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獣人の驚き後編

 気が付いたらイクラじゃなくてタラと書いていた件。

 間違えに気付いたので直しときました。<m(__)m>

 二十体ほど屠っただろうか? 一息入れようと顔を上げ、周囲を見回した我は、目を疑う情景を見せつけられた。

 あのアルテマという女である。


 アルテマは魔法の範囲外に居たため重圧を受けなかった騎馬兵と戦っていた。

 いや、それは戦いと呼べるものではなかった。

 双方が拳や武器を交えているのならば戦いと呼べる。しかし、その女は華奢な身体を我らより身軽に動かし、敵に攻撃すらさせる事無く見事蹂躙していたのだ。


 「ほあたっ」「あたぁっ」「ほぉーあたたたたっ」などと良くわからない掛け声を発しているが、近づいてくる魔獣と魔族に一撃づつ的確に拳を打ち込んでいく。

 いや、拳ではなく人差し指と言った方がいいだろうか?


 それでも攻撃力が高いせいだろう。魔獣。魔族双方が一撃で死亡していく。

 一撃死である。

 我でも拳を全力で打ち込むことで潰しているのに、たかだか指先一つ触れただけで殺害など、一体どれほどの攻撃力を有するというのだろうか?


 我は背筋に冷たい汗が流れた気がした。

 アレは、化け物だ。我の本能がそう告げていた。

 そんな女に背後からガドボァに乗ったリザード種の魔族が槍を突き出してくる。


「後ろだアルテ……」


 思わず声を張り上げようとした我だったが、それは必要無かった。


「断末魔作成拳!」


 何かスキルのようなモノを使ったようで、リザード種の槍を見ずに躱してその槍の柄を掴むと突進の勢いを助成するように前へと押し出す。

 リザード種が体勢を崩しガドボァから前のめりになった。

 渦巻くように身体を捻ったアルテマが拳を胸骨に叩き込む。

 すると仰け反る様にリザード種の身体がピンと張った。


「壱式・ビン三連!」


 アルテマは拳を戻すと同時に左手でリザード種の顔を叩く。

 すでに最初の一撃で死亡しているのだがダメ押しの攻撃が叩き込まれる。


「あらびんっ」


 するとどうだろう。リザード種の口から声が漏れた。

 男らしい声で意味不明の悲鳴を口走る。

 アルテマがさらに膝を腹に叩き込む。


「どびんっ」


 さらに喉元への地獄突き。同時にリザード種の腹から引き抜いた足をガドボァの頭上から叩き落とす。


「はげちゃびんっ」


 ガドボァは普通にギャッと短い悲鳴と共に力尽きたが、リザード種は意味不明の言葉を吐きながら死亡していた。

 彼らを葬ったアルテマは、ふぅと一息吐くとこちらに視線を向けた。


「すまない、助かったぞ」


 我の声に気付いたとでも言いたいのか?

 謙遜するな。アレはどうみても自分で気付いていたではないか。

 そう言ってやりたかったが、口から出たのは別の疑問だった。


「今のは、技なのか?」


「ん? ああ、断末魔作成拳か? これは月下暗殺拳の秘技の一つだ。ある秘孔を突くことにより相手に任意の断末魔を上げさせることが出来る。助けを呼ばせないようにするためのモノだが、父がおかしな技に変えてしまってな」


 つまり、その秘孔を突くことで相手は次の攻撃方法と攻撃箇所により悲鳴が変えられてしまうということか。

 ぎゃあ。と声を出したくても、全然効かぬわ。とか言わされるということか。なかなか恐ろしい技だな。と、少し恐ろしいと思っただけだったのだが、この技は我の予測を遥かに超えて凶悪な技だった。


「折角だ。父の作り出したレパートリーを見せてやろう」


 アルテマはそう言うと、今度はドリルボアに乗った豚面族の魔族に立ち向かう。


「断末魔作成拳! 弐式・イクラ三連」


 ドリルボアは邪魔だったようで、人差し指で一突きして即殺し、振り落とされた豚面族の胸骨に拳を叩き込む。さらにその出っ張った腹に深く突き刺さるボディブロー。


「ハーイッ」


 身体を浮き上がらせた豚面族が中性的な声で元気に返事した。

 アルテマは拳を引き抜くと同時に左の米神向けて左フック。


「チャーンッ」


 さらに巻き込むように相手の懐に入り込み、自らの背中を晒す。

 豚面族は浮き上がりから着地に入ろうとした身体を、次の一撃で真上へと跳ねあげられていた。

 至近距離からのアッパーカット。

 アルテマの背後で豚面族が上昇していく。その口からは当然ダメージによる悲鳴。

 本来ならブヒィかプギィと洩れていたはずだ。しかし、


「バーブーッ」


 なんだそれは!? どこをどうしたらそんな言葉が断末魔としてでてくるのだ?

