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俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三十三話 幸運少女はいつでも幸運です
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出席番号4・伊藤(いとう) 信之(のぶゆき)

『全軍無事か!?』


『全指揮官クラスと連絡が取れません! どうします部隊長!?』


『全軍に告げる。部隊長より上は我が艦隊を旗印に一時集結。とにかく現状を把握しよう』


 イルミネート力を回復していた俺は、ふと声を聞いて周囲を見回した。

 丁度大気圏を越えた宇宙空間に、無数の宇宙船が集まりだしている。

 何だこいつら?


『AF02993艦隊半壊だ。随分とやられたな』


『あのジェノスとかいう機械がヤベェんだ。我が艦隊は壊滅、少しずれてたらこの機も消滅していたところだ』


 ジェノス……つーことはあいつら敵か。


『それで、ここに集まってどうするキュラキュラッソ?』


『ふ、地上に下りるまでに撃破されるというのなら、さらに高所から破壊光線で地表を蹂躙する。ここまで高所からならば誰も我等を迎撃できまい!』


『しかし、下手をすれば我等も住めなくなるのでは?』


『アレらをのさばらせるよりはマシだろう。それに攻撃範囲は一部、あのヒストブルグさえ破壊すれば奴らを一掃できる!』


 おいおい、なんか物騒な話になってんじゃねぇか。

 集まりだした円盤どもは大集団へと変貌を遂げている。

 逃げる気配は微塵もない。

 仕方ねェ。俺がやるっきゃねぇみたいだな。


 回復したイルミネート力を確認する。

 かなり回復している。これでナーガラスタと激闘を繰り広げられるかは微妙というところだが、目の前の円盤を蹂躙するのは充分だ。仕方無い。地上は任せるぞ皆!


「リュア!」


 イルミネートスプレッドを発射しながら俺は月の裏から飛び出した。

 無数に別れたビームを受け、密集した宇宙船団の半数が爆発する。


『な、なんだ!?』

『て、敵襲、敵襲ッ!』

「リュア!」


 再びイルミネートスプレッド。最初の一撃を逃れた宇宙船団の多くが撃破される。


『ええい、迎撃だ! 敵は一人だぞ!』

『ま、待て、奴はアトミックマンだぞ!』


 無数の宇宙船からビームが飛んで来る。

 しかし、宇宙はこちらも庭のようなモノ。

 上下左右に飛行しながらイルミネートスプレッドを叩き込む。


 避けそこなったビーム攻撃はイルミネートバリアーで受け止め、イルミネートスプレッドをお返しする。

 密集してくれているのでいい的だ。避けようと焦れば隣の船とぶつかり勝手に大破してくれる。

 端にいた数百体がバラバラに逃げ出す。


『て、撤退! 撤退だ! 我が軍は母星に帰還する、地球への侵略計画は白紙だ!』

『キュラキュラッソ、我等も抜けさせてもらう。地球は魔の星だ。侵略など無謀だ!』

『ま、待て貴様等! ええい、忌々しいアトミックマンめ!』

「リュア!」


 生き残ったキュラキュラッソ星人とおぼしき船団だけがこちらに反撃を加えて来る。

 だが、この程度なら充分勝てる。

 イルミネートスプレッドを叩き込みながら接近し、集団になっていた宇宙船にイルミネートキックを叩き込む。

 バリアーに使っていたイルミネートバリアーを逃げようとした宇宙船に叩き込み、遠近両用で攻撃を加えながら確実に数を減らして行く。


『ええい、撤退、撤退だ! この恨み、必ずや晴らすぞアトミックマン!』


 キュラキュラッソの生存者たちも撤退を始める。

 奴らを逃す気はない。が、向こうの方が速い。下手に追うと地球から数光年離れてしまうだろう。


「「リュアッ」」


 だが、俺の心配は杞憂に終わった。

 逃げ出した宇宙船にイルミネートビームが襲いかかる。

 焦る宇宙船に、俺と同じような姿の生物が蹴りこんできた。

 キュラキュラッソ星人と思しき絶叫が響き、宇宙船が爆発する。


「「リュア!」」

「リュア!」


 日本語に訳すなら、お兄ちゃん、来ちゃった! と、お前達!? といったところだろうか。

 現れた二人のアトミックマンは俺の妹たちだ。

 さらに、他方へと逃げた宇宙船も別のアトミックマンたちがあらわれ破壊している。


 地球の危機を察知してわざわざ助っ人に来てくれた家族たちに思わず目頭が熱くなった。

 父さんが近づいて来て、ここは任せろと言われる。

 泣きそうになりながらも俺は頷き地球へと踵を返した。


 兄さんたちが俺の横を飛翔する。

 一緒に来てくれるらしい。

 地球に向う許可も寄り代もない妹たちは両親と一緒に留守番だ。きっと数十年後には俺に代わって彼女たちが地球を守ってくれるんだろう。


 だから、その時まで、俺が地球を守ろう。

 この地球の守護者を妹たちに渡すために。

 今の危機を乗り越え、妹たちへと引き継がせるんだ。だから。待っててくれ皆。今、助けに行くから。

 ナーガラスタの良いようには絶対にさせない。させる訳にはいかないんだ。


 雲海を抜け、地上へと向かう。

 兄たちは適当な寄り代を見つくろい、憑依し、立ち上がる。

 一人は死に掛けの老人に、一人は飛び降り自殺した男に、一人はひき逃げされたサラリーマンに、あるいはなぜか女性に憑依する兄さんもいたけれど、とにかく寄り代を手に入れ変身した彼らが各所から集う。


 空で猛威を振るう反魔王どもにアトミックマンファミリーが参戦したのだった。 

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