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俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第七話 勇者は嫌でも復活する
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ある女生徒の憂鬱1

明けましておめでとうございます♪ <(_ _)>

今回初めて予約掲載使ってみました。

些末な小説ですが、よろしければ本年度もよろしくお願いします。

「ああ、もぅっ。どうしてこうなったのよぉ……」


 頭を抱え、あたしは嘆きを口にする。

 朝の教室に来たはいいが、ついついパッド型のパソコンを持ち込んでしまった。

 その画面には、三つの分割画面が展開されており、勇者とされた手塚の六人パーティー。龍華っちを筆頭にした三人と現地人二人のパーティー、菜七っちを筆頭にした同じく五人のパーティーが行動しているものをクオータービューモードで俯瞰できるようになっている。


 全く、まさかこの世界にクラスメイトが呼び出されるとは予想外というか、斜め上を行き過ぎて……あああ、もぅ、どうすんのこれ。下手すりゃ至宝っちが魔王になって退治されちゃうじゃん。

 そしたらあたし、この世界の人を殺したってことで裁判にかけられるっ。

 そしたらそしたら、あたしは有罪判決受けてあの有名なアルメダ監獄に送られてしまうのでは!?


 どうしてもう遊び飽きたはずのこの世界があたしの人生にまた関わってくるかなっ。

 ああもう、どうしたら、どうしたら、どうしたらいいですか――――っ。

 誰か、なんとかして――――っ。


「随分と思い悩んでいるようね。どうかしたの?」


 不意に、クラスメイトの一人が語りかけてきた。

 いつの間にか登校時間になっていたのか、他にもちらちらと生徒が登校を終えている。

 近づいて来た生徒は……ああ、アルテマっちか。


 下田完全。アホな両親のせいで完全と書いてアルテマと呼ぶキラキラネームを付けられた可哀想な女性だ。

 しかも、完全という言葉に近づけるようにと両親は幼い頃から文武両道を目指して稽古させたようで、筋肉質だが絶妙のプロポーションを維持する美人へと変貌を遂げたアルテマっち。


 完成された肉体美は男女問わずため息を漏らす程に綺麗だ。

 顔も少しキツイ眼鼻立ちをしているものの、それがまた日本人離れしていて人気がある。

 胸は筋肉の付け過ぎで残念な感じになっているが、それでもBくらいはある。


 最近は反抗期が来ているのか髪を金髪に染めている。

 そんなアルテマっちは、腰元まである長い髪を掻きあげ、あたしを見つめていた。

 ……ふむ。アルテマっちか。


「丁度いいとこにアルテマっち。ぜひぜひお使いを頼まれてくれないかにゃ?」


 あたしは丸いメガネをキランと光らせアルテマっちに視線を向ける。


「使い?」


「そうそう。ちょっち異世界に行って魔王にコレ刺してくるだけの簡単なお仕事です」


 と、取り出したるは一本のダーツ。

 すでに加護は与えてあるので、本当に突き刺すだけでいいのである。


「異世界というのは、この前の場所か?」


「んにゃんにゃ。今度はほれ、こっちの世界ナリよ。至宝っちがトドメ刺しちゃう前に魔王にプスッとね、頼むよ」


「……ふむ。なんだかよくわからないけど、とりあえずそっちの世界とやらで魔王ってヤツにそれを突き刺せばいいのね」


「そっそ。簡単っしょ?」


「深く理由は聞かんが、それをして何かメリットがあるのだな?」


「至宝っちを死なせないための秘密道具で……あ、そうだ」


 ふと、あたしの視界にある人物が映った。

 うむ。こいつもついでに巻き込んでしまおう。こいつならもしもの時もきっと何とかしてくれるはずだ。うん。これはいい。


「麁羅っち。麁羅っち。ちょいちょい」


 目的の人物を呼ぶと、綾嶺麁羅がえ? 私? といった顔でやってくる。

 アルテマっちの横に並んだのを見定め、あたしは言った。


「じゃ、アルテマっち。一応、魔王にプスッとやるときは麁羅っちに任せて、アルテマっちは邪魔する奴をやっちゃってくださいな」


「いいけど、なぜ綾嶺さん?」


「え? あの、どういうこと?」


「よーし、んじゃ行ってみよっかー!」


 二人の質問をスルーして、あたしは用意していた転移装置を作動させる。

 頼むぜアルテマっち。そして麁羅っち。

 あたしが犯罪者になるかどうかは二人の頑張りに掛かっておるのだよ。

 ほぃ、ぽちっとな。


「む!? これは魔法陣というヤツじゃないの!?」


「え? え? なになに? どうい……」


 そして、二人が旅立った。

 さぁて。あたしはあたしで薬藻っちと八鹿っちの能力からバグ取り除いとかないと。どうなるかわかんないしね。


「の、のぅなれよ。今のはなんぞや? 下田たちが消えてしもうたが、なれが何かしたのかや?」


 さぁ頑張るぞ。と大きく息を吸い込んだ所で邪魔が入った。

 ちっ。見られていたか。


「なんのことかなー葛之葉っち。あたしゃ何も見てませんがなー」


「う、嘘を付くでない、さっきまで会話しておったではないかっ」


 斜め前に居た小出葛之葉だ。どうにも喋り方があざとい気がするんだよね。あたしも大概だけどさ。

 葛之葉っちがぎゃーぎゃーわめくので、あたしはしばらく作業に取り掛かれなかった。

 はぁ……憂鬱だよホントに。

 なんであたしがこんな目に……

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