 我はその断末魔を聞いて心底恐ろしいと思った。

 もし、もしもアレを受けたのが自分だったら?


 自分が拳を打ち込まれ、死ぬとは思えないが、ダメージを貰う事はあるだろう。

 その度に、あの声を出すのだ。出さされるのだ。

 我がどれほど言いたく無くとも、口からあんな言葉が飛び出てしまう。

 恥どころではない。


「断末魔作成拳! 参式・キク四連」


 我が恐れている間に、アルテマは新たな犠牲者へと拳を振う。

 連撃を振われた魔族は……


「うふんっ。いやんっ。バカんっ。そこはダメよっ」


 雄……だよな? なんだあの気色の悪い声は!?


「断末魔作成拳! 肆式・チャ三連」


「うぇっきしっ、加○ちゃんペっ、アンタも好きねェ」


 嫌だ。あんな台詞吐いて死ぬなんて嫌過ぎる。


「断末魔作成拳! 伍式・秘孔三連」


 頼む、もう、もう止めてくれ。十分だろう?


「ひでぶっ。あべしっ。もうダメぽ」


「あ、間違えた。おかしいな少しずれていたか?」


 せめて、せめてあいつらに戦士の尊厳を、尊厳を残してやってくれっ。

 確かに奴らは敵だ。倒すべき敵だ。

 だが、だがそれはあんまりだろう?

 あんまりすぎるだろう!?

 最後だけは、命尽きる最後の瞬間だけは、自らの言葉で逝かせてやってくれっ!


「次は戮式……」


「もう、もういいっ。頼む、もう十分だ!」


「む? しかしまだ半分も見せてないのだが?」


「我が悪かった。謝る。この通りだ。だから、だからもう、その技だけは封印してくれ。せめてこの魔王軍との戦いの時だけは。頼むっ!」


 我はおそらく、一生に一度の必死な願いを言っていた。

 後にも先にも、これ程止めてほしいと思った事は無いだろう。


「……そ、そうか? まぁ、そういうのなら仕方ないな。断末魔作成拳を使うのは止めておくことにするわ」


「ああ、それがいい。ぜひそうしてやってくれ」


 願いが聞き入れられたことに、我は心底安堵した。

 なぜだろうか。魔族との戦いよりもどっと疲れたのは?

 きっと、あなたもできるよビン三連。

 ちなみに戮式はシズ三連。

 「キャー、イヤー、のび○さんのエッチィ――――っ」

 すいません調子に乗りました。OTL


人物紹介(仮)


 下田しもだ 完全あるてま

    超越者・暗殺拳継承者

 オーパス・オルトラ・オーレイル

    人猫族総大将


 部隊構成(仮)


  魔王軍

   第一部隊 機動部隊(魔獣のみの構成)約2万 壊滅

   第二部隊 騎馬部隊(魔獣に騎乗した魔族)約2万 残り1万2千

   第三部隊 歩兵部隊(魔族のみの構成)約4万

   第四部隊 重歩兵部隊(高ランク魔族のみ)約1万 残り約7千体

   第五部隊 巨大獣部隊(攻城用・魔獣魔族混合) 約5千

   第六部隊 巨人部隊 約8千

   第七部隊 精鋭兵・魔王 約百名


  フルテガント王国軍


   第一部隊(王国軍冒険者人猫族混合) 約1万名

   第二部隊(勇者王国近衛兵暗部精鋭兵等)約千名

   魔法部隊(王国軍冒険者エルフ族混合) 約千名

   医療部隊(王国軍冒険者妖精族混合) 約八百名

   遊撃部隊テイムモンスター25名

   竜部隊(赤龍王と黒竜は含まず)13名


 魔王軍戦経過報告(仮)


 ・大井手真希巴、ヌェルティス、増渕菜七による広範囲魔法での先制攻撃。


 ・三人の退却後、魔王軍機動部隊(獣部隊)を罠に填める。


 ・魔法部隊による追い打ち。


 ・機動部隊壊滅。


 ・龍華出陣。敵軍中央(重歩兵部隊)にて無双開始。


 ・機動部隊の後詰、騎馬部隊と第一部隊が激突。


   ↑いまココ


 ・騎馬とさらに後詰の歩兵部隊が合流。

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