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俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三十四話 そして最後に怪人が来る
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後日談地球編6

「なんてことだ。魔王共が大地を掘り返したせいで地中怪獣モンドリアンが」


 地球防衛軍はヒストブルグの大戦争後もほそぼそと続いていた。

 高田純平はパイロットスーツに身を包みながら上官の声を聞いていた。

 既に防衛軍歩兵部隊や戦闘機が出撃しているらしい。


「行くわよ純平!」


「文歌、先に……じゃあ、行って来るよ乱菊さん」


 最後にヘルメット部分を着る直前、すぐ隣に来た乱菊に振り向く。

 乱菊は和装の麗人と思える姿でゆっくりと近づくと、純平の服装を整えた。


「行ってらっしゃいませ旦那様。本日も貴方の帰りを御待ちしております」


 最後に頬にキスをして、はにかむように乱菊が微笑む。

 顔を赤くしながら純平はジェノスへと乗り込んでいく。

 そんなラブラブバカップルぶりを見ながら文歌はコクピットで膨れていた。

 正直イラッと来る。あの場所に居るのは自分だったのに。という複雑な心境の彼女の前方、モニターにパイロットスーツのおじさんが映る。


「よぉ嬢ちゃん。嫉妬か?」


「煩いっ」


「あとで慰めてやるからそうムクれんなって」


「……むぅ」


 素直にはなれないものの、このおじさんにだけはついつい思いのたけをぶつけてしまう。

 おじさんといっても30代くらいの元地球防衛軍。数年インセクトワールド社の戦闘員をしていたが、その改造による身体能力の御蔭で文歌と同じくらいの戦闘センスを手に入れたエースパイロットだ。

 前回のヒストブルグ戦で機体を破壊しながらも文歌を守ってくれたこともあり、少々つっかかりにくい相手でもある。


「アイレスのジェラート」


「はは。文ちゃんも女の子してるねぇ。いいぜ。終わったら行こうか」


 面白くない。文歌はむっとしながらも良く分からない感情の芽生えを覚えていた。


「さぁ、純平、文ちゃん先行くぜ!」


 おじさんが最初に出撃、追うように純平も出撃する。少し遅れ、文歌もまた機体をハッチに移動させ、出撃。

 向うはヒストブルグ跡地。モンドリアンという四足歩行の巨大怪獣の撃退に向うのだった。


 -------------------------


「GYAAAAAAAAAAAッ」


 怪獣モンドリアン。周囲に人が戻り始めたヒストブルグ跡地に地中から出現した蜥蜴怪獣。

 その数はなんと五匹。

 現場では戦闘機が飛び交うが、その数機がモンドリアンの前足や尻尾により撃墜される。


 戦車やタンク型人型兵器が応戦するも、モンドリアンは意に介さない。

 巨体なのに素早い動きで近づき踏み潰して行く。

 口元からの怪光線。

 建設途中のビルがまた崩れた。


「さすがにあれは予想外だわみゆみゆ」


「で、でもラナリアとして派遣されたんだし、何とかしなきゃハルリーどうしよう」


 現場にいち早く到着したのはラナリアから派遣された魔法少女パーティー。

 しかし、彼女たちの想定ではモンゴリアンは一体のみのはずだった。

 巨大蜥蜴一匹なら何とかなるだろうとやって来たのだが、五匹だなどと想定外にもほどがある。

 即座にインペリアルに報告はしたが、増援出現まではまだしばらく掛かるらしい。


「……やるわよみゆみゆ」


「ええっ!?」


「マッキーが居ればこのくらい楽勝なんだろうけど、私達だけでもやれるってあいつに笑って言えるようにならないとっ」


「……そう、だね。マッキーにも、ユイにも私達はちゃんと正義の味方出来てるって見せないと安心できないよね」


 二人は互いに頷き、手短に居たモンドリアンへと飛びかかる。


「八龍水牙陣!」

「ライトニングゲイザー!」


 水が大地から噴き上がりモンドリアンを切り裂く。驚き叫ぶモンドリアンを電撃が襲った。

 突然の攻撃に驚いたモンドリアンの尻尾が千切れ、びくんびくんとのたうつ。

 しかしモンドリアン自身も痺れているようで逃げ出す気配がない。


「チャンス!」


「ハルリーッ!」


 トドメとばかりに突っ込むハルリー。

 しかしそこに影が出来る。

 慌てて叫ぶみゆみゆに反応して顔を上げたハルリーは、新たなモンゴリアンが大口開けているのを見た。

 破壊光線の光が集まる。


 あ、終わった……

 なぜか自然とそんな言葉が脳裏に浮かんだ。

 呆然と自分を殺す光が集まるのを見つめてしまう。

 破滅の光が放たれる、その刹那。


「リュアッ!」


 救世主は空から現れた。

 飛び蹴りでモンドリアンを蹴り飛ばし、口の中で破壊光線を爆発させる。

 すかさず尻尾の一撃を叩き込むモンドリアンの尻尾を受け止め、逆にジャイアントスイングで別のモンドリアンに投げ飛ばす。


「リュア!」


 イルミネートスプレッド。

 モンドリアンたちが悲鳴を上げるのを聞き、ようやくハルリーは我に返った。

 すぐ真下でもんどりうっているモンドリアンにトドメの電撃を御見舞いする。


 ぷすぷすと焼けた匂いを上げ始めるモンドリアンの背に乗って、ハルリーは巨大な地球の味方を見上げる。

 その顔は、恋する乙女の顔だった。

 遥か空から三機の人型機械が現れる。

 モンドリアンの運命は風前の灯となり、代わりに新たな恋の嵐が吹き荒れようとしていた。

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