0

     突進:30

 魔法:

     逆鱗の眼光:0

     魔力収集:0

 PASSIVE:

     能天気

     マイペース

     雷撃弱点

     流水耐性

 情報:

    フリューグリス - ルトルトレッテ間の街道を闊歩する少女。

    一つ目小娘の中でも特にマイペースなため、群れを離れ街道周辺を根城に活動している。

    最近ルトルトレッテでは彼女をユニークモンスターとして討伐対象に指定した。

    手配書は50000ナグーで未だ誰も受けていない。

    武藤薬藻のテイムモンスターとなる。

    【とつめ】の名を得、ネームドモンスターに進化。


 あ、しまった。俺の名前が普通に出てる。

 けど、テイムされたことは理解されたため、とつめの指名手配は解除されることとなった。

 後顧の憂いは断てたので、俺たちはルトルトレッテを出て増渕たちと合流する事にした。

次回、ようやく二つのパーティーが遭遇します。


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― 新着の感想 ―
普通のラノベなら一悶着あるようなところで師匠は常にマジレス最短解決するのが見ていて気持ちいい
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