ブロンズランク
「改めて、今のマー君の【鑑定】結果はこんな感じだね。位階レベルは変わっていないけど、スキルはちょっと伸びたみたいだね」
そう言いながら琴葉が俺を【鑑定】したステータスを紙に書いて渡してくる。
お礼を言いながらそれを受け取り、内容を確認する。
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氏名:如月真央
性別:男性
位階:LV23
職業:【運び屋】
所持スキル:【収集Lv6】・【重量軽減Lv7】・【体力強化Lv6】
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最初と比べるとずいぶんと成長したんじゃないだろうか。
というか、上がりすぎか。
実質一週間でここまで上がるのは【収集】の効果のおかげだろう。
位階レベルは二十三。
多分だけれど、これは魔石がレベル三十二になっていた高レベルスライムを生み出して勝利したことで得た結果だと思う。
あの時は洞窟内に俺一人だったために自分のレベルがはっきりとは分からなかったが、おそらくは十台後半くらいだったのではないかと思う。
昨日ダンジョンに入るまででレベル十一だったし、ダンジョン内でモンスターハウスを攻略してそのくらいのレベルになっていたはずだ。
そんなレベルが上がった状態とはいえ、自分自身よりもレベル十以上高い相手と戦って勝った。
これは実は結構すごいことらしい。
勝てたのはひとえに琴葉のポーションのおかげだろう。
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氏名:鏑木琴葉
性別:女性
位階:LV8
職業:【錬金術師】
所持スキル:【鑑定Lv4】・【錬金Lv7】・【調合Lv5】
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そして、そんな琴葉だが位階レベルは据え置きだ。
が、スキルレベルは上がっている。
俺の【収集】で魔力を貯めた魔石のレベルが上がるおかげか、それを素材としてスキルを使うことでレベルが上がりやすいのだろう。
ただ、今後はしっかりと位階レベルも上げていく必要がある。
それは琴葉の周囲のことについてもそうなのだが、クランのためでもあった。
今、クラン【M&K】の構成員のレベル合計は三十一。
これが五十を超えると、クラン特権なるものがつくのだ。
日本ではダンジョンに潜るためには探索者ライセンスを取得する必要がある。
ダンジョン内でモンスターを倒すと【職業】と【スキル】が得られるためだ。
かつては存在しなかった異能の力を国が把握し、最低限の管理をするためにということだ。
それと、ダンジョン内で国民が次々と命を落とすことのないように知識なくダンジョンに入ることがないよう、しっかりと講習を受けさせる意味もあるのだろう。
そんなふうにして探索者になった者はダンジョンに入ることができる。
が、実はどのダンジョンでも自由に入れる、というわけではないのだ。
ライセンスを取り立ての者はいろいろと制限がある。
国が危険度などをもとにしてF級などとダンジョンをランク分けしているが、まさにそれも制限と関係している。
つまり、実績を積み上げていかないとライセンスを取ったからといって上位のダンジョンには入れないという制限があるのだ。
それに武器の所有などもそうだ。
俺はダンジョンに潜るために武器を持っている。
スリングショットなどはまあいいとしても、苦無であったり、マチェットなどの刃物を持つ。
これはどうしてもダンジョン内ではモンスターという存在がいるために探索者には必要だからだ。
ダンジョンに潜るために武器は必要である。
それを国は認めている。
が、だからといって誰もかれもが凶器を持ち歩いて町中をうろついてもいいということにはならない。
あくまでも必要なダンジョン内での所持は認めても、日常生活での平穏を脅かすようなことは認められないのだ。
だから、俺たちライセンス保持者といえども刃物系の武器はきっちりと保管できる鍵付きの鞄やケースに入れて持ち運ばなければならないのだ。
ダンジョンのそばには基本的にギルド建物があるのも、その鍵を外してよいのは建物に入ってからであるということでもあった。
そして、持てる武器の種類も制限がある。
刀身の短い刃物であればケースに入れて保管すれば許可が出るが、例えば今の俺が剣や槍を持ち運ぶのは禁止されていたりする。
当然だが、銃の所持も禁止だ。
ようするに、ライセンスを持った者であっても入れるダンジョンに制限があるし、持てる武器も限られているというわけだ。
が、それらの制限は条件を満たせば必ずしも適用されるわけでは無くなる。
つまり、より上位のダンジョンに入ったり、攻撃力の高い武器所有の許可が得られる条件というのがあるのだ。
その一つが加入しているクラン員の位階レベルに関してだ。
クラン加入者の合計レベルが五十を超えていること、かつ、加入者の平均レベルが十を超えていること。
この条件を満たせば俺たちのクラン【M&K】はブロンズランクになる。
ブロンズランクになればよりよいダンジョンに潜ることができ、持てる武器の種類も増えるだろう。
が、それはあくまでも俺たちの本命ではない。
俺たちがブロンズランクを目指すのはひとえにポーションを売りやすくするためだった。
ブロンズランクのクランに与えられる特権。
その一つであるオークション参加の権利を得る。
そのオークションを琴葉の作るポーションの売り場にしたいと考えていたのだった。
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