表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三十四話 そして最後に怪人が来る
1158/1162

後日談異世界編4

「ひーまーなーのーじゃーっ!!」


 駄々っ子のように両手両足をばたつかせながら、小出葛之葉が床を転がっている。

 この世界に思わず付いて来てしまったクリムゾン・コアトルも、確かにやる事が無くて暇だった。

 直ぐ横ではテーブルを囲んでミルユ、A・P、P・A、お松、みぽりんといったメンバーがお茶をしている。


 他のメンバーは一人の男を求めてバーゲンセールの如く押し寄せているので、彼女たちは暇なのだ。

 別に参加してもいいのだが、地力が違い過ぎる。

 どうせ自分の番もそのうちあるのだからと半ばあきらめムードの女たちだった。


「そういえば、この中で既に子を授かった者はおるのかえ?」


「このまえベビーラッシュ終わりましたからね。とりあえず一日ごとに一人の女性と決まった御蔭でそこまで暴走はなくなりましたけど。二人目はまだですねぇ」


「私達は生まれるの早いですからね。そういう意味でしたら皆さん十月十日でしょう。そんな長くお腹に子供を溜め込むとか、大変ですねぇ」


 みぽりんとお松さんはある意味勝ち組だった。

 未だ手すら握っていない葛之葉もイラッと来るほど上から目線である。

 ミルユの腹は膨らんでいるし、アイラーヴァタもそろそろ第一子出産に向けて出産方法の勉強を始めている。

 幼い容姿のパールヴァティだけはまだ手を出されてないとぶぅたれていたが。


 コアトルも椅子に座って御茶を飲む。

 彼女は別にこの国の王を好きなわけではないので小出と同じ客将扱いだ。

 なので基本どこにでもいけるのだが、森に行って魔物狩りは初めの一月で飽きたし、周辺に街はない。

 地下にある街の食事は食べ飽きたし、遊び場も遊ぶ道具も殆ど無い。


 現代日本のゲームが恋しいと思う葛之葉とコアトルだった。

 そう言えば、この前戻ってきたイチゴから、本格的VRMMOが発売され始めたらしい。と聞いた。

 日本が恋しい。日本のゲームが、漫画が、同人誌が……


「クリムゾン・コアトル、A・P、妾は日本へ行くぞぉぉぉ!!!」


 そしてトラブルメイカーたちが日本へと再上陸する事になり、秋葉原の売り上げがその日だけ急激に上がったらしい。

 大人買いの狐娘伝説が秋葉原界隈でしばらく有名になったとか何とか。


 --------------------------


 大井手真希巴はテラスで紅茶を飲んでいた。

 この世界は毎日が暇なのでついついやることなくぼーっと紅茶を飲んでしまう。

 ここに居るのは武藤薬藻の愛人枠だ。

 正妻や側室のようにがっつくことはないがしっかりと自己主張をしている、あるいは夜這している者たちの女子会である。


 今居るのは伊吹冬子、とつめ、炎野美音奈の三名と魔物一匹だ。

 みぽりん達は別の場所で集まっているらしい。

 とつめ以外のお腹は皆、膨らみ妊婦になっている。

 正直自分以外も同じ男が相手だと思うとムッと来るのだが、見知った顔とこうしてずっと笑いあえると思うと不思議と怒りは感じない。


 独り占めしたいという思いはずっとある。

 それでも、この未来ならばしーちゃんとずっと一緒に、同じ人を好きでいられる。喧嘩も必要無い。そう思うと、これはこれでありなのかな。と思わなくもない。

 とはいえ、やっぱり独り占めしたいという人がいないわけではないので、そういう女性は未だにネリウさんたちとバトルをしているのだが、ここではその戦火は届くことなくゆったりしたものである。


「……平和ね」


 お茶をずずっと飲みながら、冬子が一息ついた。

 美音奈もほんとだねーっとほっこりした顔で同意する。

 唯一よく分かっていないとつめが冷まされたお茶を両手で飲んでほぅっと息を吐いている。


 本当に、数年前の事が今では嘘だと思える程に、平和だった。

 この世界では魔法少女でいる必要もなければ闘う必要もない。

 役立たずな女で居られ、そんな自分にも構ってくれる男がいる。

 親友も一緒だし、姉妹とも呼べる存在も沢山出来てしまった。

 皆知り合いなので肩肘張ることも必要無く、毎日がゆったりと過ぎて行く。


 メイドと戦闘員たちが掃除洗濯はしてくれるし、料理だって時間になれば料理人が作ってくれる。

 至れり尽くせりだ。しかも、国王の側室として扱われるVIP待遇なのである。

 一般家庭の自分からは想像が付かない程の大出世だ。

 今もまだ夢なんじゃないかと時々頬を抓ってしまうくらいである。


 垢ぬけない自分の顔を見るたびに、本当にこんな素敵な時間、自分に良いのだろうかと思ってしまう。でも、彼は自分をも囲いこんでくれたのだ。嫌がることなくデートだってしてくれる。

 さすがに街が城内にしかないので大したデートにはならないし、外に出ると魔物との闘いもあるのでイマイチデート感はないのだが、憧れていた好きな人と二人で綺麗な光景を見るということも、彼は喜んで一緒に来てくれるのだ。


「私、幸せだなぁ」


 真希巴の周辺は、今日もゆったりとした日常が流れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