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遊撃部隊 VS 迂回部隊3

「全員、散開して個別に潰してやれぃ!」


 ブラッディサンタが指令を行うと、シャドーマン達が殺到してきた。

 薄暗い森の中とはいえ、今は昼間。

 真っ黒いシャドーマンの動きは普通に見える。

 夜間にこいつらに襲撃されたらと思うとちょっと冷や汗ものだ。

 まぁ、俺も暗殺に秀でた改造人間だし、似たような相手に遅れを取る気はないが。


 すぐに俺たちは対応するように動き、互いにサポートできる位置に陣取る。

 シャドーマンが一番最初に攻撃を仕掛けたのは、にっちゃうぐれいと。

 何を考えているのか全く考えなしなのか、シャドーマンが爪を振って攻撃を仕掛ける。

 しかし、それを凌ぐ勢いでにっちゃうぐれいとの体当たりが発動した。


 シャドーマンを突き抜け、さらに背後のシャドーマンに風穴を開ける。

 やったか。と思ったのだが、シャドーマンたちは何事も無かったかのように元の形状へと戻ると攻撃を再開してきた。


「これは……物理攻撃無効魔族か!」


 そういえば、ステータス確認してたんだよな。余りに多かったから数匹飛ばし読みしていた。

 シャドーマンも確か飛ばし読んだ奴だった。

 失敗したな。ちゃんと読んどけばよかった。


「イチゴ、魔法で頼む!」


「は、はいっ」


 にっちゃうぐれいとの攻撃が効かなかったことで驚いていたイチゴだったが、慌てたように魔法を唱え始める。


「レイ・ルライア!」


 広範囲系電撃魔法。ちなみに、広範囲魔法といえども指定範囲内にいる味方を避けて攻撃することは不可能に近い。

 なので……


「ブモォォォォォォ!?」


 カマプアアが避け損ねて悲鳴を上げていた。

 シャドーマンの30%が一気に沈黙するが、依然70%は健在である。

 まぁ、これなら大丈夫そうか。

 なら、俺は……


 目の前にサンタがいた。

 子供に夢を与える赤いお爺さんだ。

 残念ながら顔がゴブリンなので有難味はないし、全身血塗れになっているから間違ってもプレゼントなどくれそうになかった。


 皆がシャドーマンたちを押さえている間に、俺はこいつをやらせてもらうとしよう。

 地味に人語を話せるくらいだし、知能は高そうだ。

 何か無駄に強そうだけど、ここに居る中でこいつに勝てそうな奴が見当たらないんだよな。


 ちょっとヌェルの方に頼りになりそうな奴固め過ぎただろうか?

