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その世界はゲーム知識でできていた2

「では、まずは俺から行こうか」


 言いだしっぺから。とでも言うように、赤城が先陣切ってステータス・展開表示と口にする。


 NAME:赤城哲也 【♂】

 RACE:人間 【17】

 CLASS:闇医者 【Lv27】

 DEGREE:てつえもん 【Lv40】

 HP 4600/4600

 MP 3000/3000

 TP 6200/6200

 AT  517

 DF  227

 MA  314

 MD  533

 SPD 273

 LC  493

 特技:

     手術:300

     手当:150

     縫合:20

     暗殺:800

 魔法:

     ヒール:10

     ヒールオール:70

     ヒールラ:80

     キュアポイズン:50

     キュアパライズ:50

     キュアコンフュ:50

     ヒール・オブ・デス:700

 PASSIVE:

     魔力系成長・大

     魔物図鑑

     道具図鑑

     薬学知識

     値切り

     高額請求

 情報:異世界から召喚されし者


 ってぇ!? いきなりツッコミどころ満載だなオイ!

 闇医者ってなんだっ!? しかも医者なのに暗殺って!

 ヒール・オブ・デスとか、儂の暗黒武術といい勝負ではないか? 厨二っぽいぞ。


 称号のてつえもんはアレだな。仲間の山根が赤城に頼る時、いつも、てつえも~ん助けてーとか言っているせいで称号になったようだ。可哀想に。

 しかもレベルが40って。どんだけ助けられてるんだ山根のヤツは。


「これが俺のステータスだ。図鑑というものがパッシブスキルにあるが、これはどうすればいい? 表示する方法があるのだろう?」


 と、魔術師に尋ねる赤城。

 おそらくゲームをよくしているせいだろう。こういう知識は他のクラスメイトよりあるようだ。

 与えられたスキルなども自力で把握できているらしい。

 まぁ、儂も大体理解はしておるがな。

 ふっふっふ。伊達に生きた時間、ゲームで時間潰しはしていないのだよ。


「図鑑系ですか。対象の図鑑を明示してから表示と言えば手元に現れます」


「道具図鑑、表示」


 すると、赤城の手元に現れる一冊の本。とても薄い本だった。

 その薄さに突っ込みでも入れるのかと期待したが、赤城はスルーして本をめくってみる。


「何も書かれていないな。表示されるのはこの世界の道具だけか」


「ええ。あなたが手に取って初めて登録されるはずです」


「魔物図鑑は?」


「ご本人あるいはパーティーを組んだ仲間が対峙した魔物のみですね。そのまま倒せば全て表示されますが、途中で逃げるなど相手を生かしたままにしますと名前のみ表示されます。あるいは使ってきたスキルがあればそれも登録されます」


「そうか。理解した」


 赤城はメガネをクイっと上げると、視線を儂らに向ける。


「次は?」


「あ、はい。それじゃあ私が」


 NAME:大井手真希巴 【♀】

 RACE:人間 【17】

 CLASS:魔法少女 【Lv73】

 DEGREE:圧殺の使者 【Lv27】

 HP 3200/3200

 MP 8800/8800

 TP 1100/1100

 AT  322

 DF  210

 MA  720

 MD  418

 SPD 290

 LC  662

 特技: 

     変身:0

 魔法:

     グラビティバインド:40

     ダムド:100

     グラビティ・テリトリー:30【10秒毎に5】

     グラビトンバスター:150

     ダムドラ:200

     ダムドライア:450

     メテオレイン:8000

 PASSIVE:

     魔力系成長・大

     MP回復・中

     重力操作

     飛行

     索敵回避

 情報:異世界から召喚されし者


 おお、やはり魔法少女は魔力が高いな。

 というか……圧殺の使者だと!? なんかすごい呼ばれ方しておるな。

 おそらく敵対した者たちが呼んでいる呼称なのであろうな。

 というか、変身してなくても魔法は使えるのか。

 ……変身、無意味なのでは? ああ、いや、身体強化とかが出来るのやも知れんな。


「ふむ? このメテオレインという魔法は凄いな。MPの殆どを使うのなら高威力だろう?」


 赤城の言葉におずおず頷く大井手。しかし、すぐに恥ずかしそうに言う。


「で、でもね。これ、敵味方の区別が出来ないから、凄く危険なの。使ったのも一回だけだし……」


 一回は使ったのか。

 ぼそぼそと聞こえづらいが、どうやらその魔法はあまりに凄惨な光景だったらしく、自分から使用禁止にした禁術なのだとか。


「敵味方の区別無しか。無差別魔法は確かに危険だな。だが……」


 多対一なら、これほど無双できる能力はない。

 儂らにとってはまさに起死回生の魔法であろう。

 最悪、魔王城にこ奴一人突っ込ませてこの魔法で一撃離脱も楽しそうだ。


 儂が吸血して筋力強化した腕力で大井手を敵軍向って投げ飛ばし、中心付近でメテオレイン。

 ふふ、くぁーっはっはっは。まだ魔法を見てもいないのに笑いが止まらんぞ。

 ぜひ、ぜひやりたい。むしろやろう。いつか絶対進言してやらせてみせようぞ!

 死を振りまく恐怖の人間大砲。またの名を、儂の考えた暗黒滅さ……っと、危うく黒歴史を増やす所であったわ。危ない危ない。


「そ、そろそろ恥ずかしいし次の人に、ね。お、お願い」


 全員にまじまじとステータスを見られた大井手が視線で手塚に助けを請う。


「あ、そ、そうだな。じゃあ……」


「待て。折角の勇者だ。お前は一番最後だ」


 折角ステータスを広げようとしていた手塚を赤城が押し止める。

 視線を日本に向け、次の表示を促した。


 NAME:日本毅 【♂】

 RACE:人間 【17】

 CLASS:学生 【Lv12】

 DEGREE:マルコメ 【Lv3】

 HP 4900/4900

 MP 1400/1400

 TP 8000/8000

 AT  843

 DF  428

 MA  207

 MD  266

 SPD 375

 LC  631

 特技:非公開

 魔法:なし

 PASSIVE:

     前世知識

     剣術【Lv7】

     陸軍

     指揮【Lv33】

     索敵

     筋力系成長・中

 情報:異世界から召喚されし者


 ぷふ――――っ。マルコメ。マルコメだとっ。

 なんと似合った称号であろうか。坊主頭が称号とかぶふっ。

 ああ、いかん。あまりに嵌りすぎて他の情報が頭に入らん。ぶふぷっ。


「おい田中。あまり笑うな。不愉快だ」


 儂だって我慢して口元を押さえておるというのに、目元までは隠せんかったらしい。

 日本が苦虫を噛み潰した顔で言う。


「フン。それほど笑うならば貴様のステータスとやらは余程凄いのだろうな。見せてみろ」


 うぐっ。墓穴を掘ったか!?

 日本の言葉に他の面々も頷く。

 ついに……恐れていることが来てしまったらしい。

 マルコメに笑っている場合ではなさそうだ。

 ええい、こうなれば……

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