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薬藻のテイム旅行2

『初手は貴様にくれてやろう。どこからでも来るといい』


 レッドドラゴンが余裕の表情で語りかけてくる。

 平地に腰を降ろしたレッドドラゴンは、月明かりに照らされて全身の鱗を鈍く輝かせている。

 後ろ足だけでなく前足も地面に付け、四足歩行を始めたレッドドラゴンは、黄金に輝く縦じまの瞳をぎょろりと動かし、俺の動きをつぶさに観察し始める。


 さて、最初の一撃は俺にくれるらしいが、一撃入れた後は蹂躙劇が始まりかねない。

 どう攻撃を喰らわないようにするか作戦を手早く考えないとな。

 それにはまず、ステータス確認だ。


 NAME:アグニ・アルカン・アトランテ【♂】

 RACE:竜族 【24000】

 CLASS:赤竜王 【Lv62】

 HP 88200/88200

 MP 12000/12000

 TP 45600/45600

 AT  4200

 DF  9000

 MA  3300

 MD  14000

 SPD 2200

 LC  670

 特技:

     突進:30

     音速突破:200

     斬硬爪:500

     咆哮:0

     四連鞭:310

     ドラゴンブレス:5000

     メギドフレア:10000

 魔法:

     ファイアブレス:800

     ラ・ギライア:320

     バム・ドライア:530

     極炎焦土:400

 PASSIVE:

     状態異常無効

     念話

     異種族言語変換

     異種族言語理解

     飛翔

     竜王

     水弱点

     火炎無効

     気配過敏

     直感

     勇者殺し

     火精霊の加護

 情報:エレテオーデ山を寝城にしている若き竜王

    赤竜の試練を修了し赤竜王となる

    アプリコット村を滅ぼす

    フルテガントでネームドモンスターとして討伐対象に指定される

    手配書は80000000ナグー


 あれ? こいつ、とつめみたいなステータス表示じゃなくて人と同じ表示方法だ。

 どうやら竜族というのは魔物ではなく魔族の一種に指定されるようだ。

 それにしても……初っ端から物凄いステータス来たな。

 増渕や龍華じゃなければまともに相手出来ないんじゃないかこれ?


 当然ながら、俺が討ち勝つ術などほぼ皆無である。

 この体力差、毒を打ち込んでも負けるかも知れん。

 まぁ、仲間になって貰う前提なので毒は使わないけど……こいつに10分持ちこたえるのか。確実に無理だな。


『どうした? 怖気づいたか?』


「じょ、冗談だろ。やってやるよっ!」


 とにかく、隠密とインビジブでやり過ごそう。

 あの巨体だ、一度見失えば俺を見つける事は出来ないはず。

 まずは人間形態のままで様子見の一撃を叩き込もう。

 それで皮膚が切れれば儲けもの。無理なら逃げに徹する。


 よし攻撃を、と思ったところではたと気付く。

 俺、武器持ってないよ?

 剣も槍も伝説っぽい銃も持ってない。

 いや、一応オークから手に入れた大鉈はあるけどさ、あんなもん役に立つ訳がない。

 けど、徒手空拳でドラゴンを相手にするのは無謀だ。


 ええい、仕方ない。

 俺はアイテムから大鉈を選んで取りだす。

 右手で持ってレッドドラゴンに駆け寄ると、両手で柄を握り、思い切り振り上げる。


「おああああああああっ」


 ギィンとなんとも耳障りな音が響いた。

 振り下ろした大鉈から、全く斬れない鉄塊に思い切り打ち込んだ感触が返ってきた。腕に痺れが走る。


「か、堅ったぁ!?」


『くはは。その程度か猿め。非力すぎるぞ』


「う、うるせぇ。あんたの鱗が硬すぎるんだよッ」


『全く、猿ではなく蠅だったか。そら、素早く逃げねば踏みつぶすぞ』


 俺が攻撃したことでレッドドラゴンからの攻撃も解禁されてしまった。

 大きく前足を振り上げ、俺の頭上から振り落とす。

 慌てて飛び退く目の前に、真っ赤な前足が振り下ろされた。


 ズンッと地面が陥没する。

 あの中に居れば確実に圧殺されていた。

 背筋を冷たい何かが這うのに気付きながらも、レッドドラゴンから距離を取る。

 やはり、人間形態では無謀だ。やるしかない。


 俺が離れたのに気付いたレッドドラゴンは、俺に顔を向けると、大きく息を吸い込んだ。

 まさか……ブレス攻撃か!?

 思った一瞬後、レッドドラゴンの口から吐き出される真っ赤な吐息。

 燃えるブレスは暗闇でなお明るく輝き、辺り一面を焼き払う。


「flexiоn!」


 炎がやってくる直前、俺はなんとか変身を行い、すぐにスピードブーストで回避に移る。

 まさに紙一重。

 圧倒的な熱量に背中を焼かれそうになるが、ぎりぎり回避が間に合ったようだ。

 思わぬ威力に肝が冷える。


『ほぉ。ファイアブレスを避けたか。しかも、面白い容姿になったモノだな』


 ブレスを避けきった俺、フィエステリアを見たレッドドラゴンの顔が愉悦に歪む。

 その背に生えた翼が蠢き、レッドドラゴンを空へと舞い上げた。


『ならばこちらも存分に楽しませてもらうぞ、人外の猿よ!』


 俺が変身した事で、レッドドラゴンがちょっと本気を出し始めた。

 俺、本気で死ぬかも知れん。

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