表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三十三話 幸運少女はいつでも幸運です
1129/1162

出席番号28・山根(やまね) 良純(よしずみ)

 ようやくだ。

 ようやく桃栗に一矢報いた。

 これだけ用意してたった一矢で済ますつもりはない。

 下手な快楽は捨てて桃栗を消すことに専念する。

 この闘いで、僕は今までの僕と決別する。


 これが終わればおそらく上位存在たちによる吊るし上げで力を数百年単位で封じられるだろう。

 だが、今までの悔しさに比べれば、桃栗を討ち倒せることに比べれば。

 その程度、地球を壊す事すら比較に値しない。


 だから、桃栗を倒すべく、その後顧の憂いとなる英雄を撃破する。

 それが僕にとっての壁なのだ。

 英雄、アンゴルモア。

 目の前に佇む小さき存在。


 不幸で自身の半身を機械に変えられた、僕より上位の存在に見染められた不幸しかない人間だ。

 一度は確かに破れた。

 でも……でもだ。お前は確実に潰す。そして桃栗を殺す。


「アンゴルモアァッ!!」


「ナーガラスタァッッ!」


 後部肩パットから複数のミサイルが発射される。

 不幸なせいだろう。てんでバラバラな方向へと飛んで行くミサイル。

 だが、次の瞬間、僕へとあのスキルが掛けられる。


 責任転嫁。

 正直ここまで苦戦するスキルになるとは思わなかった。

 彼が受ける不幸を一時期自分が肩代わりしなければならないというスキル。

 ただ、不幸になったから死ぬという訳じゃない。

 心の底から死ぬ事が幸福だと思えたなら回避は可能なのだ。


 悔しいが、ソレに気付けなかったせいで死にかけた。

 咄嗟に自身の一部を崩壊世界に投げつけ消滅したが、その時ギリギリで思い出したので必死に死んで幸福を何度も何度も繰り返し思った。

 必死だったせいだろう。その時は確実に桃栗への怒りも恨みも全て忘れて死を願った。

 次の瞬間、僕は崩壊世界に再生していた。


 咄嗟に行った最後の行動が功を奏した形だ。

 そこからは世界から離れて地球に戻り、アンデッドスネイクで体勢を整えることにした。

 正直最悪だった。何しろ戻ってきたら世界がラナリアに染まっていたし奴等クラスメイト共が五体満足戻ってやがったからな。


 だから僕は次の一手として魔界に向って悪魔と手を組んだ。

 さらに反世界への通路を開き何人もの反存在をこちらの世界に送り込み、秘密結社共を唆し、宇宙人と手を組んで。

 ようやく武力が整ったのだ。


 クラスメイトたちの学校を戦場に変えてやるつもりだったが、結託した秘密結社の阿呆共がこっちに勝手に侵略した時には焦った。だが、反レウコちゃんの御蔭で多大な被害を作りながらもようやくここまで漕ぎつけたのだ。

 あいつは本当に頭が回る。元のレウコちゃんがあっけなく死んだのが不思議な程に、上位存在である僕が考え付かないようなえげつない方法を使ってくれる。


 まさか魔王どもを消耗品として使うとは思わなかった。

 折角の反存在も兵士として使うことなく対消滅で敵の戦力を減らすことに使うことだって、僕には思いつかなかった。

 あいつがいなければここまで上手い具合に桃栗の戦力を減らせなかっただろう。

 まさかこの世界の神どもが二柱も参戦して来るとは思わなかったしな。


 僕の反存在を唆して桃栗に当てるなど考えもしなかった。わざわざ向こうの世界の上位世界に向って僕の現状を伝えただけはあった。向こうの桃栗までこちらに引き込めたしな。

 といっても、向こうの桃栗はあっけなく死んだみたいだが。

 あれだけ楽に倒せる相手だったら、ここまでクラスメイトたちを巻き込むことは無かったのだが。


「行けぇッ!!」


 腕がロケットパンチと化して僕に向って来る。

 アンゴルモアの一撃を軽々避けた瞬間、無数の方向に乱射されていたミサイルが何故か僕に迫ってくる。

 どうやら不幸にもロケットパンチが目標に設定されていたらしく、僕の横を通り過ぎたそいつを追って来たらしい。


 丁度避けたところに横から追ってきたミサイルが追突し、脇腹を抉り爆発。

 僕が呻くと共にロケットパンチの軌道を塞ぐ場所に飛ばされる。

 追撃のミサイル共が不幸にも僕に突撃して来た。最悪だ。


 破壊光線を吐き散らして迎撃する。

 そこに神殺しの槍を持った大井手。

 ぎりぎりで槍を交わしたところに八神の剣が降ってくる。

 追尾ミサイルの一つを掴み取り八神の剣を受ける。

 双方の眼前で爆発した。不幸だ。


 ぐらりとかしいだ僕に向け、仮面ダンサーペトルが変な武器を手にしながら突っ込んで来る。

 避けた場所に遠方からの矢が飛んできた。これもミサイルを犠牲に直前回避する。

 その度に爆発ダメージが加算されるのが面倒だが、この四人の攻撃を受けるのはマズい。


 大声で叫ぶことで威嚇しつつ破壊光線を吐き散らす。

 クソ。反存在の僕と同じ状況に陥りそうだ。

 だが、奴とは違うんだ、奴とは。


「ひゃっ!?」


 初めに攻撃を受けそうになったのは大井手だった。慌てて回避する彼女のすぐそばを炎の鳥が飛んで行く。

 反フェネクスだ。デカラビアの反存在が回転しながら八神を牽制し、ザガンの反存在がペトルを僕から遠ざける。


「ふふ、アンゴルモア! お前の責任転嫁はもう効かん。お前自身の不幸で消え去れぃっ!」


 さぁ、退場の時間らしいぞ、アンゴルモア!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