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俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三十三話 幸運少女はいつでも幸運です
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出席番号2・網走(あばしり) 紅葉(もみじ)

「これで、どうだぁぁぁぁっ!!」


 綾嶺が反ダグダのこん棒を使いナーガラスタをかき混ぜる。

 ナーガラスタの破壊光線。

 リテルラが綾嶺を連れ去りナーガラスタの反撃を回避する。


 行けるか? そう思っていたが、ダメらしい。

 折角かき混ぜた場所も時が立てば自己修復されてしまう。

 おそらくアンゴルモアとの戦いでもこういう風に自己修復して戻ってきたのだろう。


 さすが上位存在か。消滅させるのが面倒臭い。

 しかし、面倒だがやらねばならん。

 チャンスは今だしな。


素環頭大刀そかんとうのたち


 効けばいいのだが。


と謂いて我常世の常を見出したり。幽世かくりよ現世うつつに、現世は幽世に。常世繋ぎし宝玉をここへ。八尺勾王恵之五百之美須麻流文珠(ヤサカマガタマイホツノミスマルノタマ)!」


 【霊体視】を使いナーガラスタを見る。

 ふむ。天使と悪魔は元々霊的存在だからか、【霊体視】で見ても普通か。

 だが……なんだこれは?


 魂が見えるはずの目には、ナーガラスタが映らない。

 どう……なっている?

 この目になった瞬間ナーガラスタの中身ががらんどうになってしまったぞ?


「死ね!」


「網走さんっ!」


 思わず立ち止まってナーガラスタを見ていた私に綾嶺の声が飛ぶ。

 慌てて手短に居た天使を身代わりに使う。

 すまん。


 驚く天使は迫る破壊光線を見て目を見開く。

 慌てて羽ばたきぎりぎりで逃げ切った。

 「汝何をするのですか!」叱責を飛ばして来るが、咄嗟だったのだ。とにかく謝っておく。

 謝って済む問題でもないが自分の命優先だ。戦場なのだから許せ。私も死にたくはない。


 クナイを三つほど連投して次の一撃を誰もいない場所へと放たせる。

 ナーガラスタの動きは少しづつ弱まっている気もするが、何かがおかしい。

 もしかして、と桃栗に視線を向ける。

 そして理解した。


「違うッ! コイツはナーガラスタじゃないぞ! 偽物だ!」


「はいっ!? また偽物デスか!?」


「ンなバカな! ここまで強いのに」


「上位存在特有の魂がない。これはおそらく死体を組み合わせて作られたただの怪人だ! それか……」


 あの悪魔の成り済ましがあったから次に現れたのまで偽物だとは思っていなかった。

 だが、ナーガラスタと殆ど変らないぞ? なぜここまで強力な存在が……

 おい、待て。そういう……ことか。


 不意に見つけたのは反断罪者、武田と福田だ。

 その二人の身体を【霊体視】で見た瞬間、疑問は即座に氷解した。

 魂が、見えない。

 ナーガラスタと同じ状態だ。


 おそらく反存在は私達の世界常識とは逆なせいで、【霊体視】で魂を感知することができないのだろう。なんとも面倒臭い話である。

 だが、それが分かれば直ぐ分かる。目の前にいるナーガラスタが何者なのか。


「そいつはナーガラスタの反存在だ!」


「はぁっ!?」


 桃栗の話では上位存在の反存在は存在しないと言っていたが、おかしいぞ?

 なぜこんな物まででてくる? もし出てきたならば桃栗の反存在等もいるのではないのか?


「なるほど、つまり、結局ナーガラスタと同程度の実力なのは変わらん訳だな」


「ロスト、もう一度だ」


「さっさと消し済みに変えてしまうぞ。ナーガラスタの本体が出て来る前にな!」


 ロスト神とファスト神が再びナーガラスタへと向かうその刹那、彼らに迫る二つの悪意。


 天使達のファスト様!? という驚きと悲鳴が巻き起こる。

 なんだ? とそちらを見た二人は、迫り来る反ファスト、反ロストに気付いた。

 咄嗟にチェクトバヂットが割入る。


「ロスト様!」


「ええい、やりやがったなあの野郎」


 紫の人型と激突したチェクト。そこへ四人の聖戦士が参戦する。


「鎧のお兄さん、私らも手伝うわ。そんかわしお金頂戴」


「邪魔になるだけだ下がれ」


 反ロストには彼らが迎撃してくれたようだが、ファストは違った。

 助けに入ろうとした大天使もまた、自分の反存在に迫られ焦る。

 次の瞬間、四大天使長が弾けた。呆然とする天使たちの目の前で、神と呼ばれた存在もまた、反存在と接触する。


「バカな!? ナーガラスタァァァァっ!!」


「ファストが消えた!? クソ、チェクト、僕は引かせてもらう! まだ死ぬわけにはいかないっ」


「ご安心を、この反存在、あなたのもとへは行かせません」


 チェクトバヂットたちに反存在を任せ姿を消すロスト神。

 思わず舌打ちした魔王ルシュフェルを、誰が責められるだろう。

 ナーガラスタは他の奴らに任せ、私もまた邪魔になりそうな反ロスト討伐へと向かうのだった。

 こいつなら素環頭大刀そかんとうのたちでも対応できそうだからな。

 私と入れ替わるように、無数のクラスメイトたちがナーガラスタへと向って行くのが見えた。

 そちらは、任せたぞ聖、下田。

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