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俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三十三話 幸運少女はいつでも幸運です
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出席番号22・御影(みかげ) 祐一(ゆういち)

「作戦変更?」


「ああ。今さっき見せて貰ったお前の腕前で決めた。頼めるか?」


「これを打ちだせというのか? 少し時間が掛かるぞ?」


「なんじゃ。それを弾丸として打ち出せればよいのじゃろ? 妾が形容変化してやろうぞえ」


 俺が綾嶺から渡されたダーツを小出が奪い取る。


「ほれ、銃弾を見せぃ。何にすればよいかわかんではないか」


「これでいいか。先程の狙撃に使った弾だ」


 俺が取り出した銃弾を前後左右上下と全体図を見る小出。


「ふむふむ。ちょいとばらすぞえ?」


 いきなり奪い取られた銃弾が剥かれて行く。

 銃弾だったものが分解され、俺も見たことがない程にバラバラにされて行く。

 ふむ。この弾丸なら作れそうだな。

 自作弾は弾詰まりが怖いが咄嗟の時のために数弾作っておくか。


 小出は分解を終えると形状変化という能力を使ってダーツの容姿を変えて行く。

 随分簡単に変わったな。弾丸の先がとがっているのがちょっと気になるが、なんとか打ち出せそうだ。

 小出から弾丸を受け取り、銃にセッティングする。


「よし、あとはリテルラと綾嶺は先程の打ち合わせ通り、もしも御影の弾丸が受け止められたり避けられた場合、お前達が銃弾をナーガラスタに打ち込んでくれ。いけるか?」


「行けるか。じゃなくて行かないといけないんだよね? リテルラさん、大丈夫?」


「怪盗ラッフェンに盗めない物はないのデス」


 頼もしい限りだ。

 俺はラドゥエリエルとダンタリアンに魔法を付加して貰い、神の能力を封印できるらしい銃弾の入った狙撃銃を手に狙撃に適した場所へと向かう。


「ラドゥエリエル、ダンタリアン。露払いは頼むぞ?」


「全く、魔王と大天使に雑魚の相手を任せる人間など私は初めて見たぞ」


「そしてそれを体験させられている私達はまた貴重な体験をしていますね。ラジエルに書かせることが増えました」


 丁度いい場所に向うまでに死霊共が屯っているのでダンタリアンとラドゥエリエルにお任せだ。

 下手に俺が何かして殺されても困るしな。悪いが彼等に頼むのが一番だ。

 特に、寄生虫だらけの死体を相手にするなど死亡フラグにしか思えん。


「おやおや、ラドゥエリエル、天使の死体が動いて来ましたよ?」


「嘆かわしい。天使だというのに、あのような。ダーヂエグザイル!」


「では、私はこちらを。ダク・ネム」


 ラドゥエリエルが天使型ゾンビ、ダンタリアンが普通のゾンビを破壊していく。

 途中怪人型ゾンビが走ってきていたが、ダンタリアンによりさっさと処理されていた。

 魔王と天使がいるおかげか、自分の周囲の危険を心配する必要がないのが嬉しいな。

 と言っても職業柄ついつい周辺を探ってしまうのはもはや染みついた癖なのでどうにもならないが。


 身体を寝そべらせ、銃を構える。

 スコープ越しに覗いたナーガラスタは未だ天使と魔王の迎撃に苦戦していた。

 ただ、天使の数が予想以上に減っている。

 時折大天使が混じっているのがその証拠だ。


「あれは……面倒な相手が来ましたね」


「何かあったか?」


 スコープから目を放すことなく俺は尋ねた。

 ラドゥエリエルの困った声は、俺に気付いて説明してくれる。


「宇宙人です。後続部隊が来たと言ったところでしょうね。ここで敵戦力の増加は少々辛いところです」


「問題は無いでしょうね。ほら、機械兵や人型機械たちが向こうの迎撃に向いました。死霊の数も減ってますし、反存在もあらかた消滅しました」


 ならば、俺は気にする必要はないな。

 再びナーガラスタに集中する。

 心音が邪魔だ。珍しいな。俺が緊張しているのか?


 ふふ。そうりゃあそうか。今までここまで重圧が掛かったことはなかったな。

 確かに命がけの任務は多かった。だが大抵は相手が人間。動きなど簡単に予想できたのでヘッドショットを決めるのは容易い。

 しかしだ。相手は人外。それも予想以上の動きなどいくらでもできる存在だ。

 そんな化け物相手に気付かれていないといっても二度目の狙撃を当てるというのだ。


 ああ、チクショウ。先程アイツにヘッドショットを決めた自分を殴りたい。

 なぜあの弾丸をダーツの弾丸で打たなかったんだ。

 あれが決まっていたんだ。能力封印は確定だっただろう。

 二度目だからナーガラスタもさすがにこちらに危機感を見せているはず。

 簡単には当ってくれまい。


 集中力をさらに高める。

 周囲の音を全て消しさる。

 銃器を自分の身体の一部だと認識し、ナーガラスタだけに集中する。

 すぅっと銃口の先がナーガラスタを真っ直ぐに捕える感覚があった。


 次に意識を広げ、ナーガラスタと俺との障害物を認識する。

 無数に動き、ランダムに動き、俺とナーガラスタの線を邪魔する障害物ども。これが天使と悪魔の群れだ。

 時折雷撃やら氷弾が飛び交いさらに面倒な弾道になっている。

 だが、ある。かすかに見える道筋を見付けた。


 その線だけを見つめるように意識を集中させる。

 繋がる線を夢想して、引き金を引いた。

 皆の思いを乗せたたった一発の銃弾が今、放たれた。

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