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アグニ VS 飛行部隊司令官1

 大地で指令官と骸骨皇帝の決着が着いた後、俺はあっちはどうなった!? と頭上のアグニに視線を向けた。

 未だにアグニは闘い続けているようだ。

 敵のコルドスは身体こそ大人と子供以上の差があるが、むしろその個体差を生かして俊敏にアグニを翻弄していた。


 尻尾による四連鞭の攻撃も、爪で繰り出す斬硬爪による攻撃も、ドラゴンブレス、メギドフレアに至ってすらも、一度も掠ることなく避けて行くコルドスに、アグニのフラストレーションが溜まっているのが良くわかった。

 だんだんと荒々しくなっていく攻撃に、コルドスがニヤついた笑みを見せている。


 アレはマズい傾向だ。

 このままだとスタミナが切れた、もしくは隙を見せた瞬間にアグニの不利が確定する。

 とはいえ竜族にスタミナ切れが起きるのか? ということもあるので、おそらく隙ができるのを待っているのだろう。


「マズいな。アグニをなんとか助けないと……」


「クルルゥ……」


 ゴブリンウォーリアのスラッシュを避けて反撃しながら呟いていると、頭上からハーピーの一体が近づいてきた。

 俺に斬りかかったハイ・オークの頭を足で鷲掴むと、ぺいっと後方に捨て去り、俺の両肩を掴んで飛翔。戦線から救出してくれた。


 そのまま一端戦場から離れた場所まで連れて行かれると、丁寧に解放され、嘶きながらアグニを翼で差す。

 まるで自分が連れていくとでも言っているようだった。


「君は確か……オキュペテーだったか」


 三姉妹、アエロー・ケライノ・オキュペテーとしてネームドモンスターとなった彼女たちは、人間の言葉こそ喋れないが、理解する事は可能だった。

 とはいえ鳥頭なのでかなり忘れっぽいのだけれど。


 一応、確認のためにステータス強制表示をしてみる。

 ……ッ!?

 そこに書かれていた情報に、俺は思わず目を疑った。


 情報:

    ハーピー三姉妹の三女。

    密かにマスター・武藤薬藻に惚れている。


 しかもPASSIVEスキルに一途の愛情。魔法には恋する少女の魂が存在していた。

 え? 何コレ? 俺、いつそんなフラグ立てたっけ?

 唖然とする俺にオキュペテーは首を傾げてみせる。

 俺は思わず彼女の良く見るとかなり可愛らしい顔とこぼれそうな胸をしっかりと焼き付け……じゃなかった。慌てて表示されたステータスを閉じた。


「そ、そうだな。じゃあまずはアグニの手助けになるように誰か助っ人を連れて来よう。竜族の群れに向ってほしい」


「クルルルッ」


 俺が頼むと、嬉しそうに微笑み背中を向けるオキュペテー。

 まさか……背中に乗れと? さっきみたいに肩掴んで運んでくれれば……いや、そんな乗らないの? みたいな純粋な瞳で見ないでくれ。心の準備が……


 相手は只のモンスター。魔物だ、魔物。人間とは違うし人型でもない。半人半鳥の存在だ。卵生の生物だ。そう、今見たことは何かの間違いだ。

 必死にそんなことを考えながら彼女におぶさるフィエステリア男。その姿はまさに美女に寄生しようとしている醜い化け物のようだった。


 オキュペテーが飛翔する。羽犬の時とは違い速度は桁違いに早い。

 すぐに白竜が指揮する飛竜部隊に接近してくれた。

 無駄に首に回した両腕に胸が当って居心地の悪かった俺は、グウィバーの元へ辿り着くと、そっちの背中に早々跳び移る。

 オキュペテーが不満そうにしていたが、アレ以上一緒に居たら男として何かを間違えることが容易に想像できたので許して欲しい。


 一先ず好き好んで嫌われようとは思わないので、手招きしてオキュペテーもグウィバーの背中に取りついて貰った。

 すると、目の前の敵をドラゴンブレスで一掃し、一息付いたグウィバーが俺に意識を向けた。


『何用だ小僧』


「ああ、アグニが敵の指令官と戦ってるんだ。できるなら援護に向ってくれないか。あいつさえ倒せば飛行部隊も瓦解するみたいなんだ。それに、日本から天水ヘ向カエ作戦発動するからできるだけ敵を王国に招き入れろって指示が来た。もう城を護る必要は無いらしい」


