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俺のクラスメイトが全員一般人じゃなかった件  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三十二話 怪盗少女は捕えられない
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最強の敵

 や、ヤバかった。本気で今のはヤバかったのじゃ。

 妾、小出葛之葉は心臓の高鳴りを押さえるのに必死じゃった。

 いや、まさか自分が殺されるの見せられるとは思わんかったわ。

 しかも最後のトドメはダグダのこん棒で妾自身が混ぜとるし。


 自分の身体が空気に溶け混ざってブラックホールに吸い込まれて行くのを間近で見るんじゃぞ、悪夢にうなされるわっ。

 ああもう、鳥肌がでてかなわん。


「ふぅ。なんとか終わったの。焦ったわ」


「まぁ、確かに驚きではあったな。死ぬかと思ったぞ」


 下田も生きた心地はしなかったらしいな。


「リテルラ、助かったぞ」


 リテルラがこちらに手を振って来た時には驚いた。

 何しろダグダのこん棒を持って嬉しそうにしておったからな。

 まさかと思って確認したけど妾のスプーンはちゃんとあった。

 つまり、反存在から窃盗したということに他ならない。

 そのため、龍華を混ぜ殺そうとした反存在は、何も持ってないのに取り出し混ぜるという無駄な動作を行ってしまい、スキが出来た。それが妾らの勝利に繋がったというわけだ。


「しかし、これでチートな妾の反存在が消えたの。これで安全じゃろ」


「そう思うなら小出葛之葉、アレの相手を頼んでいいか。我等では手に余る」


「なんじゃ龍華よ。妾の反存在が消えた今何を恐れる事があ……」


 その姿を見た時、妾の尻尾全てがぱんっぱんに膨れ上がった。

 ゆっくりと近づいて来るそいつは、妾らにニヤリと醜悪な笑みを浮かべながら自慢の剣を引き抜く。

 双剣を手にした女は頭上に剣を掲げた。

 パリパリと放電を始めた二つの剣に、確実な死を感じる。


「散開しろッ!!」


 龍華の怒声が響く、言われんでも逃げるわっ!


「フレアライトクロスッ!!」


 その反存在、反手塚至宝が得意の一撃を妾等向けて振り降ろした。

 巨神すらも殺す悪意の一撃が大地を疾走する。

 一瞬でも遅れておれば確実に巻き込まれていた広範囲殲滅技が儂のすぐ側を駆け抜けて行った。

 完全と龍華の姿は見えない。おそらくこの攻撃の向こう側に逃れたようだ。


「ムリムリムリ。油断した勇者ならともかくガチのあ奴と闘えるか!?」


 というか反存在は異世界にも行っておったのか!? だったらイチゴたちの反存在も出て来かねんではないか!? でないよな? 出ないと言うてくれぃ!!


「闘えよ阿呆ッ! そ奴を倒せるのは主が居らねば無理だろうが!」


 掛けられた声にびくんと尻尾が立った。

 誰かと見れば……なんじゃヌェルではないか。

 なぜこちらに来たのじゃ? まぁいい、丁度良かった人手は欲しかったのじゃ。


「驚かすでないわ。吸血鬼ではないか」


「ふん。東洋妖怪はもうギブアップか?」


「抜かすな。妾だって戦わぬとは言っとらん」


 互いに言葉は不要らしい。

 反手塚向けて同時に走りだす。

 気付いた手塚も両手の剣をしっかと握り走りだした。


「いいかヌェル、自分一人で功を焦れば全滅するからな」


「分かっている。しかし問題は死ねば復活という勇者特性、アレをどうするかだ。なんぞいい方法があるか?」


「あるさ。狐は狡猾なのじゃ。トドメは任せよ」


「クラッシュザンバー!!」


 横薙ぎの一線を同時に飛んで避ける。

 続く縦の斬撃を使い魔を犠牲に横に飛び退くヌェル。

 妾は幻惑尻尾を使いつつ飛行尻尾で自由自在に飛び回る。


 反手塚の圏に入る直前、二人揃ってバックステップ。

 乱れ雪月花が一瞬遅れて発動し、大空に花弁が散っていく。

 危なっ、ヌェルが軌道変更したから咄嗟に習ったが、今のは即死フラグじゃった。


 技後硬直を狙って飛び蹴り。ヌェルのなんじゃっけ、あのグラトニー……じゃなくてベヘモーなんとか。両腕の黒い炎を使い反手塚に拳を打ち付ける。

 葛之葉、ヌェルの協力攻撃! 反手塚に1のダメージ!!

 それくらいに攻撃した感じがなかった。

 ノ―ダメージとも言っていいほどに、即座に反撃が来る。


 ぎりぎり空に逃れる。しかし、振られた剣の風圧で吹っ飛ばされた。

 ぬぎゃぁっ!? 尻尾が三つほど千切れたぞ!?

 地面に激突して慌てて起き上がると、反対方向に吹っ飛ばされたヌェルが血だらけで起き上がる。

 ちょ、地力が違い過ぎんか? あの阿呆どれだけレベルアップしとるんじゃ!?


 勇者がレベル上がり過ぎてるせいで反存在が倒せません。どうしたらいいですか?

 どっかの検索エンジンに質問としてあげたくなってくるの。誰か回答知らんかや?

 そんな反手塚は妾とヌェルへと両腕を掲げる。左右に割り裂くようなクラッシュザンバー。

 ぎりぎり飛び退く。


 しかし続くクラッシュザンバーの用意を見て顔が真っ青になるのは止められない。

 あ奴はチートに全身浸かっとる。

 あの連続クラッシュザンバーは確実に妾らを消し飛ばすまで止まることはないはずだ。

 あ奴ならできる。出来てしまう。それだけスキルを放てる余力があるのだ。


「やらせん!」


「ハァッ!!」


 背後から迫る龍華。反応した反手塚に正面から向う完全。

 二人の全力の一撃が反手塚に致命傷を……与えない。

 全く無傷の手塚が双剣を振りまわす。

 避け損ねた龍華が真っ二つに切り裂かれ地面に倒れた。

 ぎりぎり避けた完全も風圧喰らって吹き飛ばされる。


 あかん。本当の化け物には勝てそうにない。

 これ、なんて無理ゲー?

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