対魔王軍作戦会議4
八神百乃の能力は凄まじいが、同時に弱点を含むものだった。
だが、これはこれで十分な手駒と言える。
相手が魔王と魔族などの軍勢のため、邪気や魔素の危険はあるらしいが、空からの奇襲や遊撃には十分活躍できるだろう。
俺たちは、次に綾嶺のステータスを確認する。
話から察するに聖戦士とやらになったらしいが、戦闘経験はないに等しい。
このため、偵察任務を終えたら八神と二人で特訓をするそうだ。
戦力的には余り使えないといえるだろうが、それでも、彼女を護るために八神が戦うようで、二人一組と考えた方がいいだろう。八神が手伝うなら彼女の身の安全は保障された様なモノだろう。
NAME:綾嶺麁羅 【♀】
RACE:人間 【17】
CLASS:聖戦士 【Lv1】
DEGREE:観測されし者 【Lv17】
HP 3300/3300
MP 3500/3500
TP 3200/3200
AT 392
DF 244
MA 383
MD 307
SPD 250
LC 1000
特技:
ツッコミ:0
変身:0
魔法:
リザレクト:500
PASSIVE:
超幸運
力天使の加護
ステータス強制表示
料理上手
状態異常耐性
直感
ルミナスストーン
情報:異世界から召喚されし者
オルタナエルの聖戦士となる
と、こんなステータスらしい。
俺以外はこう見えていたそうなので、せっかくだし全員表示方法を統一してもらった。
増渕が統一方法を知っていたので、これで確認したステータスに食い違いが存在する事も無いだろう。
綾嶺の能力はそこまで大したことはない。大体が俺達と同じ、いや、少し劣っているくらいの一般学生だ。
ただし、幸運値だけは桁違い。500が平均でそれ以上が運のある人生だそうだから、1000とは、絶対的な運を持っているといってもいい。
天使が監視するのも頷ける。
変身:
聖戦士に変身する
変身ワードを唱えることで即席変身も可能 ※現在未設定
解除ワードを唱えることで解除可能 ※現在未設定
リザレクト:
単体蘇生魔法
リザレクの上位魔法であり、体力をほぼ回復状態で蘇生させる
※不死者、不死族には無効
超幸運:
幸運値MAX状態
あらゆる行動が自身の幸運に繋がる
幸運低下の状態異常が無効化される
力天使の加護:
力天使オルタナエルの加護
幸運値その他の能力が上昇
ステータス強制表示:
相手のステータスを強制表示させる
料理上手:
素材を選ばずどれほど適当に作っても美味しく出来上がる能力
状態異常耐性:
状態異常に耐性を持つ
直感:
自分と知り合いに対する危機に敏感になる
危険察知能力が強化
敵対者の襲撃、虚言、暗殺を事前に察知できる
ルミナスストーン:
聖戦士に変身するための石
意思にして遺志
体内に溶け込んでいるため、聖戦士が死なない限り取り出す事は出来ない
ステータスはともかく、この技能を見る限りはかなり有用に見える。
戦闘は初めてらしいが、八神のフォローがあるならこれは十分使える駒と見ていいだろう。
ふむ。直感はかなり使えるだろうな。蘇生魔法があるのも心強い。
戦いが出来ずとも、衛生兵として十分機能するだろう。
うむ。これなら十分だ。次は下田か。
NAME:下田完全 【♀】
RACE:人間 【17】
CLASS:暗殺拳継承者 【Lv99】
DEGREE:超越者 【Lv99】
HP 22800/22800
MP 7200/7200
TP 28000/28000
AT 9999
DF 8000
MA 4300
MD 3700
SPD 800
LC 650
特技:
古武術:0
合気道:0
中国拳法:0
拳闘術:0
カポエラ:0
システマ:0
総合格闘術:0
咆哮:10
縮地:150
月下暗殺拳:10000
魔法:なし
PASSIVE:
レベル限界突破
一撃必殺
気配過敏
筋力系成長・特大
拳術補正・大
暗殺
魅了の魔眼
魔王の卵
情報:異世界から召喚されし者
……こいつ、本当に人間か?
暗殺拳など本当にあったんだな。
などと感心していると、数人の声が重なった。
「「魔王の卵!?」」
全員でステータス画面を覗いていたので大声で耳が痛い。
「ん? ああそれか。手違いで村人を死なせてしまったようでな。住民から恐れられたら取得したものだ……ものよ」
「なんだ、お前も儂のように殺人か下田」
「あ、違いますよ。その人、私が生き返しましたから」
と、田中の言葉に綾嶺が反論していた。
仲間を見つけたと言った顔の田中だったが、その言葉で残念そうに顔を伏せる。
あいつ、本当に人を殺してしまったのか。
……いや、俺が責められることではないか。戦争とはいえ多くのアメリカ兵の命を奪った俺には。
「そうか。けど、下田さんまで魔王の卵を持っているとなると、下手な行動を起こすと魔王の卵が量産されることになるな。ちょうどいいや、全員説明を見てくれ」
困ったように頭を掻きながら武藤が言う。
下田がステータス画面から魔王の卵の説明をピックアップした。
魔王の卵:
孵化状態にして現魔王を倒す。または現魔王が倒された時点で孵化状態であれば、
次期魔王になる。
自分の絶望、あるいは相手を絶望させた状態で殺害する。
または周囲から一定の恐怖と殺意、憎悪の念を一身に受ける。
で、一定の絶望を集めることで魔王の卵・孵化に進化する。
これが……魔王の卵の能力。
俺たちは、愕然とするしかなかった。
この魔王の卵を手に入れ孵化させて、魔王を倒せば次期魔王……か。
これは不味いな。
勇者の近くで次の魔王が生まれるというならば、俺達全員にこれが付く可能性すらあるわけだ。
「これは、フェイト・ブレイカーでなんとかするしかないか?」
武藤の言葉に田中が待ったを掛ける。
「な、何を言っておるのだダーリン。アレは不味いだろう? いろいろとダメだろう。無理矢理するのは儂以外止めておいた方がいい。絶対いい。アレはだめぇっ!!」
ふむ。田中はフェイト・ブレイカ―という能力で魔王の卵を失くすことが出来たらしい。
「安心してくれ。幾らこの魔王の卵とやらがあったとしても、現魔王に綾嶺の持つダーツを当てれば終わる」
「下田さん? どういうこと?」
「桃栗に渡された魔王の移譲を破棄するための道具らしい。おそらくお前のフェイト・ブレイカ―と同じ能力を持っているはずだ」
「ああ、桃栗の。じゃあそいつを使えば幾ら魔王の卵があっても問題ない訳か」
よくはわからんが俺達が魔王の卵とやらを手に入れても魔王に成る事は無くなるようだ。




