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俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三十四話 そして最後に怪人が来る
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大団円は罪科の後で

「ふはぁ……今回ばっかは死んだと思ったわ」


「お疲れちゃーん。炎野さんも無事だったか」


 俺のもとにクラスメイトが全員集まった。

 といっても河上とアンゴルモアが居ないけど。

 どうやら河上は俺が倒れた後に異世界に飛ばされたらしい。

 アンゴルモアは反バシンによりどっかに飛ばされたそうで、どこまで飛んだかは誰も分からないそうだ。


 その辺りは上位世界に行った際に桃栗が探しておくらしいので何とかなりそうだ。

 見つかり次第バシンに至宝かイチゴを飛ばして貰って、ムーブで戻れば皆で助けに行けれるし。

 この闘いで魔王や怪人、宇宙人や地底人が軒並み壊滅したので地球平和はしばらく続くだろう。

 ラナリアはこれ以上混乱が起きないよう生存者。まぁインペリアという機械が存在してれば問題無く稼働する機関と成っているので正義の味方と怪人がほぼ壊滅している以外は問題無く回るらしい。


 一応赤城が影の首領役をして纏めるらしい。一企業と大差なくなるそうだ。

 日本政府といろいろ協議もしなければ経済が混乱するとか何とか。

 首領、死んだら死んだで大混乱起こす重要人物になってたんだなぁ。

 まぁ、ある程度麻痺させないよう引き継ぎは出来てるみたいだけど。


 生存した秘密結社は今回参加しなかった二大結社だけだろうということで、実質怪人や正義の味方による闘いは集結したと言ってよかった。

 俺も生存をクラスメイト達に祝福されながら、女の子に囲まれる。

 正直嬉しいような、男にとっては夢のハーレム状態なんだけど、これ程恐ろしい状況は想定外だ。

 何しろ怒りの矛先が俺に向いて来るネリウ様を筆頭に、直ぐ暴走するヌェル、もはや俺が好きなこと隠そうともしないイチゴ、楽しそうやからって理由でハーレム作ろうみたいなノリの松下と彼女に手を出したら殺すぞと睨みつけている網走、それを警戒する手塚とその横でこっちをチラ見している大井手。さらにはヌェルと闘い始めた小出に参戦する福田。武田はその隙に俺の隣に陣取り腕に抱きついて来る。

 逆の腕はいつの間にか伊吹が抱き付き、鯉恋やミルユ、お松にみぽりんがこれを引き剥がそうとしている。


「うわぁ……滅茶苦茶ハーレム。切っ掛け作ったのはあちしだけど、これはないわ……」


「ほんとにねぇ。どう、麁羅もついでにいっとく?」


「ええっ!? 私も!? いやいやムリムリ、あんな危険地帯に行けないよ百乃ちゃんっ」


 ちょ、これ以上来ないで、下手したら殺され……うおぁ!?

 背中から誰かに飛び付かれる。

 誰かと思えば美音奈が抱きついて来ていた。


「すごいな……」


「本当にな。なぜ武藤があそこまでモテるのかわからん」


「マスターがモテるのはそれだけ行動力があるからでしょう。ブツクサいいながらも女性には優しいですし」


「どうだ赤城。お前も女の一人や二人は作らんのか?」


「俺に振るな。そちらこそどうなのだ日本」


 俺を眺めながらどうでもいいことを言っている日本達。助ける気は皆無らしい。


「ふん。前世の妻だけで満足だ。そもそも今は母がそこの機械を彼女と勘違いしていて面倒なのだ」


「ほほぅ。よし元マスターとして命令するぞ渡、こいつと付き合ってやれ」


「了解しました」


「了解するなっ!? 第一子を成せんだろうが、あ、こら、くっつくな阿呆っ!?」


 どうやら大団円が始まったようだ。

 こうやってバカ騒ぎが始まったなら、俺達の勝利なんだなぁってようやく実感するな。

 と、思って空を見上げた瞬間だった。予想外の存在を見付けてしばし呆然としてしまった。


 空から、数人の化け物が降臨していた。

 皆も気付いて唖然と見上げる。

 彼らはゆっくりと地面まで降臨し、呆気に取られる俺達を横目に桃栗の前に集まって来た。


「あちゃぁ……お久です裁判長」


「息災のようだな桃栗マロン。申し開きはあるかな?」


「……い、今のとこはないです」


「よろしい」


 裁判長と呼ばれたのは天使の羽が生えた筋肉質、というか岩のような身体の老人だった。

 禿げた頭を掻きながら周囲の人々を見る。


「まずは初めに、このバカ娘とアホ蛇の暴走に巻き込まれたこと不憫に思う。しかしながら上位存在を倒したことは少々見過ごせん」


 はぁ?


「分かりやすくいうなれば貴族が他国の平民に斬り殺された。といったところか。本来ならこの世界を纏めて葬るべき事柄なのだが事が事だ。この世界には手を出さないことを我々は決めた。一応ナーガラスタは死んでしまった訳ではないようだしな」


 いきなり現れて一方的な通達。

 さすがにイラッと来たのか手塚が何か言おうとしたが、察した大井手が慌てて口を押さえていた。

 やっべぇ、あいつら多分上位存在だ。桃栗やナーガラスタと同一の奴らだ。

 下手に怒らすと世界単位で滅ぼされかねない。


「この度はこの世界にとっても想定外だっただけに上位存在の撃破に付いては不問だ。しかしながら、切っ掛けを作った存在とトドメを刺したと思しき存在に付いては無処罰という訳にも行かん。他の上位存在から目を付けられる前に沙汰を申しつける」


 裁判長と呼ばれた上位存在は桃栗に視線を向ける。


「向こう100年。お前の女神としての能力は剥奪する。治療と共に封印させて貰う。申し開きはあるか?」


「はぁ……結局こうなるかぁ。今回ばっかはお手上げします。ナーガラスタのしつこさ甘く見てたわ」


 溜息を吐いて両手を上げる桃栗に、水で出来た上位存在と風で出来た上位存在が近づいて行く。

 そして、黒光りする上位存在が俺を向いた。


「武藤薬藻。ナーガラスタを倒したその方はまさに英雄といって差し支えなかろう。神殺しの英雄だ。しかしながら、上位存在を打ち倒すその方をこのままにしておく訳にはいかない」


 ちょ、俺も!? 異世界というか次元の穴に放り込んだのが、いや、ナーガラスタの上位存在としての能力を封印したのが拙かったか。


「よって、我々は、武藤薬藻に沙汰を渡す。今後一切この世界への干渉を禁じる。明日の猶予を持って世界から退去せよ」


 何の理不尽か、国外退去命令ならぬ世界退去命令を下された俺でした。なんで!?

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