 ああいや、にっちゃうぐれいとがいるか。

 でも、こいつ防御力少ないらしいからな。万一を考えたらやっぱり俺が相手した方がいいだろう。


「人間に味方する裏切り者め。ワシが切り刻んでくれようか!」


「いや、裏切り者って……俺魔物じゃないぞ」


 どうやら俺の容姿、フィエステリアが醜悪過ぎて魔物と間違えられたらしい。

 最悪だ。

 他のヤツに言われるならいいけど、こんな醜悪な魔族に言われたくない。いくら俺でも腹が立つ。


「成敗してやるぞ、若いの!」


 冗談じゃない。と、俺は静かに構えを取る。

 ブラッディサンタは手にした鉈を構え、右足を少しづつ、滑らせるように前に出す。

 やがて一歩分前に突きだすと、今度は左足を一歩分移動。

 少しづつ距離を詰めながら自らの間合いへと近づいていく。


 一定の距離が狭まった瞬間だった。

 ブラッディサンタが地を蹴り一気に距離を詰めてくる。

 ノーモーションから突きだされた大鉈が俺へと迫ってくる。


 即座に手の甲で弾き飛ばす。

 改造人間舐めんな! そのくらいの動きは止まって見えるっつの。

 が、斬撃が予想以上に重かった。

 払おうとした手の甲で俺への攻撃にこそならなかったが、薄皮一枚の場所を大鉈が振られていく。

 後少し、力が足りなかったら俺のほうが力負けしていた。


 さすがに肝が冷えたので即座に飛び退き距離を取る。

 ふぅ。焦った。

 でも、相手の方が力が強いってことは理解した。

 さすがは魔王軍。そろそろ俺よりもステータスが強い奴が出てきだしたってとこか。

 なら、それなりの戦いをすればいい。


 ブラッディサンタが大鉈を一閃。

 踏み込みと同時に俺の胴へと迫ってくるが、俺は大地を蹴って空へと跳躍。

 改造人間の強化された足ならば、相手の頭上を飛び越えるくらい訳はない。


「フィエステリアキックっ!」


 ついでにブラッディサンタの顔面に蹴りを叩き込むが、ブラッディサンタはさらに前へと身体を押し出し、前転して蹴りを躱した。

 こいつ、本当に一筋縄に行かないな。まるで龍華師匠が相手していたあの巨大オーク並みの知能、いや、それ以上だ。


「ヘアッ!」


 前転から起き上がったブラッディサンタが大鉈を水平に振るう。

 丁度俺の足が地面へと着地する寸前、足を薙ぎ切るように振られてしまった。


「なんのっ」


 空中で身体を捻ってその場で錐揉み回転。着地しかけた足を浮かせ、上半身を支点に前宙。人間状態ならまず出来ない曲芸だ。

 大鉈が振り終えた場所になんとか着地する。

 お返しとばかりに回転を利用した蹴りを放つ。


 さすがに避けきれなかったブラッディサンタは左腕を縦に構えて防いで見せた。

 良い反応だ。思わず舌打ちしてしまった。

 毒を打ち込んでやりたいが、さすがに拳を打ち込む隙が見当たらない。


「ハァッ!」


 体勢を整えたブラッディサンタが大鉈を突きだす。

 突きだされた刃が俺の脇腹を襲うが、咄嗟に身を捻って避ける。

 しかし、ブラッディサンタはそれを狙っていた。


 刃先を横に向けると、突きだした大鉈を横に薙ぐ。

 俺の胴へと振られた大鉈は完全に決まっていた。

 避ける事が出来ないタイミング。

 これでワシの勝ちだ! そう思ってほくそ笑むブラッディサンタ。

 その油断が、命取りだった。


 突如、俺の姿がブラッディサンタの視界から消え失せる。

 突然のことに驚くブラッディサンタ。

 その足元に転がる巨大マリモ。


 俺はブラッディサンタに見つかるまえに、即座に変化を解き、人型状態へ。

 突然目の前に現れた俺に驚くブラッディサンタ。

 そんな彼の頭を思い切り掴み取り、特性の毒を打ち込んだ。


「ご、あああああああああアアアアアァァァ!?」


 打ち込まれた瞬間ビクンと身体が跳ねた。

 毒を注入し終えると、俺は即座に飛び退き相手の出方を見る。

 確認はしてなかったが、状態異常無効化は付いていなかったはずだ。


 血管が浮き出てきたブラッディサンタは一瞬で全身を紫に変化させ、悲鳴を上げながら大鉈を振りまわし始める。

 突然暴れ出したブラッディサンタにシャドーマンたちに動揺が広がる。

 どうやらブラッディサンタは将軍的役割の魔物だったらしい。

 つまり、司令塔をやられたシャドーマンたちはどうすればいいか恐慌状態に陥ったようだ。


「全員、総攻撃! シャドーマンを殲滅してくれ!」


 俺の言葉にイチゴが真っ先に魔法を唱える。

 遅れてハーピーやおにぎり男爵が魔法を唱える。

 おにぎり男爵。あんなムカつく口調をしてるのに、光属性とかありえない。

 そして……


「レイ・ルライア!」


「ぶひひひひ――――ん♪」


 なぜかユニコペガサスがやって来てイチゴの魔法に突っ込んで行った。

 ……ん、よし、殲滅完了だな。ユニコペガサス含めて。

 後は、ヌェルの方か……ポカしてないよなあいつ。

人物紹介(仮)


 武藤薬藻

   改造人間・フィエステリア・ピシシーダ

 イチゴショートケーキ・フロンティア

   イシナキ村の大魔術師

 アグニ・アルカン・アトランテ

   赤竜王 

 アルケニー

   四肢が鎌で出来ている女性型魔族。

   薬藻たっての願いにより町人の服を着用済み。

 おにぎり男爵

   ウザいちょび髭貴族風のおにぎり型魔族。

   回復魔法が得意。光属性魔法も得意。

 ハーピー三姉妹

   言わずと知れた鳥人間型魔族。服を嫌がるので常に裸。

   上から、アエロー、ケライノ、オキュペテという名前らしい。

 イッシャ

   エロいだけの小人。片足で飛び跳ねて移動する。

 カマプアア

   豚面族の皇族。実は結構イケメンでモテモテ。

   でも性格はゲスい。

 ウィシュプーシュ

   ビーバーを巨大化した魔獣。実はかなりの実力者で暴れん坊。

 にっちゃうぐれいと

   黒い毛のにっちゃう。ウサ耳生やした雪だるまみたいな容姿。

   その突進は竜すら弾き飛ばす程。

 羽犬

   翼の生えた犬。


 部隊構成(仮)


  魔王軍

   第一部隊 機動部隊(魔獣のみの構成)約2万 壊滅

   第二部隊 騎馬部隊(魔獣に騎乗した魔族)約2万 残り数十体

   第三部隊 歩兵部隊(魔族のみの構成)約4万

   第四部隊 重歩兵部隊(高ランク魔族のみ)約1万 残り約数百体

   第五部隊 巨大獣部隊(攻城用・魔獣魔族混合) 約4千数百体

   第六部隊 巨人部隊 約8千

   第七部隊 精鋭兵・魔王 約百名


  フルテガント王国軍


   第一部隊(王国軍冒険者人猫族混合) 約九千名

   第二部隊(勇者王国近衛兵暗部精鋭兵等)約千名

   魔法部隊(王国軍冒険者エルフ族混合) 約千名

   負傷者・死者            約千名

   医療部隊(王国軍冒険者妖精族混合) 約八百名

   遊撃部隊テイムモンスター25名

   竜部隊(赤龍王と黒竜は含まず)13名


 魔王軍戦経過報告(仮)


 ・大井手真希巴、ヌェルティス、増渕菜七による広範囲魔法での先制攻撃。


 ・三人の退却後、魔王軍機動部隊(獣部隊)を罠に填める。


 ・魔法部隊による追い打ち。


 ・機動部隊壊滅。


 ・龍華出陣。敵軍中央(重歩兵部隊)にて無双開始。


 ・機動部隊の後詰、騎馬部隊と第一部隊が激突。


 ・騎馬とさらに後詰の歩兵部隊が合流。


 ・綾嶺の自業自得な危機で超幸運効果発動により大井手が助っ人に入る。


 ・重圧魔法が無くなり騎馬部隊が本格的な行動を開始。


 ・大井手が持ち場に戻り魔法再開。


 ・騎馬部隊と歩兵部隊の一部が左右の森へと侵入。遊撃部隊が迎撃。


   ↑いまココ

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