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勇者 VS 東奇襲部隊司令官

「オラァッ!」


 あたしの一閃を真上に飛んで避け、ハルマスが空中に羽ばたいた。

 やはり一筋縄にはいかないらしい。

 クソッ、本来ならこんな奴と戦う必要のない女学生だぞあたしは。何でこんな状況になってんだよ。


 人外と命のやりとりとか、ふざけんな。

 イラつきながらもライトニングの魔法を唱えてハルマスに雷撃を浴びせる。

 しかし、まただ。

 また片手を開いてあたしの魔法を消し飛ばしやがった。


 あの掌がやっかいだ。

 なんらかの防壁だとは思うが、敵に使われると正直ウゼェ。

 ああいうのは味方が使うべきだろ。


 攻撃が届かないんじゃ千日手だ。

 このままじゃこいつの足止めだけでこの戦争が終わりかねない。

 でも、あたしの能力じゃもう、これ以上ダメージを与える方法は無い。

 せめてあの掌を封じるか、奴の隙ができるかしてくれないと、一撃すら叩き込めそうになかった。


 離れた敵を攻撃する方法は、ライトニングとビ・ハ、クラッシュザンバーと後は……ビ・ハの強力版であるビ・ハナフェナスくらいだ。

 サンダーブレードを付加して剣を振うのもアリだが、結局どれもあの掌によりハルマスまで届かない。


「クラッシュザンバーッ!」


 あたしはダメ元で空中に飛翔したハルマス向けて斬撃を飛ばした。

 でも、やはり片手をこちらに向けて掌で斬撃を受け止める。

 斬撃は掌に触れる一歩手前までは行くのだが、そこで霧散させられる。


 クソッ、勇者だっつってもこれじゃ意味ねェよ! なんで勝てない敵が居ンだよ!

 毒づくあたしに、ハルマスはニヤリと笑みを浮かべる。

 どうやらあちらもあたしに攻撃手段がないことに気付いたらしい。


「そうですか。勢い良く出て来ていただいたのは良かったですが、相性が悪かったようですね。それでは……私の糧となっていただきましょうか、勇者!」


 滞空していたハルマスが羽を羽ばたかせこちらへと急降下を始めた。

 マジヤベェッ。あたしに防御魔法はねーぞッ!

 とにかく剣を構えていつでも逃げられるように両足に力を溜めておく。

 だが、思わぬ方向から助けが入った。


「スナイプアロー!」


 狙い澄ましたように一条の矢が急降下を始めたばかりのハルマスへと放たれる。

 予想外だったらしく、ハルマスは慌てて急停止するも、矢はまるでそんなハルマスを読んでいたかのように真っ直ぐにハルマスへと突き進む。

 しかし、やはり掌によって進撃を止められてしまう。


「スピードアシストオールッ!」


 すぐにあたしに補助魔法が掛かる。


「むぅっ。邪魔者が来ましたか」


「勇者様、援護します!」


 魔物の群れを掻き分け現れたのは、ダークエルフのトルーア。

 どうやら敵をただただ倒すより、司令塔を破壊した方が速くカタが付くと、こちらのフォローに来てくれたようだ。

 クソ、勇者だってのに味方に助けられるとか、普通逆じゃね?

 まぁ、正直助かったけど。


「悪りぃ、頼む」


 短く応えてあたしは回避のために溜めていた脚力をハルマスを倒すために解放する。


「乱れ雪月花」


 ハルマスと同じ高さまで大ジャンプ。

 レベルアップに次ぐレベルアップで強化された脚力は、すでに人間が到達できる限界を優に超えている。あたしもついに人外の仲間入りか。

 そしてハルマスの真横に跳び上がったあたしはその場でスキルを発動。


 対応しようとしたハルマスに無数の矢が襲い掛かる。

 さすがにこれには肝を冷やしたハルマス。

 慌てて回避するため上昇した。

 そこへ……


「な、なんだこれはぁぁぁ――――ッ!?」


 頭上から襲いかかる巨大な岩に、ハルマスは自分の失態に気付く。

 しかし、時既に遅く、ハルマスはどこからともなく現れた巨岩と激突。

 その衝撃はあまりに重く。骨が折れる音が盛大に、いや、何かが潰れる音が轟いた。


 岩はハルマスを巻き込んだまま放物線を描いて地面へと落下する。

 地面への接触時、間に挟んでいたハルマスをダメ押しとばかりに押し潰した。

 そしてあたしは気付く。

 空を覆うように降り注ぎ始めた無数の巨岩、それは全て、フルテガント王国東門から放たれたものだった。


 投石機。

 まず使う事はないと思いながらも日本が桃栗に作らせた岩を遠くへと飛ばす器械である。

 来るはずの無い門からの攻撃に奇襲されるということで、作戦名は確か、トラ・トラ・トラとか日本が言っていた気がする。

 ……って、ここにいたらあたしらまで巻き込まれる!


