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骸骨皇帝 VS 南指令官

 俺の目の前に剣が差しだされ、オースティンの一撃を受け流していた。

 剣を差しだしたのは首無し骸骨馬に引かれたチャリオットを駆る骸骨。エンペラースケルトンだった。

 まさかの助っ人に驚く俺に下顎をカタカタ震わせて、間に入るようにオースティンに対峙するエンペラースケルトン。


「貴様、邪魔ヲスルナ!」


 オースティンの言葉にエンペラースケルトンは下顎を震わすのみ。剣を構えてたずなを振う。

 巨体のオースティンとエンペラースケルトンはチャリオットに乗っている分エンペラースケルトンの方がやや大きく見える。

 ただ、エンペラースケルトンはチャリオットと一体化しているため、剣の可動範囲が少なく、さらにジャンプや横転で逃げる行為などができないので、ハンデがあるといってもよかった。


 それでもエンペラースケルトンは俺を庇うように前に出ると、宝剣クラスターソードを構え、不気味にカタカタと音を鳴らす。

 その立ち姿に、オースティンの眼が変わった。

 今まではどこか戦場を楽しむ余裕があったのだが、エンペラースケルトンを前にした彼は、真剣そのものだった。


「行クゾ」


 言葉は短く、オースティンが大剣を振り上げ一気に跳躍。

 左からの一閃を、馬首を下げたエンペラースケルトンは魔法で迎え撃った。

 鎌鼬之爪痕リッパー・ストラッシュ。風魔法の一種で真空波で相手を切り裂く技である。


 まさか魔法を使うとは思っていなかったオースティンは、慌てて横跳びで回避。

 そこへ粉塵雷爆ライトニング・ダスト。粉の様に散布された魔力に雷撃が走り空間を爆破させる魔法である。


 これにはオースティンも避ける事は適わなかったらしく、絶叫を迸らせる。

 鱗越しに焼けた肉から煙を吹き出しつつも、魔法が途切れたと同時にエンペラースケルトンの首無し馬を斬り付けた。

 首無し馬一体の首がさらに短くなった。


「オオオオオオオオオオオオオッ!!」


 さらに咆哮を叫び威嚇する。

 だが、エンペラースケルトンはどこ吹く風と真空波斬で対応。

 オースティンは自身を護るように大剣を設置して受け止めた。


「ナルホド、貴様、タダノスケルトンデハナイナ。ナノアル者ト見タ。ソコノバケモノ、コイツノナハ?」


 と、俺に振ってくるオースティン。

 エンペラースケルトンが喋れないのだから仕方がないのだが、化け物はないだろう。

 いや、確かに容姿は俺が見ても化け物だとは思うけどさ、オースティンだってリザードマンの化け物に相違ないわけで、化け物に化け物とは言われたくなかった。


「確か……トリアネル・マヨネーズだったかな」


 これを聞いた瞬間、オースティンは驚愕に眼を見開いた。


「オオオオオ!? 遺体ガ見ツカラナカッタガコンナトコロニアナタ様ガ!」


 なぜか涙を流しオースティンはエンペラースケルトンに再度構える。


「死シテナオ人間ドモニ使ワレル恥辱、コノ私メガ解放サシアゲマスゾ、魔王陛下ノ御父上!」


 なんとぉっ!?

 ファミリーネームが同じだからなんとなく予想してたけど、本当に第三勇者だったのかエンペラースケルトン。

 俺、なんつーもんをテイムしてしまったんだろう。


 しかし、当のエンペラースケルトンは気にすることなくクラスターソードを構える。

 花崗岩の苦悩グラニッド・ディストレスの魔法を唱え、自身の前に溶岩流を創りだす。

 溶岩流はさすがに触れたくないのか、オースティンは慌てるように跳び退き、真横から回転斬り。


「喰ラエ、キルストラッシュ!」


 オースティンがスキルを使用。袈裟掛けに襲い掛かる剣に、エンペラースケルトンは手綱を打って首無し馬を急発進。溶岩流をモノともせずに駆け抜けオースティンから距離を取る。

