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俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第七話 勇者は嫌でも復活する
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魔王パーティー移動開始

 不意に、まどろみの中から意識が覚醒した。

 人間に転生してからというもの、よく眠るようになった。

 前世では随分と寝る間を惜しんで戦いに明け暮れたモノだ。

 それなのに、今世では平和な日常を謳歌することとなったせいで安心して眠るクセがついた。

 そのせいか朝は弱い。


 うっすらと目を開くと部屋が明るい。

 ぼやけた視界で上を向くと、天蓋付きの巨大ベットの上空から光が降り注いでいる。

 魔法で作りだした電灯のようなものだ。


 視線を戻す。

 私の間横には、なにやら緑の生物が直立不動で立っている。

 怪訝に眉根を寄せる。

 はて? こんな奴いただろうか?


「お目覚めなされたようで、おはようございます魔王陛下。改めまして、お初にお目にかかります。この城を代々管理しておりますゴブリン族のエスメラルダと申します」


 ゴブリン……と聞いて、少し頭が回りだした。

 そういえば、昨日風呂を沸かす時、出会ったグリーンスキンの女が居たな。

 出会って挨拶も碌にしないまま、風呂に入るなら沸かしておきますよとか言われたので任せてしまい、その後は男共が龍華に会議室に担ぎ込まれて来たのでそちらの対応に向わせたっきり会話らしい会話はしていなかった。


「少し待て。少々頭が動かん……」


 私はふぁっと欠伸を一つ。まだ眠い身体を無理矢理動かし立ち上がる。

 くらっときた。おおぅ貧血か?

 起き抜けは低血圧なので立ちくらみが起きやすいのだ。なんともひ弱な身体である。


 ふら付きながら歩いていると、慌てたようにエスメラルダが駆け寄ってきて私を支える。

 すまないと言いながら、私は部屋から出る。

 そのまま千鳥足で洗面所へ。

 すると、部屋からでたとたん、人型の何かが四体ほどいた。

 眼が霞んでいるので誰なのかよくわからない。


「あ、あの、増渕さん、お、お、おは、おはようございますっ」


 人型の一つが挨拶をしてきた。

 どうやら知り合いらしい。


「ああ。おは……ふぁ~~~ぅ」


 ああ、ダメだ。とにかく今は顔を洗って頭を回転させないと……

 私は挨拶もほどほどに洗面所へと向うのだった。




 さて、そろそろ行動を開始しようか。

 洗面所で顔を洗い終えると、ようやく視界も頭もすっきりと覚醒した。

 エスメラルダは一足先に部屋に戻り、魔王時代の私服を用意してくれるらしい。

 なんとも出来たメイドである。

 厳つい顔だが、ゴブリン族では美人に類する彼女。私が昔の魔王状態であったなら、まず間違いなく子を成していただろう。


 人間となった今だから……というか、女として転生した今だから言える事だが、人から見たゴブリンは、物凄く醜悪だった。

 ちなみに、私が魔王であった時には、生物学的に♂だった訳だが……この事は誰にも言うつもりはない。


 そして、これからも誰かの妻になどなるつもりは全くない。

 なにせ元男だったのでな。

 一応、伊藤の想いには気付いてはいるのだが、スマンな。私に前世の知識があったのが悪いのだ。お前の想いには答えられそうにない。


 いや、しかし……告白されてないのに振るのもどうかと思うし、もともと男でハーレムを築いていた私としては同じ男として求める女に振られるという行為は可哀想過ぎる気もする。

 どうしたものか……いや、だからといって女として子供を成す気もないわけで、このまま一人で生き抜き、次の転生でまた男になることを期待するのが一番だろう。

 ほんと、伊藤には悪いが私は女として生きる気はないのだ。


 部屋に戻って着替えを済ませた……といってもセーラー服の上に昔の衣装を着こんだだけだが。

 体型的にちょっとぶかぶかな気もするが、漆黒のプレートアーマーは艶光を放ち、数百年以上前の物品とは思えない輝きを放っている。


 胸の部分は全体的に丸みを帯び、腹も出っ張らない程度に丸みを帯びたアーマーは、肩パットの部分はボウリングの球のように三つ穴が空いている。

 下腹部をガードしている部分の前垂れと左右の垂れは剣道着にも見受けられたものだが、やはり丸みを帯びていて漆黒に艶光している。


 腕にも丸みを帯びた金属の防具。二の腕と肘をガードするものだ。籠手と違って掌を護るモノはない。

 確か、リストとかバングルの類だったろうか? 詳しい呼び名は忘れてしまった。

 装備を見れば分かるが、面倒なので調べる気はない。


 足用の具足も全体的に漆黒で丸みがある。踝の辺りには左右に後ろへと伸びる羽の様なモノが付いている。これも色は漆黒だ。

 歩く時カツンカツンと金属音が響くので隠密性は皆無に等しいが、移動速度は上がるので、身に付ける事にした。


 背中には外面が黒で内面が赤のマント。

 これを着ただけで威厳が出てくるのだから不思議なものだ。

 まぁ、魔王に戻ったような気分になるからということもあるのだろうけど。


 用意を終えて部屋からでると、やはり待っていた四人組。

 伊藤、山田、アルテイン、カスティラの四人だ。

 どうやら私が起きるまで皆で待っていたようだ。少し悪い事をした。


「龍華たちは?」


「既に行ったわ。こっちもあなた待ちよ」


 やはりか。

 私は頭を掻きながら頭を下げる。


「すまんな。転生してからというもの、朝は弱いのだ」


「低血圧なの? 大変ね」


「仕方ないさ、それが人間というものだ。それより、さっそく行こうか。時間も有限だしな」


 龍華たちに遅れた分を取り戻すため、私は全員に告げる。

 一番遅れたお前が言うなといいたいところだろうが、一応、こちらのパーティーのリーダー役を買って出たのだ。これくらいは許して欲しい。

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