『ふん。なぜこの我が奴を助けねばならん? こっちの指揮で忙しい、他を当たれ』


 ……ああ、そういえば赤竜と白竜ってなぜか馬が合わないんだっけか。こいつに頼んだのは失敗だったな。


『アグニ様が危険って、本当!?』


 白竜はダメだと見切りをつけた俺に、今度は水竜が近づいてきた。


「え? あ、ああ。ちょっと我を忘れそうになっててさ。あのままだと敵にいいようにやられかねないんだ」


『なら、私が、私が助けるわ! 待っていてくださいアグニ様、このトトレア・トーニア・トマトジュースがすぐにお助けいたしますわぁ――――っ!!』


 俺の話しを聞いた瞬間、まさに恋する乙女とでも言うような瞳でアグニの元へと飛び去る水竜。

 ……なんだアレ?

 人物紹介(仮)


 武藤薬藻

   改造人間・フィエステリア・ピシシーダ

 アグニ・アルカン・アトランテ

   赤竜王 

 オキュペテ

   言わずと知れた鳥人間型魔族。服を嫌がるので常に裸。


 部隊構成(仮)


  魔王軍

   第一部隊 機動部隊(魔獣のみの構成)約2万 壊滅

   第二部隊 騎馬部隊(魔獣に騎乗した魔族)約2万 壊滅

   第三部隊 歩兵部隊(魔族のみの構成)約4万 残り約6百

   第六部隊 巨人部隊 壊滅

   第八部隊 南方奇襲部隊 約2万5千 残り約4百

   第十一部隊 飛行部隊 約2万5千 約4千

   第九部隊 西方奇襲部隊 約2万5千 竜巻により壊滅

   第十部隊 東方奇襲部隊 約2万5千 残り500体

   第四部隊 重歩兵部隊(高ランク魔族のみ)約1万 残り27体

   第五部隊 巨大獣部隊(攻城用・魔獣魔族混合) 200体

   第七部隊 精鋭兵・魔王 約百名

   第十二部隊 神巨人   2体


  フルテガント王国軍


   第一部隊(王国軍冒険者人猫族混合) 約4千名

   第二部隊(勇者王国近衛兵暗部精鋭兵等)約6百名

   魔法部隊(王国軍冒険者エルフ族混合) 約5百名

   負傷者               約3千名 妖精郷避難中

   死者                約4千名 妖精郷避難中

   完全死               1328名

   医療部隊(王国軍冒険者妖精族混合) 約5百名 妖精郷避難中

   南方防衛部隊(魔法・医療部隊混合) 約2百名

   遊撃部隊テイムモンスター25名

   竜部隊(赤龍王と黒竜は含まず)13名 残り12名

   伏兵部隊・西            100名

   伏兵部隊・東           1280名 + 4名

   初代魔王城避難組          約300名

   行方不明                1名


  魔王軍戦経過報告(仮)


   ・王国軍先制攻撃。

   ・機動部隊壊滅。

   ・龍華出陣。敵軍中央(重歩兵部隊)にて無双開始。

   ・機動部隊の後詰、騎馬部隊と第一部隊が激突。

   ・騎馬部隊と歩兵部隊の一部が左右の森へと侵入。遊撃部隊が迎撃。

   ・巨人部隊最前線に出現。

   ・巨人族対巨大宇宙人&竜族

   ・南方防衛戦

   ・西東より新たな奇襲部隊出現

   ・西東方防衛戦

   ・作戦名【トラ・トラ・トラ】発動

   ・飛行型奇襲部隊南より襲来

   ・ネリウの奇襲魔法により飛行部隊に大打撃

   ・龍華奇襲失敗。魔王、スルト・シンモラ召喚

   ・魔王軍最終防衛ライン突破。フルテガント王国を蹂躙


     ↑いまココ


   ・【天水ヘ向カエ】発動

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