 さらに旋回して突貫した。


「チィッ」


 オースティンが対応するように掬い上げる一撃。

 煙りを上げ、少し溶けた首無し馬の足元を切り裂こうとするが、寸前で急旋回。

 チャリオットの側面がオースティンの前面に現れ、エンペラースケルトンによる真上からの一撃。


「ヌゥッ!?」


 慌てて剣を持ち上げ受け止める。

 カチ合った剣が響き合い、拮抗した。

 実力的も拮抗しているのか、その状態が維持される。

 少しでも剣を斜めに傾ければいなせると思うのだが、オースティンはそれをしなかった。


 代わりに口を開き大きく息を吸い込む。

 何をするか気付いたエンペラースケルトンが左手をオースティンに向ける。

 ファイアブレス、戦塵礫滅波。発動したのは同時だった。


 至近距離からの一撃必殺。

 二つのスキルが交わった瞬間、周囲を巻き込む大爆発が起こる。

 少し離れた俺まで吹き飛ばされそうになる程の威力で、爆心地は炎が揺らめき視界を遮っている。


 炎が晴れる。

 揺らめきの隙間から見える二つの影。

 エンペラースケルトンの左腕は、跡形も無く消え去っていた。

 そして、オースティンの頭も……


 どぅと、オースティンだった者の亡骸が倒れる。

 敵を倒したエンペラースケルトンは、馬首を返して更なる戦場へと駆けるのだった。

 人物紹介(仮)


 武藤薬藻

   改造人間・フィエステリア・ピシシーダ

 エンペラースケルトン

   頭に王冠、首無し馬二頭にチャリオットを引かせた骸骨。

   手に持つ剣はかなりいい値段で売れる宝石剣。


 部隊構成(仮)


  魔王軍

   第一部隊 機動部隊(魔獣のみの構成)約2万 壊滅

   第二部隊 騎馬部隊(魔獣に騎乗した魔族)約2万 壊滅

   第三部隊 歩兵部隊(魔族のみの構成)約4万 残り約6百

   第六部隊 巨人部隊 壊滅

   第八部隊 南方奇襲部隊 約2万5千 残り約4百

   第十一部隊 飛行部隊 約2万5千 約5千

   第九部隊 西方奇襲部隊 約2万5千 竜巻により壊滅

   第十部隊 東方奇襲部隊 約2万5千 残り500体

   第四部隊 重歩兵部隊(高ランク魔族のみ)約1万 残り27体

   第五部隊 巨大獣部隊(攻城用・魔獣魔族混合) 200体

   第七部隊 精鋭兵・魔王 約百名

   第十二部隊 神巨人   2体


  フルテガント王国軍


   第一部隊(王国軍冒険者人猫族混合) 約4千名

   第二部隊(勇者王国近衛兵暗部精鋭兵等)約6百名

   魔法部隊(王国軍冒険者エルフ族混合) 約5百名

   負傷者               約3千名

   死者                約4千名

   完全死               1328名

   医療部隊(王国軍冒険者妖精族混合) 約5百名

   南方防衛部隊(魔法・医療部隊混合) 約2百名

   遊撃部隊テイムモンスター25名

   竜部隊(赤龍王と黒竜は含まず)13名 残り12名

   伏兵部隊・西            100名

   伏兵部隊・東           1280名 + 4名

   初代魔王城避難組          約300名

   行方不明                1名


  魔王軍戦経過報告(仮)


   ・王国軍先制攻撃。

   ・機動部隊壊滅。

   ・龍華出陣。敵軍中央(重歩兵部隊)にて無双開始。

   ・機動部隊の後詰、騎馬部隊と第一部隊が激突。

   ・騎馬部隊と歩兵部隊の一部が左右の森へと侵入。遊撃部隊が迎撃。

   ・巨人部隊最前線に出現。

   ・巨人族対巨大宇宙人&竜族

   ・南方防衛戦

   ・西東より新たな奇襲部隊出現

   ・西東方防衛戦

   ・作戦名【トラ・トラ・トラ】発動

   ・飛行型奇襲部隊南より襲来

   ・ネリウの奇襲魔法により飛行部隊に大打撃

   ・龍華奇襲失敗。魔王、スルト・シンモラ召喚

   ・魔王軍最終防衛ライン突破。フルテガント王国を蹂躙


     ↑いまココ


   ・【天水ヘ向カエ】発動


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