「クラッシュザンバーッ!」


 あたし一人ならムーブで逃げてる所だが、トルーアが近くに居るし、他にも何人か敵と戦っている。

 さすがに彼女たちを見殺しにはできない。

 あたしとトルーアに直撃コースだった岩を一先ずクラッシュザンバーの斬撃で破砕する。


「勇者様、これは一体……」


「日本の奥の手だ。これを使う事になるとは思わなかったけどな」


 とにかく、目に付いた仲間の危機だけは助け、投石が収まるまでは魔王軍を減らしながら投石に注意して動くあたしだった。

 投石が終わると、ようやくあたしは倒した魔族を探す。

 既に命は無いと思っていたのだが、未だにしぶとく生き残りやがった。

 と、言っても虫の息であり、血反吐吐きながらあたしに視線を向けてくる。


 ハルマスの下半身は完全に岩に押し潰されており、胴から下は全く見えない。

 動ける状態ではない事を確認し、あたしはハルマスに歩み寄った。


「よぉ。一応、あたしの勝ちってことでいいよな」


「ふふ、まさかこんな奥の手を隠していたとは……グッ……」


 どうやら、放っておいても死にそうだ。

 あたしは答えをくれそうな質問だけをすることにした。

 そこで知る彼が第四の指令官という意味。北の指令官が魔王というのなら、東、西、南で三人の指令官が存在し、一人余る。その第一指令官こそが……飛行部隊の司令官だと知らされた。


 南から巨人に隠れるように奇襲して来るらしい。

 マズいと慌てて日本に伝えようと振り向いた南の空、既に飛行部隊が空を黒く染めていた。

 最悪な状況は、まだ続くらしい。

人物紹介(仮)


 手塚至宝

   勇者

 トルーア・トルクスタ・トゥルフーカス

   カトナの森のダークエルフ


 部隊構成(仮)


  魔王軍

   第一部隊 機動部隊(魔獣のみの構成)約2万 壊滅

   第二部隊 騎馬部隊(魔獣に騎乗した魔族)約2万 壊滅

   第三部隊 歩兵部隊(魔族のみの構成)約4万 残り約6千

   第六部隊 巨人部隊 約84体

   第八部隊 南方奇襲部隊 約2万5千 残り約6千

   第九部隊 西方奇襲部隊 約2万5千 竜巻により壊滅

   第十部隊 東方奇襲部隊 約2万5千 残り約千

   第四部隊 重歩兵部隊(高ランク魔族のみ)約1万 残り約98体

   第五部隊 巨大獣部隊(攻城用・魔獣魔族混合) 約2千6百体

   第七部隊 精鋭兵・魔王 約百名


  フルテガント王国軍


   第一部隊(王国軍冒険者人猫族混合) 約5千名

   第二部隊(勇者王国近衛兵暗部精鋭兵等)約9百名

   魔法部隊(王国軍冒険者エルフ族混合) 約7百名

   負傷者               約2千名

   死者                約4千名

   完全死               685名

   医療部隊(王国軍冒険者妖精族混合) 約5百名

   南方防衛部隊(魔法・医療部隊混合) 約5百名

   遊撃部隊テイムモンスター25名

   竜部隊(赤龍王と黒竜は含まず)13名

   伏兵部隊・西            970名

   伏兵部隊・東            310名 + 4名

   行方不明                1名


 魔王軍戦経過報告(仮)


 ・大井手真希巴、ヌェルティス、増渕菜七による広範囲魔法での先制攻撃。


 ・三人の退却後、魔王軍機動部隊(獣部隊)を罠に嵌める。


 ・魔法部隊による追い打ち。


 ・機動部隊壊滅。


 ・龍華出陣。敵軍中央(重歩兵部隊)にて無双開始。


 ・機動部隊の後詰、騎馬部隊と第一部隊が激突。


 ・騎馬とさらに後詰の歩兵部隊が合流。


 ・綾嶺の自業自得な危機で超幸運効果発動により大井手が助っ人に入る。


 ・重圧魔法が無くなり騎馬部隊が本格的な行動を開始。


 ・大井手が持ち場に戻り魔法再開。


 ・騎馬部隊と歩兵部隊の一部が左右の森へと侵入。遊撃部隊が迎撃。


 ・巨人部隊最前線に出現。


 ・巨人部隊一つ目兄貴たちによる一斉射。


 ・増渕により一斉射の防衛成功。体力が尽き増渕死亡(仮死)。


 ・巨人族対巨大宇宙人&竜族


 ・南方防衛戦


 ・西東より新たな奇襲部隊出現


 ・伏兵出現


 ・西方防衛戦


 ・東方防衛戦


   ↑いまココ

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