ティタノマキア・巨人殲滅戦1
「リュアッ!」
桃栗命名イルミネートキックを炸裂させ、俺はサイクロプスを蹴り飛ばした。
そろそろ終わりが見えてきたかと思って周囲を見てみれば、丁度竜族が城へ向けて飛び立った所だった。
「リュアッ!?」
まだ巨人族は居るというのになぜ帰りだす? と思って念話をしてみる。
(そこの水竜、なぜ竜族は帰還を始めた?)
(なんじゃねおまいさん、さっきの天の声聞いとらんかったんか)
随分と年老いた女性の声音で返ってきた念話に、俺は首を捻る。
天の声というと桃栗の声だろう。しかし、声は聞こえなかった。
おそらく竜族のみに聞こえたのだろう。
(すまない。聞こえてなかったようだ。できるなら教えてくれないか?)
(うむ。ようわからんのだがのぅ、南の方で緊急事態が起きたそうでそっちに回れと言われたんじゃよ)
南で緊急事態? 竜族を全て回す程のか?
となると、北方面の巨人残り80程は野放しに……いや、そうか。俺に連絡が来なかったってことは、俺がやれってことか。
まぁ、別の理由もあるかもしれないが、いいだろう。
どうせ本来なら全ての巨人族を相手取るつもりだったのだ。
数えられる程になったのなら残りは俺が引き受けよう。
(わかった。ならばこちらは俺が引き受ける。向こうを頼む)
(言われんでもわかっとる。義娘が待っとる、そろそろ行かせて貰うぞえ)
「リュアッ」
お婆さん竜に一言声を掛けると、水竜は大きな羽を広げて大空へと羽ばたいた。
そんな彼女の真下を、ジラントが重そうな身体を引き摺って走っていた。
竜族で飛べないとか、大変だな……
よし、それじゃあ、俺は残りの敵を相手取るとしましょうか。
見てろよ、巨人族を殲滅させて俺もすぐに南のフォローに向ってやる。
気合いを入れ、俺は敵へと視線を向けた。
すでに粗方片づけているので近くには存在していないが、竜族が消えたことで唯一自分たちの脅威となる俺に向って巨人族が集まり始めている。
その中に一つ目兄貴は存在しない。
竜族が優先的に屠っていたせいで全滅したようだ。
ティタン、ギガス、ディダラボー、一つ目入道、サイクロプス、ガルガンチュア。
これが今の巨人族を構成する種族だ。
ティタンは残り10体程。ギガスは13体、ディダラボーは……20か?
一つ目入道は魔法を弾く障壁を持っているせいか、一番生存率が高い。30体も残っている。
残りのサイクロプスとガルガンチュアはだいたい5体くらいだ。
んー、ティタンは11体かな? ちょっと重なってて分かりづらい。
さぁて、アトミックマン・ヘルトの力をしっかりと見せつけてやるか。
俺は全身に意識を集中させイルミネート光線を生成する。
さぁ来い巨人族。貴様らの相手はこの俺だ!
「リュアァッ!!」
気合いと共に一番近くに居るガルガンチュアに向け走りだす。
岩の塊に見えなくもない巨大な人型は、見た目通りに硬い身体を持つが、動きが驚くほど鈍重である。
俺が走りだしたのは数百メートル程離れているのだが、それでもガルガンチュアが回避行動に入る前に肉薄する。
慌てるガルガンチュアの手前で地面を蹴り空中からのイルミネートキック。
「リュアッ!」
岩で出来た身体を踏み砕き、俺の身体がガルガンチュアを粉砕する。
着地と同時に足を振り上げイルミネートスラッシュ。
蹴り足から飛ばされたイルミネート光線が縦に並んでいたティタン三体を二つに裂いた。
両腕に力を溜め、掌を合わせて自分一人で恋人握り。
頭上に掲げてイルミネートパワーを流しこむ。
技を放とうとしたその瞬間。
『説明しよう! イルミネートレイザーとは、某アニメの必殺技、ダイ○モンドダスト張りに頭上から両腕を打ち下ろすことでイルミネート光線を放射する技である。さらに、この能力をヘルトは自分の身に向けて放つことで新たな攻撃方法を編み出した。彼が全身をイルミネート光線で纏って突撃するイルミネートストライクを得意戦術としているのは、私とちびっこたちのないしょだぞ♪』
だから、なんで俺の必殺をお前が説明出来んだよ!?
