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女神の決断

 あーもう、あーもうっ!

 どうしろってのよ! 龍華っち負けてんじゃん!?

 モニタ越しにスルトの拳によって画面から消えた龍華っちに、あたしは絶望しかなかった。


 スルトの進撃が止まらない。

 そしてそのせいでスルト対応にやってきた完全っちや龍華っち、麁羅っちに百乃っちが抜けた穴が予想以上に大きく、さらに真希巴っちが調子崩しているため、対処が甘くなった魔物が進軍を始めたのだ。


 それが歩兵だけならよかった。

 でも龍華っちが居なくなったせいで重歩兵と巨大獣部隊までが前線にやってきたのだ。

 向こうもついに総攻撃を行いだしたという事だろう。


 これはマズい。

 北だけでもこんな状況なのに、南はさらに最悪なことになっていた。

 半数以上が大気大爆発で消え去ったものの、飛行部隊は真っ直ぐに城に向い飛んでくる。


 竜族が対応に当ったはずだが、どうにも芳しくないらしい。

 魔術部隊の方もネリウっちが気絶し、指揮系統がくずれ、個人個人のスタンドプレーが目立ち始めた。

 イチゴっちが頑張って立て直そうとしているが、これも失敗に終わりそうである。


 さらに竜族。纏わり付かれると敵に無力な事が判明した。

 身体が大きすぎるせいだろう。

 飛行敵をどうにかする前に自分らが攻略されそうなのが片腹痛いわ。何してんの自分等?


 今までかなり押して来てると思ったのに、こりゃマズいなんてもんじゃない。

 下手すりゃ全滅も視野に入る程に押され始めている。

 打てる手は全て打ったつもりだ。まさかネタで作ったスルトと契約するような魔王がいるとは思わなかった。


 アレをどうにかするのはクラスメイトたちじゃ無理だ。

 ならどうするか。

 打てる手は全て打て。龍華っちがそう言っていた。


 やれることは全てやったつもりだったけど、確かに一つだけ拒否していることはある。

 そもそもが許可がいるので書類を数枚書かないといけないし、いろんな場所に根回ししなければならないので面倒臭いからやらない。というのが本音であるが、この際出し惜しみすべきではないだろう。


 仕方ない。

 やるしかないだろう。女神様降臨祭を。

 でも、最高評議会に書類提出とか理由の口頭説明とか面倒なんだよね。

 ああもう、でももう引き返せるところは過ぎてしまった後だし、毒を喰らわば皿まで。やるしかないか。


 あたしが行くまで持ちこたえてよ皆。

 必ずスルトを破壊して魔王を潰しちゃうぜ!

 ……って、ヤバ。よそ見しているうちに第一部隊が潰走始めとる。


 さすがに重歩兵部隊はなんとか対応できたようだが、巨大獣には成す術がなかった。

 もう少し龍華っちが数を減らしてくれていればよかったけれど、それは後の祭りに等しい。


 さらに魔王軍本体ともいえる魔王と側近100名部隊も徐々にその距離を縮め、フルテガント王国へと近づいて来ていた。

 今はまだかなり遠いが移動速度が桁違いに早い。もたもたしていれば確実に蹂躙されかねない。


 時間がないのだ。あたしは持てる力全てを使うため、まずは書類書きから初めましょうかね。

 非常に不本意だけど。

 決断したあたしは呼び出した書類に目を顰めつつ、挨拶回りの準備を整えることにしたのだった。


 タブレット端末の中では、未だに進軍する魔王軍が映っている。

 その蹂躙劇は留まる事を知らず、ついに、フルテガント王国への危機としてすぐ目と鼻の先に存在していた。

 四面楚歌とはよく言ったもので、この状況で助っ人を待つのはただの諦めに等しい。


 東門の方だけは随分と敵がやられてるみたいだ。

 こっちの方面は何とかなりそうだ。

 まぁ、勇者様が出張っているんだし、負ける事はないでしょう。


 書き終えた書類の束を持ち、あたしは立ち上がる。

 少しの間だけ席離れるけど、戻ってきたら全滅とか、やめてよ。

 あたしは不安感に押し潰されそうになって凄く怖かった。


 既に放課後に差しかかった教室には殆どの生徒が残っていなかった。

 あたしは一端教室から出て、即座にワームホールを作りだし、中へと踏み行ってく。

 今回向うべきは異次元にある裁判所である。

 ここに書類を提出し終えたら、【先生】に連絡を取り、状況報告。

 あとは……今のところいいかな?


