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俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三十四話 そして最後に怪人が来る
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後日談異世界編5

「ぶるひひひーん」


 ユニコペガサスは二児の父になっていた。

 この世界で出会ったどこぞの帝国に居た雌ペガサスに押し切られる形で襲われたらしい。

 寄り添われる雌馬を嫌がりながらも最後には仕方ねェな。と溜息混じりに頬ずりされる姿がよく見られる。


 イチゴはそんな彼の姿を見て、ようやく付き纏われなくなったことに安堵していた。

 そんな彼女も今は出産間近となり、城の一室で揺れる座椅子に座っていた。

 読んでいる書物は地球産の漫画だ。


 風が入り込むテラスに視線を向ければ、丁度ユニコペガサスたちのうまやが見える。

 イチゴの姿を見せとかないとユニコペガサスが暴れるからだったのだが、ある時を境に奴はイチゴに興味を示さなくなり、未だに清き乙女な葛之葉か、クリムゾン・コアトル、紅葉にのみ反応するようになっていた。


 少しだけ寂しさもありながらも、処女厨の駄馬が、と思わずにはいられなかった。

 けれど、あんな馬のことはもはやどうでもいいのだ。

 優しい顔で自分のお腹を優しく撫でる。


「ふふ。ライバルは多いけど、私は幸せです。貴女が生まれて来るのを楽しみにしてますよ」


 イチゴは再び書物に視線を向ける。

 揺れ動く椅子は揺り籠のようにキィキィと音が鳴る。

 静寂の中、優しく響く規則正しい音。

 彼女の周囲は、今日も平和だった。


 ----------------------------------


 手塚至宝は忙しい。

 武藤薬藻を求める女の中でも、彼女だけは忙しなく異世界に飛んでいた。

 イチゴが妊娠してからは特に、自分だけの使命だとでもいうように異世界を探索しては別の異世界へと旅立ち、離ればなれとなったクラスメイトたちを一人現地で捜索していたのだ。


「だめだ。この辺りに反応はねぇな。本当にこの世界か?」


『んー近づいてるとは思うんだけどにゃぁ。一度戻ってバシンにランダムで飛ばして貰う? その辺りの世界だと思うんだけど、ちょっち大量に作られててさ、その辺似たような世界多いのよ。私の作った世界に似たシステム結構使われてるんだねぇ。あ、裁判長、この辺の担当者にフォローよろ』


 桃栗と念話をしながら周囲を探る。

 確かに、にっちゃうが所狭しと飛び跳ねている世界はここ最近格段に増えた。

 どうも桃栗が作るような世界はこの辺りの上位存在達にとって初期世界創りの参考みたいに扱われてるらしい。


 寄生虫とかいろいろとややこしいのを作るより、簡単にできるしレベル制にすることで世界を回しやすくしているそうだ。

 生物たちは勝手に増えて勝手に闘いだすので、慣れてくれば色々な生物を作るのも良いし、隕石落下などのイベントを起こすのもいい。

 そういうふうに世界創作に慣れ始めたモノたちが作るのが魔法世界らしいのだ。


 地球でも中世辺りでは色々な試行錯誤がされていたようだが、近代化した今ではレベル制等は完全に取り払われ、複雑化した世界を見守るだけになっているらしい。

 地球って結構頭の良い神に創られてたんだなぁ。と思わず空を見上げる手塚。


 その遥か遠くの空で、謎の天変地異が起こっていた。

 台風が村の前方に向っていて、蝗の群れなどもそこに向っている。

 蝗というか虫型魔物のようだが、とにかく不運の群れが押し寄せているのはたった一つの村だった。


「訂正だ桃栗。この世界で合ってたらしい。お前が作ったクラスメイト探索君21号も捨てたもんじゃねぇな。行って来る」


『捨てたもんじゃないってどう言う事だこるぁーっ』


「やっぱ奴だ。見つけた。おーいアンゴ……おいおいマジかよ」


『どったの、トラブル?』


「アイテム入手メッセージが出るってアレだよな?」


『マジか……誰かに入手されたらアウトだぞ!? あちしの減刑がぁっいやぁぁぁぁっ!?』


「まだだ、イケる。あたしがここに来てて良かったな。死んでから幸福とかやってらんねぇんじゃねか英雄め。まだまだ死なせねぇよ! リザレクト」


 不幸の英雄はギリギリセーフだった。生死についてはある意味アウトだったが。

 一度彼を待ち望む家族のいる世界へ戻した至宝は、彼から重要な話を聞くことになる。

 そう、居たのだ。あの世界に、もう一人の探し人が。


 待ち望む女のもとへ向い、報告する。

 そして全員を巻き込む会議になった。

 妊娠中の存在が多い。完全な種馬化した怪人の尻を蹴り上げ不満を解消した至宝は、会議の中で救出部隊を組織する。

 といっても満足に動ける存在が殆ど居なかったのが悲しいところだ。


 残念なのはチート存在として重宝するイチゴやヌェルが動かせないところである。

 星廼の護衛があるということで紅葉も動かないとくれば、救出部隊として動けるのは、たった三人だけだった。


「全く、オマエどんだけだよ」


「いや、その、否定出来ないのがなんとも……俺だって頑張ってるんだぜ?」


「まぁ、何度も死に掛けまくってるのは分かるけどよ。はぁ、まぁいい。とりあえず行くぞ」


 至宝たちは準備に取り掛かる。向うのはたった三人。だけど、きっとアイツにとっては最高の人材だろう。遥か異世界に離れたクラスメイトに想いを馳せ、待ってろよ。と三人揃って空を見上げた。

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