イルミネートストライクは地球に来てまだ一度も使ってないんだぞ!?
ええい、折角イルミネートストライク使おうかと思ったけど桃栗の考え通りに動くのは癪に障る。
両腕を打ち下ろす瞬間、掌を返し敵に向けて両掌を思い切り開く。
これが俺の答えだ桃栗。
さぁ、この能力を説明出来るか!?
『説明しよう! イルミネート……えーっと、あーっと……』
言葉に詰まる桃栗。そりゃあ当然だ。
何せ今、この瞬間に適当に思い浮かべたスキルなのだから。
言わば、完全な新必殺技である
(こいつはな。イルミネート……)
『説明しよう! イルミネートビームとは、掌から放出したイルミネート光線で遠くの敵を破砕する光線技なのである!』
まさかの命名に俺は脱力するしかなかった。
ブレないなあいつ。
まさか俺が命名する前に変な名前付けられるとは思わなかった。
ちなみに、放出されたイルミネートビームはガルガンチュア一体を粉砕して消え去った。
人物紹介(仮)
伊藤信之
アトミックマン・ヘルト
桃栗マロン(ももくりまろん)
高次元生命体・異世界制作者・この世界の女神
部隊構成(仮)
魔王軍
第一部隊 機動部隊(魔獣のみの構成)約2万 壊滅
第二部隊 騎馬部隊(魔獣に騎乗した魔族)約2万 壊滅
第三部隊 歩兵部隊(魔族のみの構成)約4万 残り約6千
第六部隊 巨人部隊 79体
第八部隊 南方奇襲部隊 約2万5千 残り約6千
第十一部隊 飛行部隊 約2万5千
第九部隊 西方奇襲部隊 約2万5千 竜巻により壊滅
第十部隊 東方奇襲部隊 約2万5千 残り約千
第四部隊 重歩兵部隊(高ランク魔族のみ)約1万 残り約97体
第五部隊 巨大獣部隊(攻城用・魔獣魔族混合) 約2千4百体
第七部隊 精鋭兵・魔王 約百名
フルテガント王国軍
第一部隊(王国軍冒険者人猫族混合) 約5千名
第二部隊(勇者王国近衛兵暗部精鋭兵等)約9百名
魔法部隊(王国軍冒険者エルフ族混合) 約7百名
負傷者 約2千名
死者 約4千名
完全死 685名
医療部隊(王国軍冒険者妖精族混合) 約5百名
南方防衛部隊(魔法・医療部隊混合) 約5百名
遊撃部隊25名
竜部隊(赤龍王と黒竜は含まず)13名
伏兵部隊・西 970名
伏兵部隊・東 310名 + 4名
行方不明 1名
魔王軍戦経過報告(仮)
・大井手真希巴、ヌェルティス、増渕菜七による広範囲魔法での先制攻撃。
・三人の退却後、魔王軍機動部隊(獣部隊)を罠に嵌める。
・魔法部隊による追い打ち。
・機動部隊壊滅。
・龍華出陣。敵軍中央(重歩兵部隊)にて無双開始。
・機動部隊の後詰、騎馬部隊と第一部隊が激突。
・騎馬とさらに後詰の歩兵部隊が合流。
・綾嶺の自業自得な危機で超幸運効果発動により大井手が助っ人に入る。
・重圧魔法が無くなり騎馬部隊が本格的な行動を開始。
・大井手が持ち場に戻り魔法再開。
・騎馬部隊と歩兵部隊の一部が左右の森へと侵入。遊撃部隊が迎撃。
・巨人部隊最前線に出現。
・巨人部隊一つ目兄貴たちによる一斉射。
・増渕により一斉射の防衛成功。体力が尽き増渕死亡(仮死)。
・巨人族対巨大宇宙人&竜族
・南方防衛戦
・西東より新たな奇襲部隊出現
・伏兵出現
・西方防衛戦
・東方防衛戦
・作戦名【トラ・トラ・トラ】発動
・竜族撤退。宇宙人孤軍奮闘
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