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俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三十三話 幸運少女はいつでも幸運です
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出席番号10・小出(こいで) 葛之葉(くずのは)

「とはいえ、ロスト神の反存在相手に勝てるかといえば無理そうな気がするな」


 網走は聖戦士たちの横に並び冷や汗を拭う。

 確かに、あの近づいたら即死亡の紫の霧は脅威じゃ。

 チェクトバヂットもやはり攻めあぐねているらしい。

 対する反存在は余裕だ。自分に対応できる敵がいないと分かっておるのじゃろう。


 彼の目的はロストとの対消滅のようじゃし、妾としてはそのまま消滅して貰った方が邪魔が消えて楽ではあるがの。

 仕方あるまい。妾が手を下すとしようかの。


 ナーガラスタにダグダのこん棒が余り意味ないと気付いた瞬間、あいつに何かすることは諦めた。

 即死尻尾とか確かめてはみたいがそれより先に邪魔な存在潰して行こうかの。

 まずはこの神様じゃ。

 神殺し、やってみようではないか。


 ぶわり、妾の全ての尻尾が尻から飛び出す。

 夢の国、じゃなかった。悪夢の島でのみ使っていた全力攻撃だ。

 ブレーディアもクレイモアドッグもこれを喰らえば確実に爆散するが、おそらくこのまま奴に攻撃しても全てロストしてしまい敗北するだろう。

 だからまずはあの紫の霧をなんとかせねばならぬ。


花崗岩の苦悩グラニッド・ディストレス


「裂けろっ!!」


 チェクトバヂットの土魔法。紫の霧に当った瞬間全て消失してしまう。

 でも、網走の一撃は違った。まるで空間を引き裂くように古めかしい青銅剣が霧を裂く。

 そこに聖戦士達がそれぞれの秘技を叩き込む。

 いつの間にか金髪の天使も手伝い始めたが、ロストには全くダメージが通っていない。

 これでは全滅必死じゃの。


「チェクト、残念だよ。ここで君が死ぬことになるとはね」


「反ロスト神か。全く、絶望というのは生きれば生きるだけ現れるな。お前の言った通りだシホ。だが……負けんッ!」


 魔剣ノルンカルトで一閃。網走同様剣撃が霧を引き裂く。

 二人の剣はどうなっとるんだ? なぜあの霧に当っておるのに消失しない?

 まぁよい。妾は妾のやることをしようかの。

 聖戦士たちに突撃しようとしたロスト。

 瞬間移動の尻尾で間に割り入った妾は、即座にダグダのこん棒で空間を混ぜる。

 さすがにこれはマズいと気付いたらしい。

 ロストが慌てて距離を取る。


 そこへすかさず疾風尻尾が風の一撃を叩きつける。

 刹那。妾の考えが正しい事を理解した。

 霧の粒子は風に流されロストから剥がれるように散っていく。

 粒子が掛かった大地が消失していく。


 ……なんか被害が広がった気がせんでもないが、まぁ気のせいじゃろ。

 風を操ればあの消失は何とかできる。

 が、ロストが現存しておるだけであの霧は直ぐに復活する。


 やはり根本を何とかせんとならんらしい。

 さぁて、どの尻尾が有効かは分からんが……くらえいぃ。

 全属性尻尾による致死の一撃。

 この前封印した気もせんでもないが、そんなもん緊急事態じゃし問題あるまい。


 一斉に発射した遠距離系尻尾の魔術やら何やらが全て一緒に混ざって行く。

 すかさず疾風尻尾でロスト周りの消失を消し飛ばす。

 混じり合い捩り合うように重なる一撃がロストへと向って行く。

 避ければいいのに、反ロストは真正面からソレを受ける。

 阿呆かアヤツ?


 直撃したロストの身体が吹き飛ぶ。

 ありゃ? 一撃必殺かえ?

 拍子抜けする一撃だったのじゃが、やはり神は一筋縄ではいかんらしい。

 紫の粒子たちが集まると、再び人型を形作る。


「なんと面妖な」


「お前が言うな狐娘。ロスト様はウイルスと同じだ。同一の意思を持つウイルスが寄り集まりロスト様を形作っていると思え。人型だからと人を相手にしていると勝てるものも勝てんぞ」


「なんと、ならばあの紫の霧も全てロストかえ!? ええい面倒臭い!」


「あの霧で消失しているように見えるが喰われているだけだ。面倒だが全て潰さねば喰われるのは我らだぞ」


 そういうことは早く言えよ銀髪イケメンクソ野郎めが。

 全く、細菌相手ならばやりようはいくらでもあるのじゃ。

 妾は殺生石を取りだす。


祖也そや我妖狐也われようこなり天地開闢てんちかいびゃくのため是、今昔これこんじゃく駆抜我成われかけぬけるなり汝、我なんじわが敵成也てきなりや我、汝われなんじ許不也ゆるさじ是、使我これなんじを汝滅也めっすわがつかいなり望有是のぞみてあるはこれ呪毒有也じゅどくありやの殺生石せっしょうせき


 何を言っておるか分からん? 妾も知らん。とりあえず簡単にいえば今から妾が殺生石使ってお前を滅ぼすぞ。という呪文である。まぁ頭をからっぽにして聞くがよい。


「殺生石、呪怨毒殺!」


 掲げた殺生石から緑色の霧が周囲へと噴き出す。

 風を操り全てロストを包むように移動させる。

 チリと触れた瞬間、ロストが初めて焦ったように暴れ出した。


「なんだ!? なんだこれは!? まさか、まさか貴様か!? 貴様なのか! ルストォっ!?」


 反ロストが喰われるように消えて行く。殺生石の毒素はどうやらロストにも有効らしかった。

 確かに、細菌と言われれば対抗手段がないように思えるが、同じ細菌類でなら対抗可能。妾が使える細菌といえば呪い付きの毒霧しかないのじゃ。

 ルスト云々は知らんがの。


 ロストが消え去るのを見送っていると、空間から二人の女が地面に落下した。

 双方死に掛けな程に傷付いているが、致命傷には至っていない。

 元魔王増渕と反手塚。別空間では決着付かず、こちらに戻ってきたようだ。

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