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俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三十三話 幸運少女はいつでも幸運です
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出席番号13・聖(しゃお) 龍華(ろんふぁ)

 正直、ここまで縺れ込むとは想像の外だった。

 ナーガラスタが粘る粘る。

 魔王を倒して、偽物だったがあのナーガラスタを撃破すれば終わり、後はレウコクロリディウム率いる機械兵をなんとかすればいい。と思っていたのだが、まさかその後に反存在が現れ、反魔王率いる本物が来るとは思わなかった。


 こちらの被害は多大だ。

 正義の味方や怪人は軒並み消え去った。

 宇宙人も撤退させたが、機械兵団もかなり減った。


 正直、もう一度闘う事になった魔王の反存在相手に、まともに闘う事になった皆は満身創痍なのだ。

 なのにその状態でさっき手も足も出なかったような存在と再戦しろと言われても無茶振りでしかない。

 それでもアトミックマンの群れが来たことでなんとか戦える段階に入った。

 魔王を消滅させられる存在をメインに据えて、他の生存者がサポートに入ることでなんとか拮抗状態に持っていけた。


 そこまで行けば私が居なくとも問題は無い。

 そう判断して私はナーガラスタ攻略組へと参戦した。

 正直こちらの方が楽になっている気もしなくもないが、数瞬前には桃栗マロンを守る矢沢萌葱しか居なかった。


 アトミックマンたちが来なければおそらく今もその状態だったろう。

 否、下手をすれば矢沢萌葱を撃破したナーガラスタにより桃栗マロンが殺されていた可能性もある。

 ここまで来た以上、ナーガラスタは最優先で桃栗マロンを殺しに来るだろう。

 それが目標であり、達成できる可能性が目の前に存在しているのだ。

 私達の相手をして可能性が消えるよりは、一か八かで桃栗マロンを狙って来るはずだ。


 隙を見せるのは悪手。

 今は矢沢萌葱の光の盾が守っているが、これだって万能ではない。

 おそらく今は多人数の相手をしながら盾の穴を探っているはずだ。


 増渕菜七と坂崎可憐の攻撃の隙を付いて矢沢萌葱の矢が襲いかかる。だが、ダメだ。隙が出来るのに気付かれた。

 反撃に移ろうとしたナーガラスタにぎりぎり私が間に合う。

 切りつけ挑発することで隙を潰すが、かなりマズいのは確実だ。


 ナーガラスタが狙っていることを矢沢萌葱が気付いていないのが一番の不安要素だな。

 青龍乱舞でナーガラスタの動きを阻害していく。

 いくら切っても回復していくナーガラスタを潰すのは矢沢萌葱の矢が一番だろう。

 しかし、残念ながらソレを行うとナーガラスタに狙われる隙を作ることにもつながる。


 他の神殺し武器を持った誰かが居てくれれば矢沢萌葱を防衛専門に回せるのだが……魔王共がしぶとい。

 こちらに付いた魔王たちも頑張ってくれてはいるのだが、72体は多過ぎる。

 とくにこちら側の魔王として居なかったアンドロマリウスとブエルが厄介だ。


 アンドロマリウスの特殊能力は敵対した存在との実力差をイーブンに持っていき、そこから対戦を行う。どれ程強くてもフィフティフィフティの闘いを強いられるという面倒な能力を持っているらしい。

 弱い敵なら能力を使わず自力で倒し、強い敵は自分と同程度の実力にさせるのだ。

 あとはその後に知識やらなにやらで上回った方が勝つということらしい。

 どちらが勝つかは運次第。という奴だ。


 ブエルはさらに厄介だ。

 顔に五つの足がくっついた車輪のような身体を持ち、魔法を扱う魔王である。

 その使う魔法は五大元素に闇、光と様々に操り、さらに回復魔法の名手とくれば、一番に潰しておきたい存在だ。


 それは敵も分かっているらしく、他の魔王達が協力して守ったり逃したりしている。

 そう、本来強い繋がりを持たない魔王達が反存在になると気持ち悪い程に協力しているのがネックなのだ。

 連係プレイを魔王に行われると、それより弱い天使や正義の味方では手に余る。

 アトミックマンたちが来てくれてようやくこの状況だ。


 これでどれか一体のアトミックマンがやられたり、イルミネート力切れになれば即座に崩される均衡。

 だが、今の状態なら、動ける人間が私以外にも居るはずだ。

 ソレに賭ける。


 魔王を倒すのを優先してもいいし、ナーガラスタ撃破に来ても構わない。

 とにかく、各自の思いのままに動き、この状況を好転させるしかないだろう。

 私が命令したところで上手く行く保証もないし、とにかく私はナーガラスタ撃破を優先すればいい。


「聖龍華ッ。邪魔だァッ!!」


「貴様が邪魔だナーガラスタッ!」


 無数の首から放たれる破壊光線。

 避けられない程密接している私は回避を断念して切りかかる。

 光線が私の身体を通り抜ける。


 本来なら致死の連撃で、身体は穴だらけになっている。

 それでも止まる意味が無い。

 不死の身体が有難い。引き絞った鎌を思い切り振る。

 ナーガラスタの首が一つ宙を舞った。


 矢沢萌葱の矢が空を舞うナーガラスタの首を打ち砕く。

 しかし、ナーガラスタ自身から切り離された部分なので、ナーガラスタ自身のダメージにはならないらしい。


「クソがァッ」


「っ!?」


 新しい攻撃が来た!? 咄嗟に防御体勢になった私に衝撃が来た。

 強烈な一撃で体中の骨が潰れる音がした。

 そのまま背後に居た矢沢萌葱の直ぐ横に吹き飛び、光の盾に押しつぶされる。

 久しぶりに私は死んだ。


「クハハッ、終わりだ聖ッ」


「お前がな」


 即座に復活した私が見たのは、周囲を吹き飛ばし私にタックルを行おうとしたナーガラスタの横から拳を突き入れる下田完全の姿だった。

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