 問題はタイミングだ。

 美味い具合に早く許可が下りればすぐにでも助っ人に向える。

 でも、その世界の女神であるあたしが勝手に降臨すると様々な問題が発生してしまうので、いくらピンチだからといえども好き勝手に世界干渉を行えないのである。

 許可さえ下りればこっちのもんなんだけどね。


 まぁ、こっちの世界からちょっかい掛ける分には問題ないんだけどさ。

 それも限界に来た訳だし、直接行くしかなさそうだ。

 見てなさいよ魔王。その思い上がった暖か脳みそに氷水ぶっかけてやるからな。

 人物紹介(仮)


 桃栗マロン(ももくりまろん)

    高次元生命体・異世界制作者・この世界の女神


 部隊構成(仮)


  魔王軍

   第一部隊 機動部隊(魔獣のみの構成)約2万 壊滅

   第二部隊 騎馬部隊(魔獣に騎乗した魔族)約2万 壊滅

   第三部隊 歩兵部隊(魔族のみの構成)約4万 残り約2千

   第六部隊 巨人部隊 壊滅

   第八部隊 南方奇襲部隊 約2万5千 残り約6千

   第十一部隊 飛行部隊 約1万2千

   第九部隊 西方奇襲部隊 約2万5千 竜巻により壊滅

   第十部隊 東方奇襲部隊 約2万5千 残り約千

   第四部隊 重歩兵部隊(高ランク魔族のみ)約1万 残り約94体

   第五部隊 巨大獣部隊(攻城用・魔獣魔族混合) 約千3百

   第七部隊 精鋭兵・魔王 約百名

   第十二部隊 神巨人   1体


  フルテガント王国軍


   第一部隊(王国軍冒険者人猫族混合) 約3千名

   第二部隊(勇者王国近衛兵暗部精鋭兵等)約6百名

   魔法部隊(王国軍冒険者エルフ族混合) 約5百名

   負傷者               約3千名

   死者                約5千名

   完全死               1327名

   医療部隊(王国軍冒険者妖精族混合) 約5百名

   南方防衛部隊(魔法・医療部隊混合) 約5百名

   遊撃部隊テイムモンスター25名

   竜部隊(赤龍王と黒竜は含まず)13名

   伏兵部隊・西            100名

   伏兵部隊・東           1280名 + 4名

   行方不明                1名

     気絶                1名


  魔王軍戦経過報告(仮)


   ・大井手真希巴、ヌェルティス、増渕菜七による広範囲魔法での先制攻撃。

   ・三人の退却後、魔王軍機動部隊(獣部隊)を罠に嵌める。

   ・魔法部隊による追い打ち。

   ・機動部隊壊滅。

   ・龍華出陣。敵軍中央(重歩兵部隊)にて無双開始。

   ・機動部隊の後詰、騎馬部隊と第一部隊が激突。

   ・騎馬とさらに後詰の歩兵部隊が合流。

   ・綾嶺の自業自得な危機で超幸運効果発動により大井手が助っ人に入る。

   ・重圧魔法が無くなり騎馬部隊が本格的な行動を開始。

   ・大井手が持ち場に戻り魔法再開。

   ・騎馬部隊と歩兵部隊の一部が左右の森へと侵入。遊撃部隊が迎撃。

   ・巨人部隊最前線に出現。

   ・巨人部隊一つ目兄貴たちによる一斉射。

   ・増渕により一斉射の防衛成功。体力が尽き増渕死亡(仮死)。

   ・巨人族対巨大宇宙人&竜族

   ・南方防衛戦

   ・西東より新たな奇襲部隊出現

   ・伏兵出現

   ・西方防衛戦

   ・東方防衛戦

   ・作戦名【トラ・トラ・トラ】発動

   ・竜族撤退。宇宙人孤軍奮闘

   ・飛行型奇襲部隊南より襲来

   ・ネリウの奇襲魔法により飛行部隊に大打撃

   ・龍華奇襲失敗。魔王、スルト召喚


   ・北門崩壊


     ↑いまココ

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