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俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第七話 勇者は嫌でも復活する
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その頃の勇者たち2・ヌェルティスやらかす

今回、ちょっとエグいです。

先に謝っておきます。ご容赦を。<m(_ _)m>

 本日、余裕も殆どないということで、儂らはさらなる戦いを行うため、カサント森林にやってきた。

 このカサント森林は、おおよそ東京ドーム10個分くらいの大きさらしい。

 よくこのドーム何個分という単位で現すことがあるが、いまいちピンとこんよな。儂も言っていながら良く分かっていない。

 とりあえずこの森はそれなりに広いということだけは理解した。


 生息生物は、主な所でコボルト、ミニオロチ、にっちゃう、モリノークマサーン、オークなどなど。

 コボルトやオークは理解できるがミニオロチってなんだろう?

 オロチって大蛇のことだろう? それのミニっていうと……中くらいの蛇か? 青大将よりは大きいんじゃないか?


 そしてにっちゃう。あの国では捕獲は犯罪らしいが、野生のにっちゃうならば何も言われまい。

 ふふ。ふふふ。はーっはっはっはっは。我が抱き枕としてぜひとももふってくれるわっ。

 赤城のヤツもこの機会ににっちゃうを一匹倒して図鑑登録したいらしいしな。

 儂だって一匹くらい自分の使い魔が欲しいのだ。あ、そういえば蝙蝠がおったな。まぁ奴らなどどうでもよい。にっちゃうを。にっちゃうを一匹必ずや捕獲してみせる。


 そこまでは、まぁ問題はないのだ。問題は、モリノークマサーン。

 どう聞いても儂にとっては忌々しい奴らの亜種としか思えない。

 なぜ奴らは儂の前にことごとく現れてくるのか、怒りを通り越して感心すらしてしまうぞ。


 まぁ、そんなわけでだ。儂は今カサント森林に来ていた。

 昨日はなんとか理性で抑えたおかげで大井手との関係に変化はない。

 下手をすれば眼すら合わせられない気まずい雰囲気になるところだったので、正直自分の理性に感謝している。


 そんな大井手は今、儂の横で儂が手塚と赤城をくっつけたりしないか注意を払っている。

 全く、アレは冗談だというのに、なんかそんなふうにされていると本当に行いたくなってくるではないか。


「ん? 蛇か?」


 日本のヤツが疑問符付きで眼を細める。

 木々に紛れて見えづらいが、何かがにょろにょろやって来ておるらしい。

 儂もそちらを見てみると、なる程、確かに斑模様の蛇が近づいて来ている。


「ふむ。魔物図鑑に新たに登録されたぞ。奴がミニオロチらしい」


 図鑑を取りだして待機中だった赤城が声を出す。

 ほぅ、アレがミニオロチか。……どうみてもただの蛇だが?


 大きさもあまりない。

 やはりただの蛇だ。マムシくらいの蛇だ。顔は大きめなので毒は持っていないと思いたい。

 しかしだ。身体が小さいということは、こちらの攻撃も当てにくいということでもある。


「グラビティバインド」


 まぁ、魔法少女が束縛魔法を持っておるのでな。問題なく倒せる訳だ。

 奴は赤城と日本に任せて儂は他の敵が来ないか見張っておこうかな。

 うむ。そうするか。


 横眼で確認すると、グラビティバインドにより動きを止められた蛇に走っていく日本。サーベルを引き抜き斬りかかっていた。

 どうでもいいので視界から外して森に視線を送る。

 そして、儂は運命の出会いを果たす。


 森の中に、黄色い毛が見えた。

 よくよく見ると、どうにも見覚えのある容姿である。

 ふわふわふさふさの毛並みを持つウサ耳雪だるまな生物がぴょんぴょんと飛び跳ねている。

 あれは……儂が追い求めていたにっちゃうではないか!?


 周囲を見回すが、他の危険はなさそうだ。

 よし。捕獲だ。捕獲してくれるわっ。

 儂は他の奴らに気付かれぬよう一人森の中へと分け入っていく。


 そいつは、なんの警戒も無く楽しそうに飛び跳ねている。

 移動距離も速度もそれほど早くないので、こっそりと近づくことに成功した。

 なるほど、身体が柔らかいからジャンプから着地する瞬間、鏡餅みたいに押し潰れるようだ。これはこれで……イイ。


 さすがに移動すると枝や葉に擦れて音が鳴ってしまうが、にっちゃうは気付いていないらしい。

 そーっと背後に忍び寄り、一瞬。儂は飛びかかるように抱きついた。


「に゛っ!?」


 驚くにっちゃう。しかし、既に儂はふわふわな柔らかボディを掴み取りである。

 ふふ。ふははははっ。やった。やったぞ!

 ついに儂だけのもふもふが手に入ったのだっ。

 ええい、こうしてはおれん。自慢を皆に自慢をせねば!


 儂は身を捩るにっちゃうをしっかり抱きしめクラスメイト達の元へ。

 にっちゃうも必死に逃げようとするが、肉が柔らかくしっかりと儂の腕が食い込んでいるので、ボンレスハムのようになっている。

 人肌温度で湯たんぽとしても最適だ。ふふ。やった。儂のにっちゃうだ――――っ。


「見よ、愚かな愚民どもっ。儂はついに手に入れたぞ。最強のもふも……」


 クラスメイトの元へ辿り着いた瞬間だった。

 突然、儂の身体に強烈な衝撃が来た。

 高速で背後に吹き飛ばされ、背中を木の幹にしたたか打ちつける。

 何か赤い飛沫と共に二つの長い棒の様なものが上空へと飛んでいた。


 何が起こった? と頭に手を当て現状を確認……しようと思ったのだが、なぜか額に手が来ない。

 なぜだと視線を向けると、儂の両腕が……なかった。

 ……え? ??? 何コレ?

 すでに自己再生・小のパッシブスキルで血は止まっているが、このあり得ない状況へ理解が追い付かない。


「い、いやああああああああああああああっ!?」


 ぼとりと棒……いや、儂の両腕が地面に落ちた時だった。大井手の悲鳴が辺りに響く。

 何が起こったと木々の間を掻き分け駆け寄れば、驚愕の面持ちで自分の腹に視線を向ける手塚。

 その胴体には……巨大な穴が空いていた。


 ……何が?

 そんな表情で手塚は自分の身体を見ていた。まるで至近距離から大砲でも打ち込まれたようだ。

 そして、すぐに口から血が零れた。

 力なく膝を付き、倒れ込む。


 その背後には、黄色い毛のにっちゃうが、鼻で笑うように立っていた。

 ……まさか、奴がやった……のか?

 驚きと戸惑いに思考が停止した次の瞬間、儂は、いや、儂らは、石造りの狭い部屋に死に戻っていた。

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